Embedded Event Manager について
組み込まれている Event Manager
従来、イベント トラッキングおよびイベント管理はネットワーキング デバイスの外部のデバイスによって実施されてきました。Embedded Event Manager(EEM)は、イベント管理を Cisco IOS デバイス内で直接実施できるように設計されました。障害によってはデバイスと外部ネットワーク管理デバイスとの通信が損なわれることがあるため、デバイス外ですべてのイベント管理ができるわけではないことから、EEM のデバイス上での予防的なイベント管理機能は有用です。このような状況でデバイスの状態をキャプチャすることは、迅速な回復アクションの実行、および根本原因の分析実施のための情報収集に非常に役立ちます。ルーティング デバイスを完全にリブートすることなしに自動回復アクションが実施されれば、ネットワーク可用性も向上します。
EEM は、イベント ディテクタと呼ばれるソフトウェア エージェントを使用してシステム内の異なるコンポーネントのモニターリングをサポートする、柔軟でポリシードリブンのフレームワークです。次の図に、EEM サーバー、コア イベント パブリッシャ(イベント ディテクタ)、およびイベント サブスクライバ(ポリシー)の関係を示します。基本的に、イベント パブリッシャはイベントをスクリーニングして、イベント サブスクライバから提供されたイベント仕様に一致したときにイベントをパブリッシュします。イベント ディテクタは、注目するイベントが発生したときに EEM サーバーに通知します。Cisco コマンドライン インターフェイス(CLI)を使用して設定された EEM ポリシーは、現在のシステムの状態と、該当するイベントのポリシーで指定されたアクションに基づいて回復を実施します。
EEM では、イベントをモニターし、イベント発生が検出されたとき、およびしきい値を超えたときに情報通知や是正アクションを実施できます。EEM ポリシーは、イベントおよびイベントが発生した場合に行う処理を定義するエンティティです。EEM ポリシーにはアプレットとスクリプトの 2 つのタイプがあります。アプレットは、CLI 設定に定義された、ポリシーの単純な形式です。スクリプトは、Tool Command Language(Tcl)で記述されたポリシーの形式です。
Note |
ネットワークに EEM の上位バージョンがある場合、そのバージョンは以前のリリースの EEM バージョンを含みます。 |
Embedded Event Manager 1.0
EEM 1.0 では、Embedded Event Manager が導入されました。EEM 1.0 は次のイベント ディテクタを追加しました。
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SNMP:簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)イベント ディテクタによって、標準 SNMP MIB オブジェクトを監視し、オブジェクトが指定された値と一致するとき、または指定されたしきい値を超えたときにイベントを生成することができます。
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Syslog:syslog イベント ディテクタは、正規表現パターン マッチに対して syslog メッセージをスクリーニングできます。
EEM 1.0 は、次のアクションを追加しました。
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優先化された syslog メッセージの生成。
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Cisco Networking Services(CNS)デバイスによるアップストリーム処理に対し CNS イベントの生成。
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シスコのソフトウェアをリロードします。
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完全冗長ハードウェア構成におけるセカンダリ プロセッサへのスイッチング。
Embedded Event Manager 2.0
EEM 2.0 で、いくつかの新機能が導入されました。EEM 2.0 では次のイベント ディテクタが追加されました。
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Application-Specific:Application-Specific イベント ディテクタによって、Embedded Event Manager ポリシーはイベントをパブリッシュできます。
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Counter:Counter イベント ディテクタは、名前付きカウンタが指定されたしきい値を超えたときにイベントをパブリッシュします。
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Interface Counter:Interface Counter イベント ディテクタは、指定されたインターフェイスの汎用 Cisco IOS インターフェイス カウンタが定義されたしきい値を超えたときにイベントをパブリッシュします。
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Timer:Timer イベント ディテクタは、absolute-time-of-day、countdown、watchdog、および CRON の 4 種類のタイマーのイベントをパブリッシュします。
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Watchdog System Monitor(IOSWDSysMon):Cisco IOS Watchdog System Monitor イベント ディテクタは、Cisco IOS プロセスの CPU またはメモリの使用率がしきい値を超えたときにイベントをパブリッシュします。
EEM 2.0 では次のアクションが追加されました。
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名前付きカウンタの設定または変更。
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アプリケーション特有のイベントのパブリッシュ
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SNMP トラップの生成。
Tool Command Language(Tcl)を使用して記述された、Cisco 定義のサンプル ポリシー実行機能が追加されました。システム ポリシー ディレクトリに格納可能なサンプル ポリシーが提供されました。
Embedded Event Manager 2.1
EEM 2.1 では、いくつかの新機能が導入されました。EEM 2.1 は次の新しいイベント ディテクタを追加しました。
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CLI:CLI イベント ディテクタは、正規表現と一致するコマンドライン インターフェイス(CLI)コマンドをスクリーニングします。
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None:None イベントディテクタは、Cisco IOS event manager run コマンドが EEM ポリシーを実行したときに、イベントをパブリッシュします。
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OIR:Online Insertion and Removal(OIR)イベント ディテクタは、特定のハードウェアの挿入または削除のイベント発生時にイベントをパブリッシュします。
EEM 2.1 は次のアクションを追加しました。
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Cisco CLI コマンドの実行。
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イベント発生時のシステム情報要求。
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ショート メールの送信。
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手動による EEM ポリシーの実行。
EEM 2.1 は、新しい event manager scheduler script コマンドを使用した、複数の同時実行ポリシーの実行も許可します。SNMP イベント ディテクタ比率ベース イベントのサポートは、Tool Command Language(Tcl)を使用してポリシーを作成する機能として提供されます。
Embedded Event Manager 2.1(ソフトウェア モジュール方式)
EEM 2.1(ソフトウェア モジュール)は、Cisco ソフトウェア モジュラリティ イメージでサポートされます。EEM 2.1(ソフトウェア モジュール方式)は、次のイベント ディテクタを追加しました。
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GOLD:Generic Online Diagnostics(GOLD)イベント ディテクタは、GOLD 障害イベントが指定されたカードおよびサブカードで検出されたときにイベントをパブリッシュします。
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System Manager:System Manager イベント ディテクタは、Cisco IOS ソフトウェア モジュール方式プロセスの開始、通常停止、異常停止、および再起動のイベントに対してイベントを生成します。System Manager によって生成されたイベントによって、ポリシーはプロセス再起動のデフォルトの動作を変更できます。
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Watchdog System Monitor(WDSysMon):Cisco Software Modularity Watchdog System Monitor イベント ディテクタは、Cisco IOS ソフトウェア モジュール方式プロセスにおける無限ループ、デッドロック、メモリリークを検出します。
EEM 2.1 ソフトウェア モジュール方式では、プロセスに対する EEM 信頼性メトリック データの表示機能が追加されました。
Note |
EEM 2.1 ソフトウェア モジュール方式イメージは、Resource イベント ディテクタおよび RF イベント ディテクタを EEM 2.2 に追加しましたが、EOT イベント ディテクタ、またはトラッキング対象オブジェクトの読み込みおよび設定のアクションをサポートしません。 |
Embedded Event Manager 2.2
EEM 2.2 で、いくつかの新機能が導入されました。EEM 2.2 では次のイベント ディテクタが追加されました。
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Enhanced Object Tracking:Enhanced Object Tracking イベント ディテクタは、トラッキング対象オブジェクトが変更されたときにイベントをパブリッシュします。拡張オブジェクト トラッキングは、トラッキング対象オブジェクトと、トラッキング対象オブジェクトが変更されたときにクライアントが実施するアクションとを全面的に分離します。
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Resource:Resource イベント ディテクタは、Embedded Resource Manager(ERM)が、指定されたポリシーのイベントをレポートしたときにイベントをパブリッシュします。
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RF:Redundancy Framework(RF)イベント ディテクタは、デュアル ルートプロセッサ(RP)システムにおける同期の間に、1 つ以上の RF イベントが発生したときにイベントをパブリッシュします。RF イベント ディテクタは、デュアル RP システムが一方の RP からもう一方の RP に継続的にスイッチしている(ピンポン状態と呼ばれる)ときもイベントを検出できます。
EEM 2.2 では次のアクションが追加されました。
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トラッキング対象オブジェクトの状態の読み取り。
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トラッキング対象オブジェクトの状態の設定。
Embedded Event Manager 2.3
EEM 2.3 は、Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチでサポートされ、その製品での汎用オンライン診断(GOLD)イベント ディテクタのための拡張が追加されています。
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event gold コマンドは、GOLD テスト失敗および条件への対応を改善するための action-notify 、testing-type 、test-name 、test-id 、consecutive-failure 、platform-action 、および maxrun キーワードが追加され、拡張されました。
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次のプラットフォーム全体の GOLD イベント ディテクタ情報には、新しい読み込み専用 EEM 組み込み環境変数を通じてアクセスできます。 - 起動診断レベル
- カード インデックス、名前、シリアル番号
- ポート数
- テスト数
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次のテスト固有 GOLD イベント ディテクタ情報は、新しい読み込み専用 EEM 組み込み環境変数(EEM アプレットだけが利用可能)を通じてアクセスできます。 - テスト名、属性、総実行回数
- テストごと、ポートごと、またはデバイスごとのテスト結果
- 合計障害カウント、最終障害時間
- エラー コード
- 連続的障害の発生
これらの拡張の結果、オートメーションと障害検出が改善され、平均修復時間(MTTR)が削減され、可用性が向上しました。
Embedded Event Manager 2.4
EEM 2.4 は次のイベント ディテクタを追加しました。
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SNMP Notification:SNMP 通知イベント ディテクタには、デバイスが受信した SNMP トラップおよび SNMP インフォーム メッセージを代行受信する機能があります。SNMP 通知イベントは、受信 SNMP トラップまたは SNMP インフォーム メッセージが指定された値に一致するか、指定されたしきい値を超えたときに生成されます。
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RPC:リモート プロシージャ コール(RPC)イベント ディテクタには、EEM ポリシーをセキュア シェル(SSH)を使用して暗号化された接続経由でデバイスの外から起動する機能があります。RPC イベント ディテクタは、XML ベースのメッセージ交換に Simple Object Access Protocol(SOAP)データ エンコーディングを使用します。このイベント ディテクタは、EEM ポリシーの実行および SOAP XML フォーマット化された応答内の出力の受信に使用できます。
EEM 2.4 は、次のイベント ディテクタに拡張を追加しました。
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インターフェイス カウンタ 比率ベース トリガー:この機能によって、インターフェイス イベントが期間中の変更の比率に基づいてトリガーされる機能が追加されました。entry 値または exit 値の両方に対して比率が指定できます。この機能は、現在、SNMP イベント ディテクタに存在する比率ベースの機能をコピーします。
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SNMP デルタ値:モニターリング期間の開始時のモニター対象オブジェクト識別子(OID)の値と、イベントがパブリッシュされた時点での実際の OID の差が、SNMP イベントディテクタとインターフェイス カウンタ イベント ディテクタの両方の event reqinfo データで提供されます。
EEM 2.4 は次のアクションを追加しました。
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複数イベントのサポート:複数のイベントを実行する機能が導入されました。さらに、show event manager コマンドは複数のイベントを表示するように拡張されました。
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パラメータのサポート:パラメータ 引数が event manager run コマンドに追加されました。最大 15 個のパラメータを使用できます。
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ジョブ ID と完了ステータスの表示:show event manager のコマンドの一部が、ジョブ ID と完了ステータスを表示するように拡張されました。
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バイトコードのサポート:Tcl 8 は、特殊なバイトコード言語(BCL)を定義し、Tcl スクリプトを BCL に変換する Just-In-Time コンパイラを備えています。バイト シーケンスが「virtual machine」、Tcl_ExecuteByteCode()、または TEBC によって、必要に応じて短縮して実行されます。現在、EEM は、ユーザー ポリシーのファイル拡張子として、*.tcl を、また、システム ポリシーのファイル拡張子として *.tm を認めています。bytecode スクリプトの Tcl 標準拡張子は、*.tbc です。現在、EEM は *.tbc を有効な EEM ポリシーとして認めます。
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登録置換拡張:単一の環境変数によるイベント登録文での複数のパラメータの置換をサポートします。
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Tcl パッケージのサポート
Embedded Event Manager 3.0
EEM 3.0 は次の新しいイベント ディテクタを追加しました。
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Custom CLI:Custom CLI イベント ディテクタは、既存の CLI コマンド構文を追加、拡張するためにイベントをパブリッシュします。
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Routing:Routing イベント ディテクタは、ルーティング情報ベース(RIB)のルート エントリが変化したときにイベントをパブリッシュします。
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NetFlow:NetFlow イベント ディテクタは、NetFlow イベントがトリガーされたときにイベントをパブリッシュします。
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IP SLA:IP SLA イベント ディテクタは、IP SLA 応答がトリガーされたときにイベントをパブリッシュします。
EEM 3.0 は、次の機能を追加しました。
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クラスベース スケジューリング:EEM ポリシーは、登録されるときに class キーワードを使用してクラスが割り当てられます。クラスなしで登録された EEM ポリシーは、デフォルト クラスに割り当てられます。
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高パフォーマンス Tcl ポリシー:event_completion 、event_wait 、および event_completion_with_wait の 3 つの新しい Tcl コマンドが導入されました。
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インタラクティブ CLI サポート:同期アプレットが、ローカル コンソール(TTY)とのインタラクションをサポートするように拡張されました。2 つの新しい IOS コマンド、action gets と action puts, が導入され、ユーザーがコンソールに直接入力し、それを表示できるようになりました。
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アプレット用の可変ロジック:EEM アプレット用の可変ロジック機能は、EEM アプレット内に条件付きロジックを適用する機能を追加します。条件付きロジックは、アプレット内のアクションのフローを条件式に従って変更する制御構造を追加します。
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デジタル署名サポート:新しい API は、Tcl スクリプトの実行の前に、スクリプトが Cisco によって署名されていることを確認するために、Tcl スクリプトのデジタル署名検証を実行します。
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電子メールサーバーの認証のサポート:オプションのユーザー名とパスワードを含めるように、action mail コマンドが変更されました。
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SMTP IPv6 サポート:Tcl 電子メールテンプレートに、IPv6 または IPv4 アドレスのいずれかを指定するためのキーワード sourceaddr が追加されました。
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SNMP ライブラリの機能拡張:EEM アプレット action info と Tcl sys_reqinfo_snmp コマンドが拡張され、SNMP getid、inform、trap、および set-type 動作用の機能が組み込まれました。
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SNMP 通知 IPv6 サポート:送信元 IP アドレスと宛先 IP アドレスでの IPv6 アドレスがサポートされます。
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CLI Library XML-PI サポート:異なるシスコ製品間で矛盾のない方法で、IOS コマンドライン インターフェイス(CLI)show コマンドを XML 形式にカプセル化した、プログラム可能なインターフェイスを提供します。XML-PI を使用する場合は、既知のキーワードを使用して IOS show コマンドの出力を Tcl スクリプトから解析できます。正規表現サポートを使用する必要はありません。
Embedded Event Manager 3.1
EEM 3.1 は、新しいイベント ディテクタを追加しました。
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SNMP Object:簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)Object Trap イベント ディテクタは、指定された SNMP オブジェクト ID(OID)を持つ SNMP トラップが特定のインターフェイスまたはアドレスで発生したときに、値を置き換えるように拡張されました。
EEM 3.1 は、次のイベント ディテクタに拡張を追加しました。
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SNMP Notification:SNMP 通知イベント ディテクタは、出力 SNMP トラップおよび SNMP インフォームを待ち、代行受信できるようになりました。
EEM 3.1 は、次のアクションに拡張機能を追加しました。
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ファシリティの指定:action syslog コマンドが拡張され、syslog ファシリティを指定できるようになりました。
EEM 3.1 は、次の機能を追加しました。
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登録されたポリシーの簡単な説明を作成するための機能を提供:ポリシーを簡単な説明とともに Cisco IOS CLI と Tcl ポリシーに登録するための新しい description コマンドが導入されました。show event manager policy available コマンドと show event manager policy registered コマンドが拡張され、登録されたアプレットの説明を表示するための description キーワードが追加されました。
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EEM ポリシーでの AAA 認証のバイパスが可能:event manager application コマンドが拡張され、承認を提供し、AAA を無効にするキーワードをバイパスできるようになりました。
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CLI ライブラリ拡張機能の導入:CLI ライブラリに 2 つの新しいコマンドが提供されました:cli_run および cli_run_interactive 。
Embedded Event Manager 3.2
EEM 3.2 は次の新しいイベント ディテクタを追加しました。
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ネイバー探索:ネイバー探索イベント ディテクタによって、次の場合に自動ネイバー検出に応答するポリシーをパブリッシュできます。 - Cisco Discovery Protocol(CDP)のキャッシュ エントリが追加、削除、または更新された場合。
- リンク層検出プロトコル(LLDP)のキャッシュ エントリが追加、削除、または更新された場合。
- インターフェイスのリンク ステータスが変更された場合。
- インターフェイスのライン ステータスが変更された場合。
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ID:ID イベント ディテクタは、AAA の許可および認証が成功した場合、障害が発生した場合、またはポート上で通常のユーザー トラフィックの送信が許可された後にイベントを生成します。
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Mac-Address-Table:Mac-Address-Table イベント ディテクタは、MAC アドレスが MAC アドレス テーブルで学習された場合にイベントを生成します。
Note |
Mac-Address-Table イベント検出器は、スイッチ プラットフォームでだけサポートされており、MAC アドレスが学習されたレイヤ 2 インターフェイスだけで使用できます。レイヤ 3 インターフェイスはアドレスを学習しません。デバイスは通常、学習された MAC アドレスの EEM を通知する必要がある mac-address-table インフラストラクチャをサポートしません。 |
EEM 3.2 では、新しいイベント ディテクタで動作するアプレットをサポートするための新しい CLI コマンドも導入されています。
Embedded Event Manager 4.0
EEM 4.0 では、次の新機能が導入されます。
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EEM 電子メール アクションの機能 - SMTP 電子メールアクションの TLS サポート:新しいオプションの secure キーワードが、tls および none キーワードとともに、action mail CLI に追加されました。対応する Tcl ポリシーには更新はありません。
- SMTP 電子メールアクションのカスタムポート:新しいオプションの port キーワードが action mail CLI に追加されました。Tcl ポリシーでは、電子メール テンプレートに行を追加することでポート番号を指定できます。
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EEM セキュリティの機能拡張 - チェックサムベースのスクリプトの整合性:デジタル署名がサポートされていない、または使用できない場合、ユーザーは引き続き Unix コマンド openssl sha1 を使用して、TCL ポリシーにいくつかの基本的な整合性チェックを適用できます。新しいオプションの checksum 、md5 、および sha-1 キーワードが event manager policy コマンドに追加されました。
- サードパーティのデジタル署名のサポート:署名を確認するには、Tcl セキュア モードとトラストポイントを TCL スクリプトに関連付ける必要があります。
- スクリプト所有者の識別:ポリシーが正常にデジタル署名に登録されている場合は、show event manager policy registered コマンドを使用して、show 出力で Dsig キーワードを確認することで、ポリシーの所有者(または署名者)を識別できます。
- リモート Tcl ポリシーの登録:新しいオプションの remote キーワードが event manager policy コマンドに追加されました。
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EEM リソース管理 - リソース消費量のスロットリング:新しいオプションの resource-limit キーワードが event manager scheduler コマンドに追加されました。
- イベントごとにトリガーされるポリシーのレート制限:新しいオプションの rate-limit キーワードが event syslog コマンドに追加されました。
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EEM ユーザービリティの機能拡張 - EEM アプレットアクションでのファイル操作:新しい CLI action file が追加され、ファイルを選択できるようになりました。
- show event manager statistics EXEC コマンドを使用して、キューサイズ、ドロップされたイベント、および実行時間の統計情報を追跡するために、EEM に新しいフィールドが追加されました。イベントマネージャのキューカウンタをクリアするために、一連の新しい clear コマンド(clear event manager detector counters および clear event manager server counters )が導入されました。
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EEM イベント ディテクタの機能拡張 - CLI イベント ディテクタの機能拡張:ユーザーがイベント CLI コマンドを入力したセッションを検出する機能を提供します。4 つの新しいキーワードと組み込み環境変数:username、host、privilege、および ttyが event cli アプレットに、event_reqinfo アレイ名が event_register_cli イベントディテクタに追加されました。show event manager detector EXEC コマンドも、この機能強化を反映するように変更されました。
- Syslog イベント ディテクタの機能拡張:特定のログ メッセージ フィールドで文字列の照合を実行するオプションを提供します。4 つの新しいキーワード(facility 、mnemonic 、sequence 、および timestamp キーワード)が、action syslog コマンド、event syslog コマンド、および event_register_syslog イベントディテクタに追加されました。show event manager detector EXEC コマンドも、この機能強化を反映するように変更されました。
Cisco IOS Release ごとの利用可能な EEM イベント ディテクタ
EEM は、イベント ディテクタと呼ばれるソフトウェア プログラムを使用して、EEM イベントの発生したときを判断します。一部のイベント ディテクタは、すべての Cisco IOS Release で利用できますが、イベント ディテクタの多くは、特定のリリースに導入されています。次の表を使用して、特定の Cisco IOS リリースで使用可能なイベント ディテクタを特定します。ブランク エントリ(--)は、そのイベント ディテクタが利用できないことを示します。「Yes」の文字はイベント ディテクタが利用できることを示します。この表に示されているイベント ディテクタは、同じ Cisco IOS リリース トレインの最新のリリースでサポートされています。各イベント ディテクタの詳細については、「Embedded Event Manager の概要」の章のイベント ディテクタの概念を参照してください。
イベント ディテクタ |
12.2(25)S |
12.3(14)T 12.2(18)SXF5 12.2(28)SB 12.2(33)SRA |
12.4(2)T 12.2(31)SB3 12.2(33)SRB |
12.2(18)SXF4 Cisco IOS ソフトウェアモジュール方式 |
12.2(33)SXH |
12.4(20)T 12.2(33)SXI |
12.4(22)T 12.2(33)SRE |
15.0(1)M 15.1(3)T |
15.1(2)SY |
15 E XE 3E |
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Application-Specific |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
CLI |
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対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
-- |
対応 |
Counter |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
Custom CLI |
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対応 |
対応 |
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Enhanced Object Tracking |
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対応 |
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対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
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Environmental |
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対応 |
GOLD |
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対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
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対応 |
Identity |
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対応 |
対応 |
対応 |
Interface Counter |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
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対応 |
IPSLA |
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対応 |
対応 |
-- |
対応 |
Mac-Address-Table |
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対応 |
対応 |
対応 |
Neighbor Discovery |
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対応 |
対応 |
対応 |
NF |
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対応 |
対応 |
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なし |
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対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
OIR |
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対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
Resource |
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対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
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RF |
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対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
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対応 |
Routing |
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対応 |
対応 |
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対応 |
RPC |
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対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
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SNMP |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
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対応 |
SNMP Proxy |
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対応 |
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SNMP Notification |
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対応 |
対応 |
対応 |
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対応 |
SNMP Object |
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対応 |
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対応 |
Syslog |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
System Manager |
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対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
-- |
Timer |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
IOSWDSysMon(Cisco IOS Watchdog) |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
-- |
対応 |
WDSysMon(Cisco IOS Software Modularity Watchdog) |
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対応 |
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イベント検出器
Embedded Event Manager(EEM)は、イベント ディテクタと呼ばれるソフトウェア プログラムを使用して、EEM イベントの発生したときを判断します。イベント ディテクタは、モニターされるエージェント(たとえば、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP))と、アクションが実施される EEM ポリシーの間のインターフェイスを提供する、独立したシステムです。一部のイベント ディテクタは、すべての Cisco IOS Release で利用できますが、イベント ディテクタの多くは、特定のリリースに導入されています。各 Cisco IOS Release でサポートされるイベント ディテクタの詳細については、「Writing Embedded Event Manager Policies Using the Cisco IOS CLI」または「Tcl を使用した Embedded Event Manager ポリシーの記述」の章の Cisco IOS Release ごとの利用可能な EEM イベント ディテクタについての記述を参照してください。EEM には次のイベント ディテクタがあります。
Application-Specific イベント ディテクタ
Application-Specific イベント ディテクタによって、任意の Embedded Event Manager ポリシーがイベントをパブリッシュできます。EEM ポリシーがイベントをパブリッシュするとき、任意のイベント タイプで、EEM サブシステム番号 798 を使用する必要があります。既存のポリシーがサブシステム 798 と指定されたイベント タイプに対して登録されている場合、同じイベント タイプの別のポリシーは、指定されたイベントがパブリッシュされたときに第 1 のポリシーをトリガーして実行します。
CLI イベント ディテクタ
CLI イベント ディテクタは、コマンドライン インターフェイス(CLI)コマンドを正規表現に一致するかスクリーニングします。一致が見つかったとき、イベントがパブリッシュされます。コマンドが正常に解析されたあと、コマンドが実施される前に、完全に展開された CLI コマンドで一致ロジックが実施されます。CLI イベント ディテクタは次の 3 種類のパブリッシュ モードをサポートします。
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CLI イベントの同期パブリッシング:CLI コマンドは、EEM ポリシーが終了するまで実行されません。EEM ポリシーは、コマンドが実行されるかどうかをコントロールできます。読み取り/書き込み変数 _exit_status では、ポリシー 終了時に同期イベントからトリガーされたポリシーの終了ステータスを設定できます。_exit_status が 0 の場合、コマンドはスキップされ、_exit_status が 1 の場合はコマンドが実行されます。
-
CLI イベントの非同期パブリッシング:CLI イベントは、パブリッシュされ、続いて CLI コマンドが実行されます。
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CLI イベントの非同期パブリッシングかつコマンド スキップ:CLI イベントがパブリッシュされますが、CLI コマンドは実行されません。
Counter イベント ディテクタ
Counter イベント ディテクタは、名前付きカウンタが指定されたしきい値を超えたときにイベントをパブリッシュします。カウンタ処理に影響を与える関係タスクが 2 つ以上あります。Counter イベントディテクタは、カウンタを変更でき、1 つ以上のサブスクライバは、イベントをパブリッシュする条件を定義します。カウンタ イベントがパブリッシュされた後、カウンタ モニターリング ロジックをリセットして、すぐにカウンタの監視を開始できます。また、別のしきい値(exit 値と呼ばれる)を超えたときにリセットすることもできます。
Custom CLI イベント ディテクタ
Custom CLI イベント ディテクタは、既存の CLI コマンド構文を追加、拡張するためにイベントをパブリッシュします。特別なパーサー キャラクタである Tab、?(疑問符)、および Enter が入力された場合、パーサーは処理のために入力を Custom CLI イベント ディテクタに送信します。(疑問符)、および Enter が入力された場合、パーサーは処理のために入力を Custom CLI イベント ディテクタに送信します。続いて Custom CLI イベント ディテクタは、この入力を登録された文字列と比較して、新しい、または拡張された CLI コマンドかどうかを判断します。一致すると、カスタム CLI イベント ディテクタが適切なアクションを実行します。たとえば、? が入力された場合はコマンドのヘルプを表示する、タブが入力された場合はコマンド全体を表示する、Enter が入力された場合はコマンドを実行するなどです。一致しなかった場合は、パーサーはコントロールを回復し、通常どおりに情報を処理します。
Enhanced Object Tracking イベント ディテクタ
Enhanced Object Tracking(EOT)イベント ディテクタは、トラッキング対象のオブジェクトのステータスが変更されたときイベントをパブリッシュします。オブジェクト トラッキングは、当初、ユーザーがインターフェイスのラインプロトコル ステートをトラッキングできるだけの単純なトラッキングメカニズムとして、ホットスタンバイ ルータ プロトコル(HSRP)に導入されました。インターフェイスのラインプロトコル ステートがダウンになった場合、デバイスの HSRP 優先度は削減され、より高い優先度のもう 1 つの HSRP デバイスがアクティブになることができます。
オブジェクト トラッキングはトラッキング対象オブジェクトと、トラッキング対象オブジェクトが変更されたときにクライアントが実施するアクションとを全面的に分離するように拡張されました。したがって、HSRP、仮想ルータ冗長プロトコル(VRRP)、または Gateway Load Balancing Protocol(GLBP)などの複数のクライアントが、トラッキング プロセスの対象を登録でき、同一オブジェクトをトラッキング可能であり、さらに、オブジェクト変更時に異なるアクションを実行できます。各トラッキング対象オブジェクトは、トラッキング コマンドライン インターフェイス(CLI)で指定された一意の番号で識別されます。クライアント プロセスは、この番号を使用して特定のオブジェクトを追跡します。トラッキング プロセスは定期的に、トラッキング対象オブジェクトをポーリングし、値の変更を確認します。トラッキング対象オブジェクトの変更は、すぐに、または指定された遅延後に、対象のクライアント プロセスに通知されます。オブジェクトの値は、アップまたはダウンとして報告されます。
拡張オブジェクト トラッキングが EEM と統合され、EEM は追跡対象オブジェクトのステータス変更を報告して、拡張オブジェクト トラッキングが EEM オブジェクトを追跡できるようになりました。新しいタイプのトラッキング オブジェクト、スタブ オブジェクトが作成されます。現在追跡対象オブジェクトを操作できるようにしている既存の CLI コマンドを使用して、スタブ オブジェクトを操作できます。
Generic Online Diagnostics(GOLD)イベント ディテクタ
GOLD イベント ディテクタは、GOLD 障害イベントが指定されたカードおよびサブカードで検出されたときにイベントをパブリッシュします。
Interface Counter イベント ディテクタ
Interface Counter イベント ディテクタは、指定されたインターフェイスの汎用 Cisco IOS インターフェイス カウンタが、定義されたしきい値を超えたときにイベントをパブリッシュします。しきい値は絶対値か増分値で指定できます。たとえば、増分値を 50 に設定した場合、インターフェイス カウンタが 50 増えると、イベントがパブリッシュされます。
インターフェイス カウンタ イベントがパブリッシュされた後、インターフェイス カウンタ モニターリング ロジックは 2 つの方法でリセットされます。インターフェイス カウンタは、別のしきい値(exit 値と呼ばれる)を超えたとき、または、期間の経過が発生したときにリセットされます。
IP SLA イベント ディテクタ
IP SLA イベント ディテクタは、IP SLA 応答がトリガーされたときにイベントをパブリッシュします。
NetFlow イベント ディテクタ
NetFlow イベント ディテクタは、NetFlow イベントがトリガーされたときにイベントをパブリッシュします。
None イベント ディテクタ
None イベントディテクタは、Cisco IOS event manager run CLI コマンドが EEM ポリシーを実行すると、イベントをパブリッシュします。EEM は、ポリシーそのものに含まれるイベント仕様に基づいてポリシーをスケジューリングし、実行します。EEM ポリシーは識別される必要があり、手動での実行が許可されるように、event manager run コマンドが実行される前に登録される必要があります。
OIR イベント ディテクタ
Online Insertion and Removal(OIR)イベント ディテクタは、次のハードウェアの挿入または削除のいずれかのイベント発生時にイベントをパブリッシュします。
-
カードが削除されました。
-
カードが挿入されました。
ルートプロセッサ(RP)、ラインカード、またはフィーチャ カードは、OIR イベントでモニターできます。
Resource イベント ディテクタ
Resource イベント ディテクタは、Embedded Resource Manager(ERM)が指定されたポリシーのイベントをレポートしたときにイベントをパブリッシュします。ERM インフラストラクチャは、プロセス間およびシステム内のリソースの枯渇とリソースの依存関係を追跡し、さまざまなエラー状態を処理します。エラー状態は、さまざまなアプリケーション間でリソースを等分に共有することで処理されます。ERM フレームワークは、リソース エンティティに通信メカニズムを提供して、さまざまなロケーションからこれらのリソース エンティティ間での通知が行えるようにします。ERM フレームワークは、CPU およびメモリ関連の問題のデバッグにも役立ちます。ERM は、CPU、バッファ、およびメモリなどのリソースに対してユーザーがしきい値を設定できるようにすることで、スケーラビリティ ニーズを理解するためにシステム リソース使用率をモニターリングします。ERM イベント ディテクタは、Cisco ソフトウェアのリソースを監視するためのより望ましい方法ですが、ERM イベント ディテクタはソフトウェア モジュラリティ イメージをサポートしません。ERM の詳細については、「Embedded Resource Manager」の章を参照してください。
RF イベント ディテクタ
Redundancy Framework(RF)イベント ディテクタは、デュアル ルート プロセッサ(RP)システムにおける同期の間に、1 つ以上の RF イベントが発生したときにイベントをパブリッシュします。RF イベント ディテクタは、デュアル RP システムが一方の RP からもう一方の RP に継続的にスイッチしている(ピンポン状態と呼ばれる)ときもイベントを検出できます。
Remote Procedure Call(RPC)イベント ディテクタ
リモート プロシージャ コール(RPC)イベント ディテクタには、EEM ポリシーをセキュア シェル(SSH)を使用して暗号化された接続経由でデバイスの外から起動する機能があります。RPC イベント ディテクタは、XML ベースのメッセージ交換に Simple Object Access Protocol(SOAP)データ エンコーディングを使用します。このイベント ディテクタは、EEM ポリシーの実行および SOAP XML フォーマット化された応答内の出力の受信に使用できます。
ルーティング イベント ディテクタ
ルーティング イベント ディテクタは、ルーティング情報ベース(RIB)のルート エントリが変化したときにイベントをパブリッシュします。
SNMP イベント ディテクタ
SNMP イベント ディテクタによって、標準 SNMP MIB オブジェクトを監視し、オブジェクトが指定された値と一致するとき、または指定されたしきい値を超えたときにイベントを生成することができます。
SNMP 通知イベント ディテクタ
SNMP 通知イベント ディテクタには、デバイスが受信した SNMP トラップおよび SNMP インフォーム メッセージを代行受信する機能があります。SNMP 通知イベントは、受信または送信 SNMP トラップまたは SNMP インフォーム メッセージが指定された値に一致するか、指定されたしきい値を超えたときに生成されます。SNMP イベント ディテクタは、送信 SNMP トラップおよび SNMP インフォームを待ち、代行受信できます。
SNMP Object イベント ディテクタ
簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)Object Trap イベント ディテクタは、指定された SNMP オブジェクト ID(OID)を持つ SNMP トラップが特定のインターフェイスまたはアドレスで発生したときに、値を置き換えるように拡張されました。
syslog イベント ディテクタ
syslog イベント ディテクタは、正規表現パターン マッチに対して syslog メッセージをスクリーニングできます。選別されたメッセージをさらに限定し、指定された時間内に特定の回数の発生を記録するように要求できます。指定されたイベント基準での一致により、設定されたポリシー処理がトリガーされます。
System Manager イベント ディテクタ
System Manager イベント ディテクタは、Cisco IOS ソフトウェア モジュール方式プロセスの開始、通常停止、異常停止、および再起動のイベントに対してイベントを生成します。System Manager によって生成されたイベントによって、ポリシーはプロセス再起動のデフォルトの動作を変更できます。
Timer イベント ディテクタ
timer イベント ディテクタは、次の 4 種類のタイマーのイベントをパブリッシュします。
-
absolute-time-of-day タイマーは、指定された絶対的な日時が発生したとき、イベントをパブリッシュします。
-
countdown タイマーは、タイマーがカウント ダウンしてゼロ(0)になったときにイベントをパブリッシュします。
-
watchdog タイマーは、タイマーがカウント ダウンしてゼロ(0)になったときにイベントをパブリッシュし、自動的にタイマーを初期値にリセットして、再びカウント ダウンを開始します。
-
CRON タイマーは、UNIX 標準 CRON 仕様を使用してイベントをパブリッシュするときを指定して、イベントをパブリッシュします。CRON タイマーは、1 分間にイベントを複数回パブリッシュすることはありません。
Cisco IOS の Watchdog System Monitor(IOSWDSysMon)イベント ディテクタ
Cisco IOS Watchdog System Monitor イベント ディテクタは、次のいずれかが発生したときにイベントをパブリッシュします。
-
Cisco IOS タスクの CPU 使用率がしきい値を超えたとき。
-
Cisco IOS タスクのメモリ使用率がしきい値を超えたとき。
Note |
Cisco IOS プロセスは、現在、Cisco IOS ソフトウェア モジュール方式プロセスから区別するために、タスクと呼ばれています。 |
同時に 2 つのイベントがモニターリングされることがあります。指定されたしきい値を超えるために 1 つのイベントを必要とするか、両方のイベントを必要とするかを、イベント パブリッシング基準で指定できます。
Cisco IOS Software Modularity の Watchdog System Monitor (WDSysMon) イベント ディテクタ
Cisco IOS Software Modularity Watchdog System Monitor イベント ディテクタは、Cisco IOS ソフトウェア モジュラリティ プロセスにおける無限ループ、デッドロック、メモリ リークを検出します。
各 Cisco IOS リリースで利用可能な EEM アクション
イベント ディテクタがイベントを報告したときに実行される是正アクションは CLI ベースで、強力なオンデバイスのイベント管理メカニズムを実現します。一部のアクションは、すべての Cisco IOS Release で利用できますが、アクションの多くは、特定のリリースに導入されています。次の表を使用して、特定の Cisco IOS リリースで使用可能なアクションを特定します。ブランク エントリ(--)は、そのアクションが使用できないことを示します。「Yes」のテキストはそのアクションが使用できることを示します。この表に示されているアクションは、同じ Cisco IOS リリース トレインの最新のリリースでサポートされています。各アクションの詳細については、「Embedded Event Manager Overview」の章の Embedded Event Manager アクションの概念を参照してください。
アクション |
12.2(25)S |
12.3(14)T 12.2(18)SXF5 12.2(28)SB 12.2(33)SRA |
12.4(2)T 12.2(31)SB3 12.2(33)SRB |
12.2(18)SXF4 Cisco IOS ソフトウェア モジュール方式 |
12.2(33)SXH |
12.4(20)T |
12.4(22)T |
15.0(1)M |
15E XE 3E |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
CLI コマンドの実行 |
-- |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
CNS イベントの生成 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
優先化された syslog メッセージの生成 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
SNMP トラップの生成 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
手動による EEM ポリシーの実行 |
-- |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
アプリケーション固有のイベントのパブリッシュ |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
トラッキング対象オブジェクトの状態の読み取り |
-- |
-- |
対応 |
-- |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
|
シスコのソフトウェアのリロード |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
システム情報の要求 |
-- |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
ショート メールの送信 |
-- |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
名前付きカウンタの設定または変更 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
トラッキング対象オブジェクトの状態の設定 |
-- |
-- |
対応 |
-- |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
|
セカンダリ RP へのスイッチ |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
対応 |
Embedded Event Manager のアクション
イベント ディテクタがイベントを報告したときに実行される是正アクションは CLI ベースで、強力なオンデバイスのイベント管理メカニズムを実現します。一部の EEM アクションは、すべての Cisco IOS Release で利用できますが、EEM アクションの多くは、特定のリリースに導入されています。各 Cisco IOS Release でサポートされる EEM アクションの詳細については、「Writing Embedded Event Manager Policies Using the Cisco IOS CLI」または「Writing Embedded Event Manager Policies Using Tcl」の章の Cisco IOS Release ごとの利用可能な EEM アクションについての記述を参照してください。EEM がサポートするアクションは、次のとおりです。
-
Cisco IOS コマンドライン インターフェイス(CLI)コマンドの実行。
-
Cisco CNS デバイスによるアップストリーム処理に対し CNS イベントの生成。
-
名前付きカウンタの設定または変更。
-
完全冗長ハードウェア構成におけるセカンダリ プロセッサへのスイッチング。
-
イベント発生時のシステム情報要求。
-
ショート メールの送信。
-
手動による EEM ポリシーの実行。
-
アプリケーション特有のイベントのパブリッシュ。
-
シスコのソフトウェアをリロードします。
-
SNMP トラップの生成。
-
優先化された syslog メッセージの生成。
-
トラッキング対象オブジェクトの状態の読み取り。
-
トラッキング対象オブジェクトの状態の設定。
EEM アクション CLI コマンドには、任意の文字列値が可能で一意の ID である EEM アクション ラベルが含まれます。アクションは、ラベルをソート キーとして使用して、英数字のキーの昇順(辞書順)にソートされ、実行されます。ラベルとして数字を使用している場合は、英数字ソートは、10.0 は 1.0 よりも後ですが、2.0 よりも前になることに注意してください。このような場合、01.0、02.0 のような数字を使用する、または頭文字の後に同様の数字を続けることを推奨します。
Embedded Event Manager の環境変数
EEM では、EEM ポリシーに環境変数を使用できます。Tool Command Language(Tcl)では、Tcl スクリプト内のすべてのプロシージャで既知のグローバル変数を定義できます。EEM では、CLI コマンドの event manager environment コマンドを使用して、EEM ポリシー内で使用するための環境変数を定義できます。EEM 環境変数は、Tcl スクリプトの実行前に、Tcl グローバル変数に自動的に割り当てられます。Embedded Event Manager に関連する環境変数には次の 3 種類があります。
-
ユーザー定義:ユーザーが記述したポリシー内の環境変数を作成する場合にユーザーが定義できます。
-
シスコ定義:特定のサンプル ポリシーのためにシスコが定義しました。
-
シスコ組み込み(EEM アプレット内で利用可能):シスコが定義し、読み取り専用、または読み取り/書き込み可能です。読み取り専用変数は、アプレットの実行開始前にシステムによって設定されます。単一の読み取りと書き込みの変数 _exit_status では、同期イベントからトリガーされたポリシーの終了ステータスを設定できます。
シスコ定義環境変数(次の表を参照)およびシスコ システム定義環境変数は、1 つの特定イベント ディテクタまたはすべてのイベント ディテクタに適用できます。ユーザー定義の環境変数、またはサンプルポリシーで Cisco によって定義された環境変数は、event manager environment コマンドを使用して設定されます。EEM ポリシーで使用される変数は、ポリシーを登録する前に定義する必要があります。Tcl ポリシーには、ポリシーの実行前に必要な環境変数がすべて定義されているかどうかを確認するために定義される「Environment Must Define」と呼ばれるセクションがあります。
シスコ組み込み環境変数は、シスコ定義の環境変数のサブセットです。組み込み変数は、EEM アプレットでだけ利用できます。組み込み変数は、読み込み専用であるか、または読み込みおよび書き込み用のいずれかです。これらの変数は、1 個の特定のイベント ディテクタまたはすべてのイベント ディテクタに適用されます。シスコ システム定義変数の詳細と、一覧表については、「Writing Embedded Event Manager Policies Using the Cisco IOS CLI」の章を参照してください。
Note |
シスコ定義環境変数は、アンダースコア(_)で始まります。付ける名前の競合を防止するため、ユーザー間での同じ命名規則の使用は避けることを強く推奨します。 |
次の表に、サンプル EEM ポリシーで使用されるシスコ定義変数の説明を示します。一部の環境変数は、対応サンプル ポリシーで実行のために指定される必要はありません。これらは任意として示されています。
環境変数 |
説明 |
例 |
---|---|---|
_config_cmd1 |
実行される 1 番めのコンフィギュレーション コマンド。 |
interface Ethernet1/0 |
_config_cmd2 |
(任意)実行される 2 番めのコンフィギュレーション コマンド。 |
no shutdown |
_crash_reporter_debug |
(任意)tm_crash_reporter.tcl のデバッグ情報がイネーブルであるかどうかを決定する値。 |
1 |
_crash_reporter_url |
クラッシュ レポートが送信される URL 位置。 |
http://www.yourdomain.com/fm/interface_tm.cgi |
_cron_entry |
ポリシーが実行されるときを決定する CRON 仕様。cron エントリを指定する方法の詳細については、「Tcl を使用した Embedded Event Manager ポリシーの記述」の章を参照してください。 |
0-59/1 0-23/1 * * 0-7 |
_email_server |
E メール送信に使用されるシンプル メール転送プロトコル(SMTP)メール サーバー。 |
mailserver.yourdomain.com |
_email_to |
E メールの送信先アドレス。 |
engineer@yourdomain.com |
_email_from |
E メールの送信元アドレス。 |
devtest@yourdomain.com |
_email_cc |
E メールのコピーの送信先アドレス。 |
manager@yourdomain.com |
_email_ipaddr |
受信者の送信元 IP アドレス。 |
209.165.201.1 または(IPv6 アドレス)2001:0DB8::1 |
_info_snmp_oid |
SNMP オブジェクト ID。 |
1.3.6.1.2.1.2 または iso.internet.mgmt.mib-2.interfaces |
_info_snmp_value |
割り当てられた SNMP データ エレメントの値文字列。 |
|
_show_cmd |
ポリシーの実行時に実行される CLI show コマンド。 |
show version |
_syslog_pattern |
ポリシー実行時を決定するために syslog メッセージを比較するために使用する正規表現パターン マッチ文字列。 |
.*UPDOWN.*FastEthernet 0/0.* |
_tm_fsys_usage_cron |
(オプション)event_register キーワード拡張機能で使用される CRON 仕様。指定されない場合、_tm_fsys_usage.tcl ポリシーが 1 分に 1 回、トリガーされます。 |
0-59/1 0-23/1 * * 0-7 |
_tm_fsys_usage_debug |
(任意)この変数が値 1 に設定された場合、システムのすべてのエントリのディスク使用率情報が表示されます。 |
1 |
_tm_fsys_usage_freebytes |
(任意)システムまたは特定のプレフィックスの空きバイト数しきい値。空きスペースが所定の値を下回ると、警告が表示されます。 |
disk2:98000000 |
_tm_fsys_usage_percent |
(任意)システムまたは特定のプレフィックスのディスク使用割合しきい値。ディスク使用割合が所定の割合を超えると、警告が表示されます。指定されない場合、すべてのシステムのデフォルトのディスク使用割合は、80% です。 |
nvram:25 disk2:5 |
Embedded Event Manager ポリシーの作成
EEM は、Cisco ソフトウェア システムで障害またはその他のイベントが発生したときに EEM ポリシー エンジンが通知を受け取るポリシー ドリブン プロセスです。Embedded Event Manager ポリシーは、システムの現在の状態に基づいて回復を実行し、該当するイベントのポリシーに指定されたアクションを実行します。回復アクションはポリシーが実行されたときにトリガーされます。
いくつかの EEM CLI 設定と show コマンドはありますが、EEM はポリシーの作成を通じて実装されます。EEM ポリシーは、イベントおよびイベントが発生した場合に行う処理を定義するエンティティです。EEM ポリシーにはアプレットとスクリプトの 2 つのタイプがあります。アプレットは、CLI 設定に定義された、ポリシーの単純な形式です。スクリプトは、Tcl で記述された、ポリシーの形式です。
EEM ポリシーの作成には次の項目が含まれます。
-
ポリシーが実行されるイベントの選択。
-
イベントの記録およびイベントへの対応に関連付けられたイベント ディテクタ オプションの定義。
-
必要に応じて、環境変数の定義。
-
イベント発生時に実行されるアクションの選択。
EEM ポリシーの作成には 2 つの方法があります。第 1 の方法は、CLI コマンドを使用してアプレットを記述する方法で、第 2 の方法は、Tcl スクリプトを記述する方法です。シスコは、Tcl に EEM ポリシー開発を促進する Tcl コマンド拡張機能を加えました。スクリプトは、ネットワーキング デバイスの外部で ASCII エディタを使用して定義します。続いてスクリプトはネットワーキング デバイスにコピーされ EEM に登録されます。Embedded Event Manager にポリシーが登録されると、ソフトウェアはポリシーを調べ、指定されたイベントの発生時に起動するために登録します。ポリシーは、未登録または中断にできます。両方のタイプのポリシーとも、ネットワークの EEM 実装に使用できます。
Cisco IOS CLI を使用して EEM ポリシーを記述する方法については、「Writing Embedded Event Manager Policies Using the Cisco IOS CLI」の章を参照してください。
Tcl を使用して EEM ポリシーを記述する方法の詳細については、「Writing Embedded Event Manager Policies Using Tcl」の章を参照してください。