Cisco Emergency Responder 8.6 トラブルシュー ティング ガイド

緊急コールが Cisco Emergency Responder で代行受信されない

Cisco Emergency Responder（Emergency Responder）が緊急コールを代行受信しない場合、お使いの Cisco Unified Communications Manager（Cisco Unified CM）の設定、または Emergency Responder 設定の表現が間違っている可能性があります。

• 緊急コール番号（911）は Phone パーティション内にあり、E911CSS コーリング サーチ スペースを使用します。Emergency Responder のインストール時にこの番号が識別されたことを確認します（『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Installing Cisco Emergency Responder 8.6 on a New System」を参照）。その結果、ユーザは緊急番号にダイヤルできるようになります。Cisco Unified CM でこの番号を設定する方法については、『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Creating the Emergency Call Route Points」を参照してください。

• スタンバイ Emergency Responder サーバのルート ポイント（912）は E911 パーティション内にあり、E911CSS コーリング サーチ スペースを使用します。Cisco Unified CM でこの番号を設定する方法については、『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Creating the Emergency Call Route Points」を参照してください。Emergency Responder 設定で、この番号がスタンバイ サーバのルート ポイントとして定義されるよう指定します（『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Installing Cisco Emergency Responder 8.6 on a New System」を参照）。

• PSAP コールバック ルート ポイント パターン（913XXXXXXXXXX）は、E911 パーティション内にあり、E911CSS コーリング サーチ スペースを使用します。Cisco Unified CM でこの番号を設定する方法については、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Creating the Emergency Call Route Points」を参照してください。Emergency Responder 設定で、この番号が PSAP コールバック ルート ポイント パターンとして定義され、ストリップ プレフィクス（913）も識別されるよう指定します（『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Configuring Group Telephony Settings For the Cisco Emergency Responder Server」を参照）。

• すべての ELIN ルート パターンは E911 パーティション内にあります。Cisco Unified CM でこれらの番号を設定する方法については、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Creating the Route Patterns for ERLs」を参照してください。

• すべての電話機と CTI ポート（デバイスと回線の両方）は Phone パーティション内にあり、PhoneCSS コーリング サーチ スペースを使用します。追加のパーティションを使用することはできますが、それらのパーティションには、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Setting Up Cisco Emergency Responder to Handle Emergency Calls」で説明されているパーティション例と同じ方法で、Emergency Responder パーティションおよびコーリング サーチ スペースとの関係性を設定する必要があります。

• サービス プロバイダー ネットワークへのすべてのゲートウェイは、E911CSS コーリング サーチ スペースを使用します。詳細については、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Configuring the Calling Search Space for the Gateways Used to Connect to the PSAP」を参照してください。

• 設定されている Cisco Unified CM バージョン（JTAPI jar）が適切です。Cisco Unified CM バージョンを確認するには、次の手順を実行します。

1. Emergency Responder Admin Utility Web サイトにログインします。

2. [Update] > [CCM Version] を選択します。

3. [Status] セクションで、[Current Version of CCM] を確認します。

ELIN が PSAP に伝送されない

ELIN が PSAP に伝送されず、PSAP に対する緊急コールのルーティングに PRI 接続を使用している場合、ゲートウェイの設定を確認します。本社の番号などの固定番号ではなく、実際の発信者番号（ELIN）が送信されるように、PRI を設定する必要があります。『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Obtain CAMA or PRI Trunks to the PSTN」を参照してください。

他の ERL からのコールにデフォルトの ERL の ELIN が使用される

発信元の ERL に割り当てられている ELIN ではなく、デフォルトの ERL に定義されている ELIN が緊急コールに割り当てられる場合、次の点を確認してください。

• Cisco Unified CM で、使用されるはずの ELIN のルート パターンについて確認します。『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Creating the Route Patterns for ERLs」を参照してください。

• Emergency Responder の ERL 定義で、その ERL に対して ELIN が正しく設定されていることを確認します。『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Setting Up an Individual ERL and Its Automatic Location Information (ALI)」を参照してください。

ERL のルート パターンが失敗すると、Emergency Responder ではデフォルト ERL に定義されているルート パターンが使用されます。

緊急コールが正しい PSAP にルーティングされない

緊急コールが PSAP にルーティングされない場合、発信元の ERL およびデフォルト ERL に使用されているルート パターンが設定されていること、および正しいパーティションとコーリング サーチ スペースを使用していることを確認します（『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Creating the Route Patterns for ERLs」を参照）。ゲートウェイのパーティションとコーリング サーチ スペースが正しいことを確認します（『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Configuring the Calling Search Space for the Gateways Used to Connect to the PSAP」を参照）。

緊急コールはローカル ネットワークから送出されますが、正しい PSAP にルーティングされない場合、問題の原因と考えられる次の点を確認してください。

• 電話機に割り当てられた ERL に対して正しい ELIN を割り当てるよう、Emergency Responder が設定されていますか。緊急コールは ELIN に基づいてルーティングされるため、誤った ELIN を割り当てると、コールは正しくルーティングされません。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Creating ERLs」を参照してください。

• ELIN が正しい場合、ELIN のルート パターンは適切なゲートウェイを使用するように設定されていますか。誤ったゲートウェイを選択すると、目的の PSAP に接続できないサービス プロバイダー ネットワークの部分にコールがルーティングされる可能性があります。ゲートウェイの要件を判断するには、サービス プロバイダーにお問い合わせください。

『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』で次のトピックを参照してください。

– 緊急コールのルーティングと PSAP コールバックの有効化を実現するための ELIN 番号の設定

– 2 つ以上の PSAP がある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置

• サービス プロバイダーの ALI データベースに、ELIN の正しい情報が格納されていますか。外部ネットワークでの緊急コールは、ローカル ネットワークの情報ではなく、サービス プロバイダーのデータベースの情報に基づいてルーティングされます。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Exporting ERL Information」を参照してください。

• 緊急コールの電話機は、元のスイッチ ポートをサポートする Emergency Responder グループとは異なる Emergency Responder グループがサポートする Cisco Unified CM クラスタに登録されていますか。その場合、Emergency Responder クラスタの設定が正しくない可能性があります。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』で次のトピックを参照してください。

– 「Installing Cisco Emergency Responder 8.6 on a New System」

– 「Creating Route Patterns for Inter-Cisco Emergency Responder Group Communications」

– 「Configuring Group Telephony Settings For the Cisco Emergency Responder Server」

（注） コールは PSAP に到達するものの、PSAP が発信者と通話できない場合、リモート Emergency Responder グループの Cisco Unified CM に、ローカル Emergency Responder グループの Cisco Unified CM がゲートウェイとして定義されていることを確認します。

緊急コールの発信者がビジー信号を受信することや、緊急コールがルーティングされないことがある

発信者が緊急コール番号に発信したときにビジー信号が聞こえる場合、または緊急コールがルーティングされないことがある場合、スタンバイ Emergency Responder サーバの設定に問題がある可能性があります。

• プライマリ Emergency Responder サーバのみを設定している場合は、スタンバイ Emergency Responder サーバをインストールします。プライマリ サーバの CPU 使用率が 100 % に達すると、Emergency Responder は緊急コールを処理できなくなります。この場合、スタンバイ サーバがあればコールを処理できます。

• スタンバイ サーバのルート ポイント設定を確認します。緊急コール ルート ポイントのコール転送の設定で、この番号にコールが転送されるように指定します。Cisco Unified CM の設定については、『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Creating the Emergency Call Route Points」を参照してください。Emergency Responder の設定については、『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Configuring Group Telephony Settings For the Cisco Emergency Responder Server」を参照してください。

PSAP コールバック エラー

PSAP オペレータが、発信者 ID に指定されている ELIN を使用して緊急コールの発信者にコールバックしようとしたときに、この問題が発生することがあります。

症状 PSAP は、元の緊急コール内線番号に到達できないことがあります。

推奨処置 Emergency Responder は、発信者の実際の内線番号と、ユーザが ERL に定義した ELIN とのマッピングをキャッシュに保存します。ERL に定義した ELIN の数よりもコール数が多いと、Emergency Responder はこれらの番号を再利用する必要があるため、元の発信者の内線番号は上書きされます。元の発信者の内線番号を判断するには、コール履歴を確認します。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「What Happens When an Emergency Call Is Made」を参照してください。

上記に問題がない場合は、Cisco Unified CM および Emergency Responder で PSAP コールバック ルート ポイントの設定を確認し（『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Creating the Emergency Call Route Points」および『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Configuring Group Telephony Settings For the Cisco Emergency Responder Server」を参照）、Cisco Unified CM で ELIN トランスレーション パターンを確認します（『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Creating the Translation Patterns for ELINs」を参照）。

症状 オンサイト アラート（セキュリティ）担当者は、PSAP からコールバックを受けます。

推奨処置 緊急コールに関する ELIN と内線番号間のマッピングがキャッシュ内で期限切れになると、Emergency Responder はデフォルト ERL のオンサイト アラート担当者に PSAP コールバックをルーティングします。デフォルトの有効期限は 3 時間ですが、これよりも長い、または短い期限を設定することもできます。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Cisco Emergency Responder Group Settings」を参照してください。

オンサイト アラート担当者が電話機のアラートを受信できない

ERL で緊急コールが発信されたときに、オンサイト アラート担当者が電話機のアラートを受信できない場合、すべての電話機と CTI ポート（デバイスと回線の両方）が Phone パーティション内にあり、PhoneCSS コーリング サーチ スペースを使用していることを確認します。追加のパーティションを使用することはできますが、それらのパーティションには、『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Setting Up Cisco Emergency Responder to Handle Emergency Calls」で説明されているパーティション例と同じ方法で、Emergency Responder パーティションおよびコーリング サーチ スペースとの関係性を設定する必要があります。

さらに、Cisco Unified CM クラスタの Emergency Responder 設定が正しいことも確認します。Emergency Responder 設定では、Cisco Unified CM で CTI ポートとして定義したテレフォニー ポートの正しい開始アドレスが表示され、テレフォニー ポートに正しい番号が指定されている必要があります。コールを発信するには、この番号が 0 より大きい値でなければなりません。Emergency Responder では、この CTI ポートを使用してオンサイト アラート担当者へのコールを発信します。

Emergency Responder Serviceability Web インターフェイスの Event Viewer に「No port to place call」というメッセージが表示される場合、オンサイト アラート担当者に対するすべてのコールの開始に必要な数の CTI ポートが定義されていません。そのため、追加のポートを定義する必要があります。Event Viewer にアクセスするには、Emergency Responder Serviceability Web インターフェイスにログインし、[Tools] > [Event Viewer] を選択します。

緊急コールの着信時にオンサイト アラート電話機の着信音が鳴らない

緊急コールの着信時にオンサイト アラート電話機の着信音が鳴らない場合、次の問題が発生している可能性があります。

症状 緊急コールの着信時にオンサイト アラート電話機の着信音が鳴りません。

考えられる原因 電話機の Do Not Disturb（DND）機能がイネーブルの場合、および Emergency Responder に Cisco Unified CM 6.x が設定されている場合、オンサイト アラート電話機の着信音は鳴りません。

推奨処置 オンサイト アラート電話機では、DND をイネーブルにしないでください。

電話機のアラートのプロンプトが再生されない

電話機のアラートのプロンプトが再生されない場合、次の問題が発生している可能性があります。

症状 コールが CTI ポートから発信された場合、オンサイト アラート電話機ではプロンプトは再生されません。

説明 この問題は、複数の回線に単一の CTI ポートが設定されている場合に発生する可能性があります。オンサイト アラートの通知コールがこのような 1 つまたは複数の回線を介して発信された場合、その回線からのプロンプトは再生されない可能性があります。

推奨処置 この問題を回避するには、Emergency Responder に設定する Cisco Unified CM で、1 つの CTI ポートにつき 1 回線のみを指定します。

オンサイト アラート担当者に電子メール（または呼び出し）通知が送信されない

オンサイト アラート担当者の電子メール アドレスを設定（『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Onsite Alert Settings」を参照）しても、その担当者が電子メールまたは電子メールベースのページを受信できない場合、Emergency Responder 設定で SMTP の設定を確認します。SMTP サーバ アドレスと発信元メール ID が正しいことを確認し（『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Cisco Emergency Responder Group Settings」を参照）、SMTP サーバにそのメール ID のアカウントがあることを確認します。

誤った位置情報がオンサイト アラート担当者に送信される

オンサイト アラート（セキュリティ）担当者に送信される緊急コールの位置情報に誤りがある場合、次の問題の可能性を検討してください。

• ERL の ALI データは正しいですか。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Creating ERLs」を参照してください。

• スイッチ ポートの電話位置データは正しいですか。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Configuring Switch Ports」を参照してください。

• 電話が接続されるスイッチ ポートには、正しい ERL が割り当てられていますか。これらの条件に該当しない場合、次の 2 つの問題が考えられます。

– 誰かがスイッチの配線を変更したため、以前は正しかった設定が無効になりました。配線を別のポートに移動すると、ERL の割り当てが無効になる可能性があります。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Data Integrity and Reliability Considerations」を参照してください。

– ワイヤリング クローゼットは保護されており、単に ERL の割り当てが間違っています。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Configuring Switch Ports」を参照してください。

• （任意の永続的 ERL にデフォルトの ERL を使用していないという前提で）コールの発信元はデフォルトの ERL でしたか。この場合、次の問題が発生している可能性があります。

– 電話機はサポート対象外のポートに接続され、手動電話機として定義されていません。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Manually Defining a Phone」を参照してください。

– 電話機はサポート対象外であり、手動電話機として定義されていません。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Manually Defining a Phone」を参照してください。

– 電話機はサポートされていますが、Emergency Responder で位置を確認できませんでした。この問題を解決できない場合、状況によっては手動で電話機を ERL に割り当てる必要があります。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Too Many Unlocated Phones」を参照してください。

• コールは手動で定義した電話機の内線番号から発信されましたか。その場合、おそらく電話が移動されたために、誤った ERL が割り当てられている可能性があります。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Manually Defining a Phone」を参照してください。

緊急コールの履歴に関する問題

緊急コール履歴情報を表示（『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Viewing the Emergency Call History」を参照）する際、次のような問題が発生することがあります。

症状 緊急コール情報は、コール履歴にすぐには表示されません。

推奨処置 Emergency Responder では、15 秒ごとにコール履歴情報がデータベースに書き込まれます。そのため、コール履歴情報を表示できるのは、15 秒後の可能性があります。

症状 コール履歴には、コールに使用された ELIN とルート パターンは表示されません。

コールを PSAP にルーティングできなかった場合、ELIN またはルート パターンは表示されません。コールをルーティングできなかった理由を確認して判断してください。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide 』の「Emergency Calls Not Routed to the Correct PSAP」を参照してください。