Cisco DPA の統合
Cisco DPA 7630 および 7610 ボイスメール ゲートウェイ(DPA 7630/7610)は、Cisco CallManager システムを Octel ボイスメール システムと統合する製品です。さらに、このボイスメール システムを Definity または Meridian 1 PBX システムに接続することも可能です。この統合により、既存のサードパーティ製テレフォニー システムを Cisco IP テレフォニー システムと併用することができます。
この統合により、たとえば、Octel ボイスメール用のメッセージ受信のインディケータ(MWI)などの機能を Cisco IP Phone (Cisco CallManager に接続)や従来型のテレフォニー電話(Definity または Meridian 1 PBX Lucent PBX システムに接続)上で確実に設定できます。
DPA 7630/7610 は、次のシステムと組み合せて使用できます。
• Cisco CallManager 3.1(1) 以降
• Octel 200 および 300 ボイスメール システム(APIC/NPIC 統合を使用)
• Octel 250 および 350 ボイスメール システム(FLT-A/FLT-N 統合を使用)
• Definity G3 PBX システム(DPA 7630 のみ)
• Meridian 1 PBX システム(DPA 7610 のみ)
次の項では、DPA 7630/7610 の概要を示し、DPA 7630/7610 と従来型ネットワークと IP テレフォニー ネットワーク内で行われる他のコンポーネントとの対話について概説します。
• 「DPA 7630/7610 の概要」
• 「DPA 7630/7610 の機能」
DPA 7630/7610 の概要
DPA 7630/7610 は、Cisco CallManager と Octel システム(PBX システムに接続可能)の間のゲートウェイとして動作します。DPA 7630/7610 の機能は次のとおりです。
• Cisco CallManager からのコール タイプを判別し、ディスプレイ、ライト、およびリングの各メッセージを Octel システムに送信する。
• 転送やメッセージ受信のインジケータ(MWI)の設定などが Octel システム内で試行されていることを判別し、それに対応するメッセージを Cisco CallManager に送信する。
• DTMF トーンを Skinny Client Control Protocol メッセージに変換する。
• Companding-law のトランスコーディングおよび音声圧縮を実行する。
• ボイスメールの Real-Time Transport Protocol(RTP)のカプセル化を実行する。
DPA 7630/7610 の機能
Cisco DPA 7630/7610 には、Cisco CallManager と Definity PBX システムまたは Meridian 1 PBX のいずれかのシステムに、既存の Octel ボイスメール システムを統合することができます。統合するシステムが Definity PBX の場合は DPA 7630 を使用し、Meridian 1 システムの場合は DPA 7610 を使用します。
また、DPA 7630/7610 には、デジタル電話や PBX システムをエミュレートする機能があります。このエミュレート機能により、DPA 7630/7610 は、Cisco CallManager、Octel、Definity、および Meridian 1 システム上でデジタル電話や PBX システムとして扱うことが可能です。
図 26-1 に、Cisco DPA を示します。
図 26-1 Cisco DPA
DPA 7630/7610 は必要な場合を教えてください
Definity G3 PBX または Meridian 1 PBX から Cisco CallManager にテレフォニー システムを移行する場合には、Cisco CallManager への完全なカットオーバーを行うのか、徐々に移行するのかを決定する必要があります。Cisco CallManager や Cisco ボイスメール ソリューションへの完全なカットオーバーを行う場合は、DPA 7630/7610 は必要ありません。一方、システムを徐々に移行する場合は、Cisco CallManager システムに新しい電話をインストールする間、Definity または Meridian 1 PBX 上の一部の電話を維持する必要があります。既存の Octel ボイスメール システムを Cisco CallManager システムと併用したい場合もあります。このような事情で徐々に移行する場合は、 DPA 7630/7610 は Cisco CallManager への移行時に必要になります。
SMDI だけを使用することはできますか
実際、移行の際に問題になるのは、Octel のようなボイスメール システムでは一度に 1 つの PBX だけが統合できるように設計されていることです。この問題の解決には、複数のクライアントへのボイスメール サービスを統合するよう設計されている Simplified Message Desk Interface(SMDI)が通常使用されます。
SMDI を使用するには、ボイスメール システムがいくつかの条件を満たしている必要があります。
• 十分なデータベース容量があり、2 つの PBX システムを同時にサポートし、各メールボックスを正しい PBX に関連付けて正しいリンクに MWI 情報を送信できること。
• PBX への既存の物理リンクを維持しながら、IP ネットワークをボイスメール システムに物理的に接続できること。
• アナログの統合をサポートしていること。SMDI は基本的にアナログ技術です。
また、SMDI を使用するには、既存テレフォニー ネットワークの再構成が必要です。
SMDI を使用できない場合はどうすればよいですか
SMDI を導入しても問題が解決しない場合があります。特に Octel システム上でデジタル インターフェイスを使用している場合はこれに該当します。デジタル回線カードを使用する Octel システムでは、デジタル電話をエミュレートし、PBX 上ではポート単位統合または PBX integration card (PIC; PBX 統合カード)と呼ばれるデジタル内線電話として扱われます。PIC システム上では、音声とデータ(MWI の設定用)のストリームは同じパスを使用します。MWI の設定と削除は、専用のポート上の機能アクセス コードによって行われます。専用のインターフェイスがこれらの PIC ポートによって使用されるので、標準インターフェイスを使用して PIC ポートを Cisco CallManager に接続することはできません。
ただし、DPA 7630/7610 を使用すれば、これらのインターフェイスを変換して、Cisco CallManager、Octel、および Definity または Meridian 1 システム間で通信することが可能になります。ネットワークのニーズに応じて、数種類の統合方式から選択できます。
参考情報
関連トピック
• 「SMDI ボイスメールの統合」
参考資料
• 『Cisco DPA 7630/7610 Voice Mail Gateways Administration Guide』