起動時の問題の解決
「電話機の起動プロセスの確認」で説明したとおり、Cisco Unified IP Phone をネットワークに設置し、Cisco Unified Communications Manager に追加すると、電話機は起動します。電話機が正しく起動しない場合は、次の項のトラブルシューティング情報を参照してください。
• 「症状:Cisco Unified IP Phone が通常の起動プロセスを実行しない」
• 「症状:Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified Communications Manager に登録されない」
• 「症状:Cisco Unified IP Phone が IP アドレスを取得できない」
症状:Cisco Unified IP Phone が通常の起動プロセスを実行しない
Cisco Unified IP Phone をネットワーク ポートに接続すると、電話機は「電話機の起動プロセスの確認」で説明した通常の起動プロセスを実行し、LCD スクリーンに情報が表示されます。電話機が起動プロセスを実行しない場合、ケーブル不良、不正な接続、ネットワークの停止、電力の不足などの原因が考えられます。または、電話機が動作していない可能性もあります。
電話機が動作しているかどうかを確認するには、次の手順で、考えられるその他の問題を体系的に排除します。
1. ネットワーク ポートが動作していることを確認します。
– イーサネット ケーブルを、動作することがわかっているケーブルと交換します。
– 動作している Cisco Unified IP Phone を別のポートから取り外してこのネットワーク ポートに接続し、このポートがアクティブであることを確認します。
– 起動しない Cisco Unified IP Phone を、正常であることがわかっている別のネットワーク ポートに接続します。
– 起動しない Cisco Unified IP Phone をスイッチのポートに直接接続して、オフィスのパッチ パネル接続を省きます。
2. 電話機に電力が供給されていることを確認します。
– 外部電源を使用している場合は、電気のコンセントが機能していることを確認します。
– インラインパワーを使用している場合は、代わりに外部電源を使用します。
– 外部電源を使用している場合は、動作することがわかっているユニットに切り替えます。
3. これらを実行しても電話機が正常に起動しない場合は、ハンドセットをオフフックにして電話機の電源を入れます。この方法で電話機に電源を投入すると、電話機はバックアップ ソフトウェア イメージを起動しようとします。
4. これらを試しても、電話機が正常に起動しない場合は、電話機を工場出荷時の状態にリセットします。手順については、「工場出荷時の状態へのリセット」を参照してください。
これらの解決策を試みた後、5 分経過しても Cisco Unified IP Phone の LCD スクリーンに何も表示されない場合は、シスコのテクニカルサポートの担当者に連絡して、サポートを受けてください。
ネットワーク接続の確認
電話機と、TFTP サーバまたは Cisco Unified Communications Manager との間のネットワークがダウンしていると、電話機は正常に起動できません。現在、ネットワークが作動していることを確認してください。
TFTP サーバの設定の確認
電話機が使用している TFTP サーバの IP アドレスを確認するには、アプリケーション ボタンを押し、[管理者設定(Administrator Settings)] > [ネットワークのセットアップ(Network Setup)] > [IPv4] > [TFTP サーバ 1(TFTP Server 1)] を選択します。
電話機にスタティック IP アドレスを割り当てている場合は、手動で [TFTP サーバ 1(TFTP Server 1)] オプションに設定値を入力する必要があります。「[ネットワークのセットアップ(Network Setup)] メニュー」を参照してください。
DHCP を使用している場合は、電話機は TFTP サーバのアドレスを DHCP サーバから取得します。オプション150 で、設定した IP アドレスを確認します。
また、電話機が代替 TFTP サーバを使用できるように設定することもできます。このような設定は、電話機の場所を最近移動した場合などに特に役立ちます。手順は、「[ネットワークのセットアップ(Network Setup)] メニュー」を参照してください。
DNS 設定の確認
TFTP サーバまたは Cisco Unified Communications Manager を参照するために DNS を使用している場合は、DNS サーバが指定されていることを確認してください。この設定を確認するには、アプリケーション ボタンを押し、[管理者設定(Administrator Settings)] > [ネットワークのセットアップ(Network Setup)] > [IPv4] > [DNS サーバ 1(DNS Server 1)] を選択します。また、DNS サーバに、TFTP サーバと Cisco Unified Communications Manager システムの CNAME エントリが存在することを確認する必要もあります。
また、DNS が逆ルックアップを実行するように設定されていることも確認する必要があります。
Cisco CallManager および TFTP サービスが作動していない
Cisco CallManager または TFTP サービスが作動していない場合は、電話機が正常に起動できないことがあります。ただし、このような状況では、システム全体の障害が発生しており、他の電話機やデバイスも正常に起動できなくなっている可能性があります。
Cisco CallManager サービスが作動していない場合は、コールを確立するためにこのサービスに依存しているネットワーク上のすべてのデバイスが影響を受けます。TFTP サービスが作動していないと、多数のデバイスが正常に起動できません。
サービスを開始するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、[ナビゲーション(Navigation)] ドロップダウン リストから [Cisco Unifiedサービスアビリティ(Cisco Unified Serviceability)] を選択し、[移動(Go)] をクリックします。
ステップ 2 [Tools] > [Control Center] > [Feature Services] を選択します。
ステップ 3 [Server] ドロップダウン リストで、プライマリの Cisco Unified Communications Manager サーバを選択します。
ウィンドウに、選択したサーバのサービス名、サービスのステータス、およびサービスを停止または開始するためのサービス コントロール パネルが表示されます。
ステップ 4 サービスが停止している場合は、そのサービスのオプション ボタンをクリックして、[Start] ボタンを押します。
[Service Status] 記号が四角形から矢印に変わります。
(注) サービスを開始または停止するには、事前にサービスをアクティブにする必要があります。サービスをアクティブにするには、[Tools] > [Service Activation] を選択します。
設定ファイルの新規作成
この章に記載された他の解決策を試みても解決しない問題が特定の電話機で存続する場合は、設定ファイルが破損している可能性があります。
新しい設定ファイルを作成するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、[デバイス(Device)] > [電話(Phone)] > [検索(Find)] を選択して、問題が発生している電話機を特定します。
ステップ 2 [削除(Delete)] を選択して、電話機を Cisco Unified Communications Manager データベースから削除します。
ステップ 3 電話機を Cisco Unified Communications Manager データベースに追加し直します。詳細については、「Cisco Unified CM データベースへの電話機の追加」を参照してください。
ステップ 4 電話機の電源投入サイクルを実行します。
(注) • Cisco Unified Communications Manager データベースから電話機を削除すると、その設定ファイルが Cisco Unified Communications Manager TFTP サーバから削除されます。電話機の電話番号は、Cisco Unified Communications Manager データベースに残ります。これらは、「未定義の DN」と呼ばれ、他のデバイスで使用できます。未定義の DN を他のデバイスで使用しない場合は、それらを Cisco Unified Communications Manager データベースから削除します。ルート プラン レポートを使用すると、未定義の DN を表示および削除できます。詳細については、『Cisco Unified Communications Manager Administration Guide』を参照してください。
• 電話ボタン テンプレートのボタンを変更したり、異なる電話ボタン テンプレートを電話機に割り当てたりすると、電話機から電話番号にアクセスできなくなることがあります。Cisco Unified Communications Manager データベースでは、引き続き電話番号が電話機に割り当てられていますが、コールに応答するためのボタンが電話機にないためです。これらの電話番号は、電話機から消去し、必要に応じて削除してください。
Cisco Unified Communications Manager への電話機の登録
Cisco Unified IP Phone は、電話機がサーバに追加されている場合、または自動登録が有効になっている場合であって、十分な数のユニット ライセンスが利用できる場合のみ、Cisco Unified Communications Manager サーバに登録できます。電話機が Cisco Unified Communications Manager データベースに追加されているかどうかを確認するには、「Cisco Unified CM データベースへの電話機の追加」の説明と手順を参照してください。
電話機が Cisco Unified Communications Manager データベースに登録されていることを確認するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページで [デバイス(Device)] > [電話(Phone)] > [検索(Find)] を選択して、MAC アドレスに基づいて電話機を検索します。MAC アドレスを特定する方法については、「Cisco Unified IP Phone の MAC アドレスの特定」を参照してください。
電話機がすでに Cisco Unified Communications Manager データベースに登録されている場合は、その設定ファイルが損傷している可能性があります。サポートについては、「設定ファイルの新規作成」を参照してください。
ライセンスの詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager System Guide 』の「 Licenses for Phones 」を参照してください。
症状:Cisco Unified IP Phone が IP アドレスを取得できない
電話機が起動時に IP アドレスを取得できない場合、その電話機が、DHCP サーバと同じネットワークまたは VLAN にないか、または電話機が接続されているスイッチ ポートが無効になっている可能性があります。電話機が接続されているネットワークまたは VLAN が、DHCP サーバにアクセスできることを確認し、スイッチ ポートが有効であることを確認します。
Cisco Unified IP Phone の突然のリセット
電話機が通話中やデスク上でアイドル状態のときにリセットされるという報告をユーザから受けた場合は、原因を調査する必要があります。ネットワーク接続と Cisco Unified Communications Manager の接続が安定している場合は、Cisco Unified IP Phone が単独でリセットされることはありません。
通常は、イーサネット ネットワークまたは Cisco Unified Communications Manager への接続に問題がある場合に電話機がリセットされます。次の項は、ネットワーク内で電話機がリセットされる原因を特定するうえで役立ちます。
• 「物理的な接続の確認」
• 「断続的なネットワークの停止の特定」
• 「DHCP 設定の確認」
• 「スタティック IP アドレスの設定の確認」
• 「ボイス VLAN の設定の確認」
• 「電話機が意図的にリセットされていないことの確認」
• 「DNS エラーまたは他の接続エラーの排除」
物理的な接続の確認
Cisco Unified IP Phone が接続されているイーサネット接続が作動していることを確認します。たとえば、電話機が接続されている特定のポートまたはスイッチがダウンしていないか、またスイッチが再起動中でないかどうかを確認します。さらにケーブルの切断がないことを確認します。
断続的なネットワークの停止の特定
断続的なネットワークの停止は、データ トラフィックと音声トラフィックにそれぞれ異なる影響を与えます。ネットワークは、検出されないまま断続的に停止していることがあります。この場合、データ トラフィックでは喪失パケットを再送信し、パケットが受信および送信されたことを確認できます。ただし、音声トラフィックでは、喪失パケットを取り戻すことはできません。電話機は、失われたネットワーク接続を再送信するのではなく、リセットしてネットワークへの再接続を試みます。
音声ネットワークで問題が発生している場合は、既存の問題が単に表面化しただけであるかどうかを調べる必要があります。
DHCP 設定の確認
電話機が DHCP を使用するように正しく設定されているかどうかを判別するには、次の手順を実行することを推奨します。
1. 電話機が DHCP を使用するように正しく設定されていることを確認します。詳細については、「[ネットワークのセットアップ(Network Setup)] メニュー」を参照してください。
2. DHCP サーバが正しく設定されていることを確認します。
3. DHCP リース期間を確認します。シスコでは、この値を 8 日に設定することを推奨しています。
ボイス VLAN の設定の確認
ネットワークの使用量が多いときに Cisco Unified IP Phone がリセットされるように見受けられる場合は(たとえば、電話機と同じスイッチに接続されているコンピュータで過度に Web サーフィンをしている場合など)、ボイス VLAN が設定されていない可能性があります。
電話機を個別の補助 VLAN に分離することで、音声トラフィックの品質が向上します。詳細については、「Cisco Unified IP Phone が VLAN と連携する方法について」を参照してください。
電話機が意図的にリセットされていないことの確認
Cisco Unified Communications Manager へのアクセス権を持つ管理者が 1 人だけではない場合は、他の管理者が意図的に電話機をリセットしていないかどうかを確認する必要があります。
Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified Communications Manager からリセット コマンドを受信していないかどうかを確認するには、電話機のアプリケーション ボタンを押し、[管理者設定(Administrator Settings)] > [ステータス(Status)] > [ネットワーク統計(Network Statistics)] を選択します。最近、電話機がリセットされた場合は、次のいずれかのメッセージが表示されます。
• Reset-Reset:電話機は、Cisco Unified Communications Manager の管理機能からリセット/リセットを受信したために切断されました。
• Reset-Restart:電話機は、Cisco Unified Communications Manager の管理機能からリセット/リスタートを受信したために切断されました。
DNS エラーまたは他の接続エラーの排除
まだ電話機がリセットを繰り返す場合は、次の手順で、DNS エラーまたは他の接続エラーを排除します。
手順
ステップ 1 [設定のリセット(Reset Settings)] メニューを使用して、電話機をデフォルト値にリセットします。詳細については、「Cisco Unified IP Phone のリセットまたは復元」を参照してください。
ステップ 2 次の操作を実行して、DHCP および IP の設定を変更します。
a. DHCP を無効にします。手順は、「[ネットワークのセットアップ(Network Setup)] メニュー」を参照してください。
b. 電話機にスタティック IP 値を割り当てます。手順は、「[ネットワークのセットアップ(Network Setup)] メニュー」を参照してください。機能している他の Cisco Unified IP Phone で使用しているものと同じデフォルト ルータの設定を使用します。
c. TFTP サーバを割り当てます。手順は、「[ネットワークのセットアップ(Network Setup)] メニュー」を参照してください。機能している他の Cisco Unified IP Phone で使用しているものと同じ TFTP サーバの設定を使用します。
ステップ 3 Cisco Unified Communications Manager サーバで、正しい IP アドレスにマッピングされている正しい Cisco Unified Communications Manager サーバ名がローカル ホスト ファイルに指定されていることを確認します。
ステップ 4 Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、[システム(System)] > [サーバ(Server)] を選択し、サーバが DNS 名ではなく IP アドレスで参照されていることを確認します。
ステップ 5 Cisco Unified Communications Manager で、[デバイス(Device)] > [電話(Phone)] > [検索(Find)] を選択し、この Cisco Unified IP Phone に正しい MAC アドレスが割り当てられていることを確認します。MAC アドレスを特定する方法については、「Cisco Unified IP Phone の MAC アドレスの特定」を参照してください。
ステップ 6 電話機の電源投入サイクルを実行します。
電源の接続の確認
外部電源から電話機に電力が供給されていたが、外部電源との接続が失われ、PoE に切り替わった場合に、電話機が再起動することがよくあります。同様に、PoE を使用して電力が供給されている電話機が外部電源に接続された場合にも、電話機が再起動することがあります。
Cisco Unified IP Phone のリセットまたは復元
Cisco Unified IP Phone をリセットまたは復元するには、一般に、次の 2 つの方法があります。
• 「基本的なリセットの実行」
• 「工場出荷時の状態へのリセット」
基本的なリセットの実行
Cisco Unified IP Phone の基本的なリセットを実行すると、電話機にエラーが発生している状態から復旧したり、各種の設定およびセキュリティ設定をリセットまたは復元したりすることができます。
表 9-3 に、基本的なリセットを実行する方法を示します。電話機が起動した後は、これらのいずれかの操作で電話機をリセットできます。状況に適した操作を選択してください。
表 9-3 基本的なリセットの方法
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電話機の再起動 |
[サービス(Services)] ボタン、[アプリケーション(Applications)] ボタン、または [ディレクトリ(Directories)] ボタンを押し、次に **#** を押します。 |
ユーザ セットアップおよびネットワーク セットアップに変更を加えていても、電話機がフラッシュ メモリに書き込んでいない場合は、以前に保存された設定にリセットされ、その後、電話機が再起動されます。 |
設定のリセット |
設定をリセットするには、アプリケーション ボタンを押し、[管理者設定(Admin Settings] > [設定のリセット(Reset Settings)] > [ネットワーク(Network)] を選択します。 |
ユーザ セットアップおよびネットワーク セットアップの設定値をデフォルト値にリセットし、電話機を再起動します。 |
CTL ファイルをリセットするには、アプリケーション ボタンを押し、[管理者設定(Admin Settings)] > [設定のリセット(Reset Settings)] > [セキュリティ(Security)] を選択します。 |
CTL ファイルがリセットされます。 |
工場出荷時の状態へのリセット
Cisco Unified IP Phone を工場出荷時の状態にリセットすると、次の情報が消去されたり、デフォルト値にリセットされたりします。
• ユーザ設定:デフォルト値にリセットされる。
• ネットワーク セットアップの設定:デフォルト値にリセットされる。
• 通話履歴:消去される。
• ロケール情報:デフォルト値にリセットされる。
工場出荷時の状態にリセットする前に、次の条件を満たしていることを確認します。
• 電話機が DHCP 対応のネットワーク上にある。
• 有効な TFTP サーバが DCHP サーバの DCHP オプション 150 またはオプション 66 に設定されている。
電話機を工場出荷時の状態にリセットするには、アプリケーション ボタンを押し、[管理者設定(Admin Settings)] > [設定のリセット(Reset Settings)] > [すべて(All)] を選択します。
あるいは、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 電話機の電源が入っている間に # を押します。
ステップ 2 ミュート ボタンのライトとハンドセットのライト ストリップが消灯し、その他のすべてのライト(回線ボタン、ヘッドセット ボタン、スピーカフォン ボタン、選択ボタン)が緑色に点灯しているときに、 123456789*0# の順にボタンを押します。
1 を押すと、回線ボタンのライトが赤く点灯します。ボタンを押すと、選択ボタンのライトが点滅します。
ボタンを押す順番を間違えると、回線ボタン、ヘッドセット ボタン、スピーカフォン ボタン、選択ボタンは緑色に点灯します。もう一度最初から、 123456789*0# の順にボタンを押します。
これらのボタンを押すと、電話機を工場出荷時の状態にリセットするプロセスが実行されます。
工場出荷時の状態にリセットするプロセスが完了して、メイン画面が表示されるまで、電話機の電源を切らないでください。
コールの音声品質のモニタリング
ネットワーク内で送受信されるコールの音声品質を測定するために、Cisco Unified IP Phone では、次の秘匿イベントに基づいた統計メトリックを使用します。DSP は、音声パケット ストリーム内でフレーム損失の部分をマスクするために、秘匿フレームを処理します。
• 秘匿率のメトリック:音声フレームの総数に対する秘匿フレームの比率を示します。間隔秘匿率は、3 秒ごとに計算されます。
• 秘匿された秒数のメトリック:損失フレームが原因で DSP が秘匿フレームを処理する場合の処理秒数を示します。厳密な「秘匿された秒数」は、DSP が 5 % を超える秘匿フレームを処理する場合の秒数です。
• Listening Quality(LQK; リスニング品質)の音質メトリックに関する Mean Opinion Score(MOS; 平均オピニオン評点):数値スコアを使用して、音声リスニング品質を評価します。Cisco Unified IP Phone は、先行の 8 秒間でのフレーム損失を原因とする、MOS LQK に基づいた可聴の秘匿イベントを計算します。計算には、コーデックのタイプやフレーム サイズなどの重み付け係数も採り入れられます。
MOS LQK スコアは、Cisco Voice Transmission Quality(CVTQ)インデックスというシスコ独自のアルゴリズムによって算出されます。MOS LQK バージョン番号によっては、これらのスコアは International Telecommunications Union(ITU; 国際電気通信連合)規格 P.564 に準拠します(この規格は、評価方法、および実際のネットワーク障害の観測に基づいたリスニング品質スコアを予測するパフォーマンス精度目標を規定しています)。
(注) 秘匿率と秘匿秒数は、フレーム損失に基づいた主要な測定値です。秘匿率がゼロの場合は、IP ネットワークが損失なく時間どおりにフレームやパケットを配信していることを示しています。
音声品質メトリックには、Cisco Unified IP Phone から [コールの統計(Call Statistics)] 画面を使用してアクセスできます(「[コールの統計(Call Statistics)] 画面」を参照)。また、[ストリームの統計(Streaming Statistics)] を使用してリモートでアクセスすることもできます( 「Cisco Unified IP Phone のリモート モニタ」 の章を参照)。
トラブルシューティングのヒント
メトリックに大幅な変化が継続的に見られた場合は、 表 9-4 の一般的なトラブルシューティング情報を使用してください。
表 9-4 音声品質メトリックの変化
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秘匿率と秘匿秒数が大幅に増加した |
パケット損失または高いジッタによるネットワーク障害。 |
秘匿率はほとんどゼロであるが、音声品質が悪い |
• 音声チャネルのノイズや歪み(エコー レベルやオーディオ レベルなど)。 • 複数のエンコード/デコードが使用されているタンデム コール(携帯電話ネットワークやテレホン カード ネットワークへのコールなど)。 • スピーカフォン、ハンドフリー携帯電話、またはワイヤレス ヘッドセットなどから発生する音響問題。 送信パケット(TxCnt)と受信パケット(RxCnt)のカウンタをチェックし、音声パケットが流れていることを確認します。 |
MOS LQK スコアが著しく減少 |
パケット損失または高いジッタ レベルによるネットワーク障害。 • 平均 MOS LQK の減少は、広範囲の画一的な障害を示しています。 • 個別の MOS LQK の減少は、集中的な障害を示しています。 フレーム損失率とフレーム損失発生秒数を照合して、パケット損失やジッタがないか確認してください。 |
MOS LQK スコアが著しく増加 |
• 電話機が適切なコーデック(RxType および TxType)を使用しているかどうか確認してください。 • MOS LQK のバージョンがファームウェア アップグレード以降に変更されたかどうかを確認してください。 |
(注) 音声品質メトリックでは、ノイズや歪みなどは考慮されません。フレーム損失だけが考慮されます。
音声品質メトリックの使用
音声品質モニタリング用のメトリックを使用する場合は、パケット損失率がゼロの通常の条件で典型的なスコアを記録し、このメトリックを比較のベースラインとして使用してください。
メトリックにおいてランダムな変化と重大な変化を区別することも重要です。重大な変化とは、約 0.2 MOS 以上の変化があるスコア、または 30 秒を超えるコールで持続するスコアです。フレーム損失率に変化があると、3% を超えるフレーム損失があることを意味します。
MOS LQK スコアは、Cisco Unified IP Phone が使用するコーデックに基づいて変化する可能性があります。フレーム損失のない条件下で Cisco Unified Phone 6921、6941、6945、および 6961 に最大 MOS LQK スコアを提供するコーデックを次に示します。
• G.711:4.5 MOS LQK
• G.722:4.5 MOS LQK
• G.728/iLBC:3.9 MOS LQK
• G729A/AB:3.7 MOS LQK
(注) • ITU がワイドバンドへの技術の拡張を定義していないため、Cisco Voice Transmission Quality(CVTQ)は、ワイドバンド(7 kHz)スピーチ コーデックをサポートしません。したがって、MOS スコアの報告ではなく基本品質モニタリングを可能にするために、G.722 コールに対して G.711 パフォーマンスに対応する MOS LQK スコアが報告されます。
• CVTQ を使用してワイドバンド コールに対して G.711 スケール MOS スコアを報告することで、基本品質分類が優良/正常、または不良/異常として示されるようになります。高いスコア(約 4.5)のコールは、高い品質/低いパケット損失を示し、低いスコア(約 3.5)は低い品質/高いパケット損失を示します。
• MOS とは異なり、フレーム損失率およびフレーム損失発生秒数はワイドバンド コールとナローバンド コールの両方で、依然として有効かつ有用です。
秘匿率がゼロの場合は、IP ネットワークが損失なく時間どおりにフレームやパケットを配信していることを示しています。