Microsoft Exchange の統合に影響することが確認されている問題
ここでは、Microsoft Exchange Server のバージョン(2003、2007、2010)に共通または特有の既知の問題について説明します。
• 「予定表統合のスケールの制限」
• 「ユーザが Exchange サーバ間で移動すると、予定表ステータスが更新されない」
• 「LDAP ユーザの削除が Cisco Unified Presence に反映されるまでに最低 24 時間かかる」
• 「WebDAV 経由で予定表との統合を行う場合のローカリゼーションに関する注意事項」
• 「Exchange サーバの URL に「Calendar」の訳語が含まれている必要がある」
• 「Cisco IP Phone Messenger 対応の電話機のプレゼンス ゲートウェイ設定の確認」
• 「Microsoft HotFix KB841561 の適用」
• 「Exchange 2007 から「HTTP 503 サービス利用不可(HTTP 503 Service Unavailable)」エラーが返され、予定表の統合が失敗する」
• 「会議通知および Cisco IP Phone Messenger のサポート」
予定表統合のスケールの制限
Cisco Unified Presence と Exchange の予定表の統合は、予定表プレゼンスを購読するユーザの最大 X% と予定表の同時移行(会議への同時出席または同時退席など)を行うユーザの最大 Y% について検証されています。Cisco Unified Presence Release 8.5 の場合、X および Y の値は次のとおりです。
• X = 50
• Y = 30
ユーザが Exchange サーバ間で移動すると、予定表ステータスが更新されない
問題
Exchange を統合した環境で、Exchange 管理者がユーザをある Exchange サーバから別の Exchange サーバへ移動すると、そのユーザについては予定表ステータスの変更が更新されません。
原因
この問題は、ユーザを別のサーバへ移動したことを Exchange サーバが通知しないために発生します。
ソリューション
Cisco Unified Presence 管理者またはユーザは、Exchange 管理者がユーザをある Exchange サーバから別の Exchange サーバへ移動した 後で 、そのユーザの予定表統合をいったん無効にし、再び有効にする必要があります。
LDAP ユーザの削除が Cisco Unified Presence に反映されるまでに最低 24 時間かかる
問題
LDAP からユーザを削除すると、そのユーザのステータス変更が Cisco Unified Communications Manager で非アクティブとなり、それ以降、クライアント アプリケーションでのユーザ認証は失敗します。ただし、Cisco Unified Communications Manager が LDAP との間で変更を同期すると、管理者による強制的な同期またはスケジュールされた同期が実行された 後 24 時間、ユーザは削除されないことがテストによって確認されています。
Cisco Unified Presence 上の Cisco UP Sync Agent は、ユーザが削除されるまでユーザ ステータスの変更を同期しません。それまでの間、そのユーザは Cisco Unified Communications Manager に存在し、すべての Cisco Unified Presence 機能(Exchange 予定表の購読を含む)がそのユーザに対して 24 時間にわたり有効なままとなります。このような遅延が生じるのは、そのユーザが LDAP から削除される 前に クライアント アプリケーション(Cisco Unified Personal Communicator)にサイン インしたユーザが自動的にサイン アウトされないことを意味します。そのユーザの以前の予定表ステータス(応対可能、取り込み中)は、ユーザがクライアントからサイン アウトするまで Cisco Unified Presence に残存します。
原因
この問題は、Cisco Unified Communications Manager を設定し、LDAP 認証を使用している場合に発生します。LDAP からユーザを削除した場合、そのユーザの予定表の購読は、最低 24 時間 Cisco Unified Presence 上に存続し、更新されます。
ソリューション
LDAP からユーザを削除する場合、Cisco Unified Presence が Exchange 予定表の購読をただちに停止し、削除されたユーザをクライアント アプリケーションからサイン アウトするように、そのユーザのライセンスを手動で削除できます。そうしない場合、24 時間の遅延が発生する可能性があることに注意してください。
WebDAV 経由で予定表との統合を行う場合のローカリゼーションに関する注意事項
問題
Cisco Unified Communications Manager に別の言語/ロケールがインストールされている場合に、ユーザの Exchange メールボックスの言語をデフォルト(英語)のままにすると、予定表が英語のデフォルト名となり、そのユーザの言語/ロケールは変更できません。予定表の購読について 404 エラーが返されます。
原因
この問題は、WebDAV 経由のローカライズされた Exchange 2003/2007 統合でのみ発生します。この問題は EWS 統合には影響しません。
ソリューション
• この問題の発生を防ぐには、Exchange の設定時に言語を正しく設定することを推奨します。Cisco Unified Communications Manager に適切な言語/ロケールをインストールし、ユーザが最初にサイン インするときに Exchange サーバで適切な言語/ロケールを選択します。
• ユーザの Exchange メールボックスの言語を英語に設定し、Cisco Unified Communications Manager に別の言語/ロケールがインストールされている場合は、そのユーザについて Cisco Unified Communications Manager の言語/ロケールを英語に戻す必要があります。この設定の手順については、「多言語の予定表と統合する場合のユーザ ロケールの設定」を参照してください。
Exchange サーバの URL に「Calendar」の訳語が含まれている必要がある
予定表の統合をローカライズする場合は、Exchange サーバの URL に「Calendar」の訳語が含まれていることを確認してください。
手順
ステップ 1 Cisco Unified Presence と Exchange サーバに同じ言語ロケールをインストール(ロケール インストーラをロード)します。Cisco Unified Presence にロケールをインストールする方法の詳細については、 「[任意] 予定表を統合する場合の多言語サポートの設定方法」を 参照してください。
ステップ 2 Cisco Unified Presence サーバを再起動し、Cisco Unified Presence の管理画面にログインします。
ステップ 3 予定表について別のロケールをサポートしている既存の Exchange プレゼンス ゲートウェイを検索し、削除します([ プレゼンス(Presence)] > [ゲートウェイ(Gateways)] を選択)。
ステップ 4 新しい Exchange プレゼンス(Outlook)ゲートウェイを追加します。[新規追加(Add New)] を選択します。
ステップ 5 データベース(pebackendgateway テーブル)で、インストールした言語ロケールに 'localecalendarname' 属性が含まれていることを確認します。
Cisco IP Phone Messenger 対応の電話機のプレゼンス ゲートウェイ設定の確認
Receive-As アカウント クレデンシャルと証明書の交換が正しく設定されている場合、Cisco IP Phone Messenger 対応の電話機にはユーザのスケジュールされた会議が表示されます。Outlook プレゼンス ゲートウェイが正しく設定されていることを確認するには、適切に設定された電話機で次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 [サービス(Services)] を選択します。
ステップ 2 [PhoneMessenger] を押します。
ステップ 3 IP Phone Messenger サービスにサイン インします。
ステップ 4 [1 今日の会議(1 Today's meetings)] を選択します。
ステップ 5 ユーザの当日の会議が表示されることを確認します。
Microsoft HotFix KB841561 の適用
この問題は Microsoft Exchange 2003 でのみ発生します。Exchange 2003 サーバで問題が発生し、「500 内部サーバー エラー(500 Internal Server Error)」が表示された場合は、Microsoft HotFix KB841561 を適用してください。
手順
ステップ 1 Windows Server 2003 および Microsoft Exchange 2003 の SP2 をアンインストールします。
ステップ 2 Windows Server 2003 および Exchange 2003 の SP1 をインストールします。
ステップ 3 KB841561 を http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?familyid=050be883-11fc-4045-b988-c737e79c65d0&displaylang=en からダウンロードしてインストールします。
ステップ 4 Windows Server 2003 および Microsoft Exchange 2003 の SP2 をインストールします。
Exchange 2007 から「HTTP 503 サービス利用不可(HTTP 503 Service Unavailable)」エラーが返され、予定表の統合が失敗する
この問題は Microsoft Exchange 2007 でのみ発生します。
問題
Exchange 2007 以降においては、Outlook Web アクセスの URL が /exchange から /owa に変更されています。これは、OWA が Exchange 2007 メールボックス サーバ上のメールボックスにアクセスするときに使用する仮想ディレクトリです。ところが、WebDAV 経由での Exchange 2007 との統合では以前の URL が使用されているため、Cisco Unified Presence は SUSCRIBE 要求を常に /exchange 仮想ディレクトリに送信します。Exchange Server 2007(SP1)でのテストでは、 http://<server>/exchange を http://<server>/owa にリダイレクトすると、Exchange 2007 のインターネット インフォメーション サービス(IIS; Internet Information Services)マネージャ コンソールにエラー(HTTP 503 サービス利用不可(HTTP 503 Service Unavailable))が表示されることが確認されています。
原因
この問題は、Exchange 2007 SP1 を使用していて、Exchange 仮想ディレクトリのターゲット アドレスを Web メール用のデフォルト OWA ディレクトリにリダイレクトした場合に発生します。
ソリューション
「503 サービス利用不可(503 Service Unavailable)」エラー メッセージが表示された場合は、次の手順を実行してください。
手順
ステップ 1 [Administrative Tools] から [Internet Information Services] を開きます。
ステップ 2 IIS の Microsoft Exchange 仮想ディレクトリを削除します。
ステップ 3 表示される警告を確認し、推奨されているコマンドレットを Exchange Management Shell(EMS; Exchange 管理シェル)で実行します。
ステップ 4 このコマンドレットを EMS で実行することにより、Exchange 仮想ディレクトリが正しく設定されていることを確認し、ディレクトリを再度 IIS に追加します。
New-OwaVirtualDirectory -name exchange -OWAVersion Exchange2003or2000 -VirtualDirectoryType mailboxes
ステップ 5 Exchange サーバによって仮想ディレクトリが IIS に設定されるのを待ちます。
ステップ 6 IIS を再起動します。
ステップ 7 完全なターゲット アドレス( http://mail.contoso.com/exchange/user@contoso.com/calendar など)を使用して、 http://<server>/exchange/<user email address>/calendar をテストします。
ステップ 8 ユーザ名とパスワードの入力を求めるメッセージが表示されることを確認します。これは、WebDAV が有効であり、仮想ディレクトリに正しく設定されていることを示します。Active Directory のクレデンシャルを入力します。
ステップ 9 Cisco Unified Presence の IIS ログが表示されたら、内容を確認します。
ステップ 10 ログに 401 認証の問題が報告されている場合は、アクセスを認証するドメインを追加します。
ステップ 11 IIS を再起動します。
ステップ 12 [Cisco Unified サービスアビリティ(Cisco Unified Serviceability)] > [Tools] > [Service Activation] の順に選択し、Cisco UP プレゼンス エンジンを再起動します。
ステップ 13 再度 IIS ログを調べ、予定表に関して正しい SUBSCRIBE メッセージが含まれていることを確認します。
トラブルシューティングのヒント
この手順は、Microsoft Entourage 2008 を使用して電子メールを表示するために WebDAV を必要とする Apple MAC ユーザも対象となります。
会議通知および Cisco IP Phone Messenger のサポート
会議通知機能および Cisco IP Phone Messenger 機能は、ネットワークを WebDAV 経由で統合した場合にのみ有効です。そのため、この問題は Microsoft Exchange 2003 または 2007 でのみ発生します。これらの機能は EWS 統合ではサポートされません。