クラスタ設定のチェックリスト
表 6-1 は、同じデータベースとリソースを共有する Cisco Unified Communications Manager サーバのセットで構成される Cisco Unified Communications Manager クラスタのインストールと設定に必要な手順の概要を示しています。
表 6-1 クラスタ設定のチェックリスト
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ステップ 1 |
最初のノードと後続のサーバに Cisco Unified Communications Manager やその他のソフトウェア アプリケーションをインストールするのに必要な情報を収集します。また、クラスタにサーバを割り当てる方法も決定します。 |
『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) 』 『 Installing Cisco Unified Communications Manager Release 8.5(1) 』 『Cisco Unified IP-IVR Installation Guide』 |
ステップ 2 |
データベース サーバ(最初のノード)をインストールします。 |
インストールするハードウェア コンポーネントのインストール マニュアルを参照。 |
ステップ 3 |
Cisco Unified Communications Manager と追加のソフトウェア アプリケーションを後続のサーバにインストールします。 (注) 後続のサーバのインストール前に、Cisco Unified Communications Manager の管理ページの [サーバの設定(Server Configuration)] ウィンドウでノードを定義する必要があります。 |
『 Installing Cisco Unified Communications Manager Release 8.5(1) 』 『Cisco Unified IP-IVR Installation Guide』 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「サーバの設定」 |
ステップ 4 |
デバイス プールを設定し、デバイス プールを使用して個々のデバイスを Cisco Unified Communications Manager グループに割り当てます。 |
『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「デバイス プールの設定」 |
ステップ 5 |
クラスタ間トランクを使用する場合は、トランクをインストールし、ゲートキーパーに制御されるクラスタ間トランク、またはゲートキーパーに制御されないクラスタ間トランクとして設定します。 |
『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) 』 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の |
ステップ 6 |
クラスタ間トランクにコール アドミッション制御を行う場合は、ゲートキーパーに制御されるクラスタ間トランクまたは Cisco Unified Communications Manager ロケーションのどちらかを設定します。 |
『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) 』 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「トランクの設定」 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ロケーションの設定」 |
クラスタ
クラスタは、同じデータベースとリソースを共有する Cisco Unified Communications Manager サーバのセットで構成されています。クラスタ内のサーバをさまざまな方法で設定すると、次の機能を実行できます。
• データベース リプリケーション
• TFTP サーバ
• アプリケーション ソフトウェア サーバ
「コール処理の負荷バランス」および『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) 』で説明するように、コール処理の冗長化と負荷バランシングにクラスタのさまざまなノードを使用できます。
クラスタのさまざまなノードで機能サービスを有効にして、クラスタで特定機能を実行するサーバを指定できます。Cisco Unified サービスアビリティ ページの [Service Activation] ウィンドウにアクセスして、システムの規模と目的の冗長化のレベルに応じて、特定のサーバを特定の機能専用にすることや、1 台のサーバに複数の機能を組み合わせることができます。
ヒント Restart Cisco Communications Manager on Initialization Exception サービス パラメータは、初期化中にエラーが発生した場合に、Cisco CallManager サービスを再起動するかどうかを指定するものです。このパラメータのデフォルトは TRUE です。この値では、初期化中にエラーが発生した場合、Cisco Communications Manager の初期化は中止されます。この値を FALSE に設定すると、エラーが発生した場合でも初期化は続行されます。このクラスタ全体のパラメータは、[Clusterwide Parameters(System - General)] サブセクションにあります。サービス パラメータの詳細な設定方法については、『Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド』のを参照してください。
クラスタ サイズと推奨構成の詳細については、『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) 』を参照してください。
[Service Activation] ウィンドウの詳細については、『 Cisco Unified Serviceability Administration Guide 』を参照してください。
クラスタでのデータベース リプリケーション
クラスタとは、共通のデータベースを共有する Cisco Unified Communications Manager サーバをセットとして集めたものです。Cisco Unified Communications Manager をインストールし、設定するとき、どのサーバを同じクラスタに所属させるかを指定します。クラスタは、最初のノード(パブリッシャ)と後続のノード(サブスクライバ)で構成されます。クラスタの最初のノードには Cisco Unified Communications Manager データベースが含まれます。このデータベースは、最初のノードに Cisco Unified Communications Manager をインストールすると自動的にインストールされます。Cisco Unified Communications Manager は、データベース リプリケーションにクラスタに所属するすべての後続のノードを使用します。Cisco Unified Communications Manager の管理ページの [サーバの設定(Server Configuration] ウィンドウで後続のノードを追加し、そのノードで Cisco Unified Communications Manager をインストールすると、ノードには最初のノードに存在するデータベースの複製が含まれます。
Cisco Unified Communications Manager の管理、Cisco Unified サービスアビリティ、または Cisco Unified CM のユーザ オプション ページで設定を追加、更新、または削除すると、Cisco Unified Communications Manager は設定の更新をクラスタの最初のノードの Cisco Unified Communications Manager データベースに書き込んでから、後続のノードのデータベースの複製を更新します。最初のノードと後続のノードの両方が使用できる場合、クラスタの後続のノードの GUI を参照している場合でも、設定データは最初のノードの GUI で読み書きします。最初のノードを使用できない場合、後続のノードの GUI で設定データを読み取れますが、更新は行えません。
Cisco Unified Communications Manager データベース リプリケーションについては、次の点に注意してください。
• 後続のノードに Cisco Unified Communications Manager をインストールする前に、最初のノードで Cisco Unified Communications Manager の管理ページにアクセスして、[サーバの設定(Server Configuration)] ウィンドウで後続のノードを追加する必要があります。Cisco Unified Communications Manager の管理ページで後続のノードを追加する方法については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
• Cisco Unified Communications Manager データベースを複製するには、クラスタの最初のノードと後続のノードに Cisco Unified Communications Manager のまったく同じバージョンをインストールする必要があります。
• Cisco Unified Communications Manager のアップグレード中に設定の変更(追加、更新、または削除)を行わないでください。アップグレード中に設定を変更すると、データが失われたり、データが複製されず、アップグレードが失敗したりすることがあります。
• Cisco Unified Reporting の Unified CM クラスタの概要に関するレポートを表示して、データベースですべてのノードがどのように分類されているか、つまり、ノードが最初のノード(パブリッシャ)または後続のノード(サブスクライバ)のどちらで機能するかを確認できます。同様に、[サーバの設定(Server Configuration)] ウィンドウの表示後に Cisco Unified Communications Manager の管理ページの [サーバの検索と一覧表示(Find and List Servers)] ウィンドウで [ホスト名/IPアドレス(Host Name/IP Address)] リンクをクリックして、読み取り専用の [データベースリプリケーション(Database Replication)] フィールドを表示できます。フィールドに [パブリッシャ] と表示される場合、ノードは最初のノードとして機能します。フィールドに [サブスクライバ] と表示される場合、ノードは後続のノードとして機能します。
• クラスタのノードの名前または IP アドレスを変更すると、Cisco Unified Communications Manager データベース リプリケーションに影響します。ノードの名前または IP アドレスを変更する前に、『 Changing the IP Address and Host Name for Cisco Unified Communications Manager Release 8.5(1) 』を参照してください。
• リプリケーションが実行中か失敗したかなど、Cisco Unified Communications Manager データベース リプリケーションの状態を確認するには、Real-Time Monitoring Tool、Cisco Unified Reporting、またはコマンドライン インターフェイス(CLI)を使用できます。
• Cisco Unified Communications Manager データベース リプリケーションに問題があると判断した場合は、コマンドライン インターフェイス(CLI)を使用してデータベース リプリケーションを修復できます。
• Cisco Unified Communications Manager の旧バージョンに戻す場合は、旧バージョンに戻した後に、コマンドライン インターフェイス(CLI)を使用して Cisco Unified Communications Manager データベース リプリケーションをリセットする必要があります。
詳細情報
• 『 Cisco Unified Reporting Administration Guide 』
• 『 Cisco Unified Real-Time Monitoring Tool Administration Guide 』
• 『 Command Line Interface Reference Guide for Cisco Unifed Communications Solutions 』
• 『 Cisco Unified Communications Manager Troubleshooting Guide 』
クラスタ間の通信
非常に大規模な環境では、コール処理の負荷に対応するため、複数のクラスタを設定することが必要な場合があります。通常、クラスタ間の通信は、クラスタ間トランクまたはゲートキーパー トランクによって行われます。大規模システムでは、マルチクラスタ構成として、次の 2 種類のいずれかを使用しています。
• 大規模の単一キャンパス ネットワークまたは Metropolitan Area Network(MAN; メトロポリタン エリア ネットワーク)
• 分散型コール処理を行うマルチサイト WAN(各サイトに 1 台以上の Cisco Unified Communications Manager を配置)
通常、MAN のクラスタ間トランクには十分な帯域幅があるため、コール アドミッション制御メカニズムは必要ありません。通常、分散型コール処理を行うマルチサイト WAN は、ゲートキーパー テクノロジーを使用してコール アドミッション制御を行います。
クラスタ内の通信
Cisco Unified Communications Manager は、クラスタ内通信もサポートしています。これは、集中型コール処理を行うマルチサイト WAN です(リモート サイトに Cisco Unified Communications Manager を配置しません)。集中型コール処理を行うマルチサイト WAN は、Cisco Unified Communications Manager のロケーション機能を使用してコール アドミッション制御を行います。
Cisco Unified Communications Manager のほとんどの機能は単一のクラスタ内で実行されるものですが、次の機能は、クラスタ間でも実行されます。
• 基本コール設定
• G.711 コールおよび G.729 コール
• 複数の参加者による会議
• コール保留
• コール転送
• コール パーク
• 発信側回線 ID
クラスタ間の通信およびコール アドミッション制御の詳細については、『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) 』を参照してください。
コール処理の負荷バランス
クラスタを構成する Cisco Unified Communications Manager をインストールした後、クラスタ内のさまざまな Cisco Unified Communications Manager にデバイス(電話機、ゲートウェイ、CTI ルート ポイント、CTI ポート、およびルート リストなど)を分散することによって、コール処理の負荷をできる限り均等にシステム全体でバランスをとるようにする必要があります。デバイスを分散するには、Cisco Unified Communications Manager グループとデバイス プールを設定した後、目的のバランスを達成できる方法でデバイスをデバイス プールに割り当てます。
Cisco Unified Communications Manager グループとデバイス プールは、任意の方法で配置できるデバイスの論理グループを表します。管理しやすくするために、グループまたはプール内のすべてのデバイスが、簡単に識別できる共通の特性(ネットワーク上の物理的な場所など)を共有するようにします。
また、Cisco Unified Communications Manager グループを使用すると、グループのプライマリ Cisco Unified Communications Manager の冗長化(バックアップ コール プロセッサ)を設定することもできます。Cisco Unified Communications Manager グループとは、最大 3 台の Cisco Unified Communications Manager サーバを優先順に並べたリストです。通常の動作時には、グループ内の最初の(プライマリ)Cisco Unified Communications Manager が、そのグループに割り当てられているすべてのデバイス プールとデバイスを制御します。グループのプライマリ Cisco Unified Communications Manager に障害が起きた場合、そのプライマリ Cisco Unified Communications Manager に登録されているデバイス プールとデバイスの制御は、グループ リストの次の Cisco Unified Communications Manager に移ります。
たとえば、3 台の Cisco Unified Communications Manager でクラスタを構成し、既存の 300 台の Cisco Unified IP Phone があり、新しい電話機が後で追加されるたびに自動登録されるようになっている、簡単なシステムがあるとします。
• この構成には、4 つの Cisco Unified Communications Manager グループが含まれています。デバイス プール DP1 に割り当てられているグループ G1、デバイス プール DP2 に割り当てられているグループ G2、デバイス プール DP3 に割り当てられているグループ G3、およびデバイス プール DP4 に割り当てられているグループ G4 です。グループ G4 は、自動登録されるデバイスのデフォルト グループです。
• Unified CM1 は、DP1 と DP2 のデバイスのプライマリ Cisco Unified Communications Manager、DP3 のデバイスの第 1 バックアップ、DP4 のデバイスの第 2 バックアップとして機能します。
• Unified CM2 は、DP3 と DP2 のデバイスのプライマリ Cisco Unified Communications Manager、DP1 のデバイスの第 1 バックアップ、DP2 のデバイスの第 2 バックアップとして機能します。
• Unified CM3 は、DP2 と DP4 のデバイスの第 1 バックアップ Cisco Unified Communications Manager、DP1 と DP3 のデバイスの第 2 バックアップとして機能します。
参考情報
関連項目
• 「クラスタ設定のチェックリスト」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「Cisco Unified Communications Manager グループの設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「デバイス プールの設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「トランクの設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ロケーションの設定」
参考資料
• 『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) 』
• 『 Installing Cisco Unified Communications Manager Release 8.5(1) 』
• 『Cisco Unified IP-IVR Installation Guide』
• 『 Cisco Unified Serviceability Administration Guide 』
• 『 Cisco Unified Reporting Administration Guide 』
• 『 Cisco Unified Real-Time Monitoring Tool Administration Guide 』
• 『 Command Line Interface Reference Guide for Cisco Unifed Communications Solutions 』
• 『 Cisco Unified Communications Manager Troubleshooting Guide 』