課金ゲートウェイへのインターフェイスの設定
General Packet Radio Service(GPRS; グローバル パケット ラジオ サービス)/Universal Mobile Telecommunication System(UMTS)ネットワークの外部課金ゲートウェイへのアクセスを確立するには、課金ゲートウェイのネットワークに接続するためのインターフェイスを GGSN に設定する必要があります。
GPRS/UMTS では、GGSN と課金ゲートウェイ間のインターフェイスを Ga インターフェイス と呼びます。Cisco GGSN は、2.5G Ga インターフェイスと 3G Ga インターフェイスの両方をサポートしています。Cisco 7600 シリーズ ルータ プラットフォームでは、Ga インターフェイスはスーパーバイザ エンジンに設定されたレイヤ 3 ルーテッド Ga VLAN への論理的なインターフェイスとなります。この論理インターフェイスに IEEE 802.1Q カプセル化を設定する必要があります。
スーパーバイザ エンジン上の Ga VLAN の詳細については、「プラットフォームの前提条件」を参照してください。インターフェイスの設定の詳細については、『 Cisco IOS Interface Configuration Guide 』および『 Cisco IOS Interface Command Reference 』を参照してください。
スーパーバイザ エンジン上の Ga VLAN へのサブインターフェイスを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface gigabitethernet slot/port.subinterface-number |
サブインターフェイスを設定します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# encapsulation dot1q vlanid |
カプセル化形式を IEEE 802.1Q(dot1q)と定義し、VLAN 識別子を指定します。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# ip address ip-address mask |
インターフェイスのプライマリ IP アドレスを設定します。 |
課金ゲートウェイへのインターフェイス設定の検証
課金ゲートウェイへのインターフェイスを検証するには、まず GGSN 設定を検証し、次にインターフェイスが使用できることを検証します。
ステップ 1 スーパーバイザ エンジンに Ga VLAN を正しく設定したことを検証するには、 show running-config コマンドを使用します。次の例は、課金ゲートウェイへの Ga インターフェイスとなるギガビット イーサネット 8/22 物理インターフェイスの設定と、Ga VLAN の設定を表示するコマンドの出力を示しています。
Building configuration...
Current configuration :12672 bytes
interface GigabitEthernet8/22
switchport access vlan 302
description Vlan to GGSN for Ga
ip address 40.40.40.100 255.255.255.0
ステップ 2 物理インターフェイスおよび Ga VLAN が利用可能であることを検証するには、スーパーバイザ エンジンで show interface コマンドを使用します。次の例は、課金ゲートウェイへのファスト イーサネット 8/22 物理インターフェイスが稼動していることを示しています。Ga VLAN である VLAN 101 が稼動しています。
Sup# show ip interface brief GigabitEthernet8/22
Interface IP Address OK? Method Status Protocol
GigabitEthernet8/22 unassigned YES unset up up
Sup# show ip interface brief Vlan302
Interface IP-Address OK? Method Status Protocol
Vlan302 40.40.40.100 YES TFTP up up
ステップ 3 Ga VLAN の設定および可用性を検証するには、スーパーバイザ エンジンで show vlan name コマンドを使用します。Gn VLAN Gn_1 の例を次に示します。
---- -------------------------------- --------- -------------------------------
302 Ga_1 active Gi4/1, Gi4/2, Gi4/3, Gi7/1
Gi7/2, Gi7/3, Fa8/22, Fa8/26
VLAN Type SAID MTU Parent RingNo BridgeNo Stp BrdgMode Trans1 Trans2
---- ----- ---------- ----- ------ ------ -------- ---- -------- ------ ------
302 enet 100302 1500 - - - - - 0 0
Primary Secondary Type Ports
------- --------- ----------------- ------------------------------------------
ステップ 4 GGSN で、スーパーバイザ上の Ga VLAN への Ga サブインターフェイスを正しく設定したことを検証するには、 show running-config コマンドを使用します。次の例は、Ga 課金ゲートウェイへのインターフェイスとなるギガビット イーサネット 0/0.2 サブインターフェイスの設定を表示するコマンドの出力を示しています。
GGSN# show running-config
Building configuration...
Current configuration : 5499 bytes
! Last configuration change at 20:38:31 PST Tue Oct 13 2009
interface GigabitEthernet0/0.2
ip address 40.40.40.41 255.255.0.0
ip route 40.1.2.1 255.255.255.255 10.1.1.1
ステップ 5 サブインターフェイスが利用可能であることを検証するには、 show ip interface brief コマンドを使用します。次の例は、Ga VLAN へのギガビット イーサネット 0/0.2 サブインターフェイスが「稼動」し、プロトコルも「稼動」していることを示しています。
GGSN# show ip interface brief GigabitEthernet0/0.2
Interface IP-Address OK? Method Status Protocol
GigabitEthernet0/0.2 40.40.40.41 YES NVRAM up up
デフォルト課金ゲートウェイの設定
GGSN が課金情報をやり取りするためにデフォルトで使用する課金ゲートウェイを設定できます。また、セカンダリおよびターシャリの課金ゲートウェイをバックアップ課金ゲートウェイとして指定できます。すべての課金ゲートウェイが、同じグローバル課金パラメータを共有します。
(注) Cisco GGSN リリース 9.0 以降では粒状課金機能を導入しており、このデフォルト課金ゲートウェイのセットは、課金グループ番号 0、つまりデフォルト課金グループであると見なされます。
GGSN のデフォルト課金ゲートウェイを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs default charging-gateway { ip-address | name } [{ ip-address | name }] [{ ip-address | name }] [{ ip-address | name }] |
プライマリ課金ゲートウェイを指定します。任意で、セカンダリおよびターシャリのバックアップ課金ゲートウェイを指定することもできます。詳細は次のとおりです。 • ip-address :課金ゲートウェイの IP アドレスを指定します。第二および第三の ip-address 引数には、バックアップ課金ゲートウェイの IP アドレスを指定します。 • name :課金ゲートウェイのホスト名を指定します。第二および第三の name 引数には、バックアップ課金ゲートウェイのホスト名を指定します。 |
優先順位の最も高い課金ゲートウェイに切り替えるための GGSN の設定
gprs charging switchover priority コマンドを使用して GGSN にプライオリティ スイッチオーバーを設定した場合、現在のアクティブな課金ゲートウェイの状態に関係なく、プライオリティの高いゲートウェイが稼動すると、GGSN はその課金ゲートウェイに切り替えて G-CDR を送信します。
(注) このコマンドは、デフォルト課金グループ(課金グループ 0)に属するグローバルに定義された課金ゲートウェイにだけ適用されます。1 ~ 29 の課金グループにプライオリティ スイッチオーバーを設定するには、課金グループ コンフィギュレーション モードで switchover priority コマンドを使用します。
GGSN でデフォルト課金グループのプライオリティ スイッチオーバーを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# gprs charging switchover priority |
プライオリティの高いゲートウェイがアクティブになったときにそのゲートウェイに切り替わるように、GGSN を設定します。 |
デフォルト課金ゲートウェイの変更
GGSN のデフォルト課金ゲートウェイを変更するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# gprs default charging-gateway 10.9.0.2 |
10.9.0.2 という IP アドレスにプライマリ課金ゲートウェイを指定します。 |
ステップ 2 |
Router(config)# no gprs default charging-gateway 10.9.0.2 |
10.9.0.2 という IP アドレスにあるプライマリ課金ゲートウェイを除外します。 |
ステップ 3 |
Router(config)# gprs default charging-gateway 10.9.0.3 |
10.9.0.3 という IP アドレスにあるプライマリ課金ゲートウェイを新しいデフォルトに指定します。 |
課金元インターフェイスの設定
デフォルトでは、グローバル GTP 仮想テンプレート インターフェイスが、すべての課金メッセージに使用されます。Cisco GGSN リリース 8.0 以降では、課金メッセージの 課金元インターフェイス を設定できます。
課金元インターフェイスはループバック インターフェイスであり、 gprs charging interface source loopback コマンドを使用すると、GGSN は課金トラフィックにこのインターフェイスを使用するように設定されます。ループバック インターフェイスを課金元インターフェイスとして設定すると、どの課金メッセージでもそのループバック インターフェイスの IP アドレスが送信元アドレスとして使用されます。
課金元インターフェイス機能を使用すると、課金トラフィックを分離できます。任意で、課金トラフィックをプライベート VLAN に分離するように、ループバック インターフェイスに VPN Routing and Forwarding(VRF; VPN ルーティングおよび転送)インスタンスを設定することもできます。
課金元インターフェイスを設定する場合は、次の点に注意してください。
• ループバック インターフェイスは、いったん設定すると、課金元インターフェイス設定を削除しないかぎり、変更できません。すべての課金メッセージが、パス構造に基づいて新しいエンド ポイントを使用します。
• アクティブな PDP または Call Detail Record(CDR; 呼詳細レコード)が存在するかぎり、課金元インターフェイスは未設定にしておくことができません。
課金元インターフェイスを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface loopback number |
ループバック インターフェイスを作成します。ループバック インターフェイスは、常に稼動している仮想インターフェイスです。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ip address ip-address mask |
ループバック インターフェイスに IP アドレスを割り当てます。 |
ステップ 3 |
Router(cfg-acct-mlist)#
exit
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インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了します。 |
課金トラフィックにループバック インターフェイスを使用するように GGSN を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)#
gprs charging interface source loopback
number
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GGSN が課金メッセージに使用するループバック インターフェイスを指定します。 (注) 課金元インターフェイスは、ループバック インターフェイスである必要があり、有効な IP アドレスを使用して設定する必要があります。任意で、課金トラフィックをプライベート VLAN に分離するように、課金元インターフェイスに VRF インスタンスを設定することもできます。 |
GGSN メモリ保護モードしきい値の設定
GGSN メモリ保護機能を使用すると、異常な条件が発生している間、たとえば、すべての課金ゲートウェイがダウンし、GGSN が呼詳細レコード(CDR)をメモリにバッファリングしているときにも、プロセッサ メモリの枯渇を回避できます。
メモリしきい値は、イネーブルにすると、デフォルトでは gprs ggsn service コマンドで GGSN サービスがイネーブルになった場合に使用可能なメモリ総量の 10 % となります。
gprs memory threshold コマンドを使用すると、ルータのメモリとサイズに従ってしきい値を設定できます。この値を超えると、GGSN でメモリ保護モードがアクティブになります。
システムに残っているメモリ容量が定義したしきい値に達すると、メモリ保護機能がアクティブになり、GGSN はプロセッサ メモリがしきい値を下回らないように次の手順を実行します。
• 新規の PDP コンテキストの作成要求を理由種別「No Resource」で拒否します。
• PDP コンテキストの更新を受信している既存の PDP を理由種別「Management Intervention」で廃棄します。
• ボリューム トリガーが発生した PDP を廃棄します。
(注) メモリ保護機能がアクティブである間、バイト カウントがトラッキングされ、GGSN が回復した時点で報告されます。ただし、変更条件の中には GGSN がメモリ保護モードのときには処理されないものもあるため、一部のカウント(たとえば、Quality of Service(QoS)やタリフ条件)には正確な課金条件が反映されません。
メモリしきい値を設定し、その値に達したときには GGSN でメモリ保護機能をアクティブにするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs memory threshold threshold |
GGSN にしきい値を設定し、その値に達したときにはメモリ保護機能をアクティブにします。有効な範囲は、0 ~ 1024 MB です。デフォルトは、GGSN サービスがイネーブルになったときに使用可能なメモリ総量の 10% です。 |
課金ゲートウェイの転送プロトコルの設定
課金ゲートウェイとの通信に使用するトランスポート パス プロトコルとして、Transport Control Protocol(TCP)または User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)をサポートするように、GGSN を設定できます。
GGSN のデフォルト トランスポート パス プロトコルは UDP です。UDP はコネクションレス型プロトコルで、信用性の低いトランスポート方式と見なされていますが、パフォーマンスは優れています。
課金ゲートウェイ パス プロトコルとしての TCP の設定
TCP は接続ベースのプロトコルであり、パケット確認応答によって信頼性の高い伝送を実現します。
TCP をトランスポート パス プロトコルとして指定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# gprs charging cg-path-requests 1 |
パス プロトコルとして TCP を指定した場合に、GGSN が課金ゲートウェイへの TCP パスを確立するまでに待機する時間(分)を指定します。デフォルトは 0 分で、タイマーは無効になっています。 |
ステップ 2 |
Router(config)# gprs charging path-protocol tcp |
GGSN が TCP ネットワーク プロトコルを使用して課金データを送受信することを指定します。 |
課金ゲートウェイ パス プロトコルとしての UDP の設定
Cisco GGSN は、デフォルトで課金ゲートウェイへのトランスポート パス プロトコルとして UDP を使用します。課金ゲートウェイを UDP トランスポート用に再設定する必要がある場合は、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs charging path-protocol udp |
GGSN が UDP ネットワーク プロトコルを使用して課金データを送受信することを指定します。デフォルト値は UDP です。 |
課金リリースの設定
Cisco GGSN は、2.5G と 3G Ga の両方のインターフェイス、および GPRS(R97/R98)と UMTS(R99)の Quality of Service(QoS)プロファイル フォーマットをサポートします。3GPP TS 32.215 Release 4、Release 5、または Release 7 に準拠するように、Cisco GGSN を設定できます。
99 キーワードまたは 98 キーワードを指定するときは、次の手順を実行します。
• R97/R98 CDR を提示するように GGSN を設定する( gprs charging release 98 を設定する)場合:
– PDP コンテキストが R98 である場合、GGSN は R97/R98 G-CDR を提示します。
– PDP コンテキストが R99 である場合、GGSN は R99 QoS プロファイルを R97/R98 QoS プロファイルに変換し、R97/R98 G-CDR を提示します。
• R99 CDR を提示するように GGSN を設定する( gprs charging release 99 を設定する)場合:
– PDP コンテキストが R99 である場合、GGSN は R99 G-CDR を提示します。
– PDP コンテキストが R98 である場合、GGSN は QoS プロファイルを変換し、R99 CDR を提示します。
(注) Cisco GGSN リリース 9.2 以降の場合、拡張 G-CDR(eG-CDR)を生成するには、GGSN に charging release 7 を設定する必要があります。eG-CDR を生成するように GGSN を設定する方法の詳細については、「拡張 G-CDR を生成するための GGSN の設定」を参照してください。
G-CDR を提示するときに GGSN が準拠する課金リリースを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs charging release { 99 | 98 | 4 | 5 | 7 } |
CDR に GGSN が提示するフォーマットを設定します。 • 99 :R97、R98、R99 の各 QoS プロファイル フォーマットを提示します。 • 98 :R97/R98 QoS プロファイル フォーマットを提示します。 • 4 :GGSN は、3GPP TS 32.215 Release 4 に準拠します。 • 5 :GGSN は、3GPP TS 32.215 Release 5 に準拠します。 • 7 :GGSN は、3GPP TS 32.215 Release 7 に準拠します。 デフォルトは 99 です。 を設定した場合は、Charging Characteristics Selection Mode IE が含まれています。 |
課金リリース設定を検証するには、 show gprs charging parameters コマンドを使用します。
ローミング ユーザ課金の設定
ローミング ユーザ課金機能を使用すると、ローミング モバイル加入者の G-CDR を生成するように Cisco GGSN を設定できます。
Cisco GGSN は、PDP コンテキストの作成要求を受信した場合、ローミング ユーザ課金機能がイネーブルになっていると、Routing Area Identity(RAI)情報要素(IE)をチェックして、GGSN と SGSN の Public Land Mobile Network(PLMN; パブリック ランド モバイル ネットワーク)ID がともに存在し、両者が一致しているかどうかを確認します。PLMN ID が存在しないか、または存在しても一致しない場合、GGSN は SGSN Signaling Address フィールドを含む IE を、 gprs plmn ip address コマンドに sgsn キーワード オプションを指定して定義した PLMN IP アドレス範囲のリストと照合します。
GGSN は、PDP コンテキストの作成要求を送信した SGSN が自身と同じ PLMN 内に配置されていないことを確認すると、G-CDR を生成します。GGSN は、SGSN が自身と同じ PLMN 内に存在することを確認すると、SGSN を別の PLMN に移動したとの通知を受信するまで CDR を生成しません。
ローミング ユーザ課金機能をイネーブルにする場合には、次の点に注意してください。
• PDP コンテキストの作成要求の RAI IE を使用して、ローミング ユーザを検出するには、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs mcc mn コマンドを使用して、有効なホーム PLMN を GGSN に設定する必要があります。
有効なホーム PLMN が設定されているか、または PLMN が有効で信頼できる PLMN である場合でも、RAI がその設定したホーム PLMN または信頼できる PLMN に一致した場合、G-CDR は生成されません。G-CDR は、RAI がホーム PLMN にも信頼できる PLMN にも一致しないすべての PDP に対して作成されます。
• RAI フィールドが PDP コンテキストの作成要求に存在せず、 gprs plmn ip address コマンドに sgsn キーワード オプションを指定してアドレス範囲を設定していない場合、PDP は「未知の」パケットに分類され、ローミング ユーザとして扱われます。
• gprs charging roamers コマンドを使用してローミング ユーザ課金機能をイネーブルにする場合は、まず gprs plmn ip address コマンドを使用して PLMN の一連の IP アドレス範囲を定義する必要があります。
gprs plmn ip address コマンドと gprs charging roamers コマンドは次のように正しい順序で設定してください。
a. gprs plmn ip address コマンドを使用して、PLMN の IP アドレス範囲を設定します。IP アドレス範囲を変更する場合は、 gprs plmn ip address コマンドを再発行します。
b. gprs charging roamers コマンドを使用して、GGSN でローミング ユーザ課金機能をイネーブルにします。
GGSN でローミング ユーザ課金機能をイネーブルにするには、次の作業を実行します。
• 「PLMN IP アドレス範囲の設定」
• 「ローミング ユーザ課金のイネーブル」
設定を検証するには、 show gprs charging parameters コマンドを使用します。PLMN IP アドレス範囲を検証するには、 show gprs plmn ip address コマンドを使用します。
PLMN IP アドレス範囲の設定
PLMN IP アドレス範囲の設定内容に応じて、ローミング ユーザ課金機能は次のように動作します。
• gprs plmn ip address start_ip end_ip [ sgsn ] コマンドを使用して、PLMN IP アドレス範囲を設定していない場合、GGSN と SGSN が同じ PLMN 内に存在するかどうかに関係なく、GGSN はすでに開始したすべての PDP コンテキストの G-CDR を生成します。
• gprs plmn ip address start_ip end_ip [ sgsn ] コマンドを使用して、PLMN IP アドレス範囲のリストを設定し、 sgsn キーワードを指定してその範囲の 1 つ以上を定義した場合、GGSN は sgsn キーワードで定義された範囲を使用して、SGSN が同じ PLMN 内に存在するかどうかを判断します。
次のシナリオでは、この設定を使用して、ローミング ユーザ課金機能の仕組みについて説明します。
– MS1 は PLMN1 に加入し、PLMN2 の SGSN に接続します。MS1 は、PLMN2 から PLMN1 の GGSN に関する PDP コンテキストを開始します。このシナリオでは、MS1 はローミング ユーザであり、GGSN は SGSN が別の PLMN に存在することを確認するため CDR を生成します。
– MS1 は PLMN1 に加入し、PLMN2 の SGSN に接続します。MS1 は、PLMN2 から PLMN2 の GGSN に関する PDP コンテキストを開始します。このシナリオでは、MS1 はローミング デバイスではなく、GGSN は SGSN と同じ PLMN 内に存在することを確認するため G-CDR を生成しません。
PLMN IP アドレス範囲を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs plmn ip address start_ip end_ip [ sgsn ] |
PLMN の IP アドレス範囲を指定します。任意で、 sgsn キーワードで定義した PLMN IP アドレス範囲だけを使用して、SGSN が GGSN とは異なる PLMN に存在するかどうかを確認することを指定できます。 |
ローミング ユーザ課金のイネーブル
GGSN でローミング ユーザ課金機能をイネーブルにするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs charging roamers |
GGSN でローミング ユーザ課金をイネーブルにします。 |
課金オプションのカスタマイズ
GGSN 課金オプションでは、デフォルト値が推奨値となります。他の任意のコマンドも、デフォルト値に設定されています。ただし、必要に応じて、または使用しているハードウェアによっては、ネットワークを最適化するためにこれらのコマンドを変更することを推奨します。
GGSN は、エコー タイミングを使用して、SGSN と外部課金ゲートウェイ間のパスを維持します。ただし、実装できるエコー タイミングの方法は、維持の対象となるすべてのパスに対して 1 つだけです。GGSN のエコー タイミングの詳細を確認したり、エコー タイミング機能を変更したりするには、 「GGSN での GTP サービスの設定」 の「GGSN でのエコー タイミングの設定」を参照してください。
(注) 次の課金オプションは、G-CDR でも eG-CDR でも使用できます。GGSN は、課金設定に応じて eG-CDR または G-CDR を生成します。このため、GGSN 課金オプションの説明で G-CDR に言及した場合、その説明は G-CDR または eG-CDR に適用されます。
GGSN の課金処理を微調整するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)#
gprs charging cdr-aggregation-limit
CDR_limit
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GGSN が課金ゲートウェイ宛の課金データ転送メッセージに集約する CDR の最大数を指定します。デフォルトは 255 個です。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option apn
[
virtual ]
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G-CDR に Access Point Name(APN; アクセス ポイント ネーム)IE を含めるように指定します。任意で、 virtual キーワードを指定して、仮想 APN を G-CDR、アカウンティング レコード、および Credit Control Request(CCR; クレジット制御要求)に含めることもできます。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option apn-selection-mode
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G-CDR でアクセス ポイント ネーム(APN)が選択された原因コードを GGSN で提供できるようにします。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option camel-charge-info
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SGSN の CDR から Customized Application for Mobile Enhanced Logic(CAMEL)のタグおよび長さをコピーして、G-CDR に含めるように指定します。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option chch-selection-mode
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課金特性選択モード パラメータを G-CDR に含めるように指定します。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option dynamic-address
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dynamic address flag IE を G-CDR に含めるように指定します。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option imeisv
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International Mobile Equipment Identity IMEI Software Version(IMEISV)IE を G-CDR に含めるように指定します。IMEISV は、加入者が使用している移動体を識別するための情報です。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option local-record-sequence-number
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GGSN で、local record sequence number IE を G-CDR で使用できるようにします。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option ms-time-zone
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MS Time Zone(MSTZ)IE を G-CDR に含めるように指定します。MSTZ IE は、世界時と現地時間の時差を示します。 更新要求で MSTZ を変更すると、(R7 32.251 の指定に従って)CDR が閉じ、新しい CDR が開きます。また、更新要求で MSTZ の変更が発生すると、中間アカウンティング レコードが生成されます。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option nip
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Network-Initiated PDP IE を G-CDR に含めるように指定します。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option no-partial-cdr-generation [all]
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GGSN で、完全修飾部分 G-CDR を作成しないようにします。 任意で、 all キーワード オプションを指定して、SGSN 変更制限トリガーが正しく設定されている場合には Release 4 よりも前の課金リリースのために SGSN リストをコピーするように GGSN を設定することもできます。 デフォルトでは、完全修飾部分 G-CDR の作成はイネーブルになっています。 (注) アクティブな PDP コンテキストがないときにだけ、この機能をイネーブルにします。この機能をイネーブルにすると、後続のすべての PDP コンテキストが影響を受けます。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option node-id
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GGSN で、G-CDR の node ID フィールドに CDR を生成したノードを指定できるようにします。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option packet-count
|
GGSN で、G-CDR の任意の record extension フィールドにアップリンクとダウンリンクのパケット カウントを提供できるようにします。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option pdp-address
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G-CDR に PDP address IE を含めるように指定します。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option pdp-type
|
G-CDR に PDP type IE を含めるように指定します。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option rat-type
|
Radio Access Technology(RAT; 無線アクセス テクノロジー)IE を G-CDR に含めるように指定します。 RAT は、SGSN が Universal Terrestrial Radio Access Network(UTRAN)と GSM/EDGE RAN(GERAN)のどちらを使用して、User Equipment(UE; ユーザ端末)にサービスを提供するのかを示します。 PDP コンテキストの更新要求で RAT を変更すると、(R7 32.251 の指定に従って)CDR が閉じ、新しい CDR が開きます。また、更新要求で RAT の変更が発生すると、中間アカウンティング レコードが生成されます。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option served-msisdn
|
GGSN で、PDP コンテキストの作成要求から Mobile Station ISDN(MSISDN; モバイル ステーション ISDN)番号を G-CDR に提供できるようにします。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option service-record
[
value
]
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GGSN で、サービス単位のレコードを生成できるようにします。任意で、CDR のサービス レコードの最大数を指定することもできます。この最大数に達すると、現在の G-CDR が閉じ、新しい部分 CDR が開きます。最大数を指定していないと、デフォルト(5)が使用されます。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option sgsn-plmn
|
SGSN PLMN ID を G-CDR に含めるように GGSN を設定します。 (注) SGSN PLMN ID は、設定すると、PDP コンテキストの作成または更新要求で SGSN から任意の RAI IE を受信した場合にだけ表示されます。 |
Router(config)#
gprs charging cdr-option user-loc-info
|
User Location Information(ULI)IE を G-CDR に含めるように指定します。ULI は、加入者位置の Cell Global Identity(CGI; セル グローバル ID)および Service Area Identity(SAI; サービス エリア ID)を提供します。 |
Router(config)#
gprs charging cg-path-requests
minutes
|
パス プロトコルとして TCP を指定した場合に、GGSN が課金ゲートウェイへのパスを確立するまでに待機する時間(分)を指定します。デフォルトは 0 分で、タイマーは無効になっています。 |
Router(config)# gprs charging container change-limit number |
GGSN から送信する G-CDR ごとに含めることができる課金コンテナの最大数を指定します。有効な値は 1 ~ 100 の数値です。デフォルトは 5 です。 |
Router(config)# gprs charging container sgsn-change-limit number |
特定の PDP コンテキストの G-CDR を閉じるまでに SGSN に加えることができる変更の最大数を指定します。有効な値は 0 ~ 15 の数値です。デフォルトは 0 で、タイマーは無効になっています。 |
Router(config)# gprs charging container time-trigger number |
PDP コンテキストに関するグローバルな期限を指定します。PDP コンテキストがこの期限を過ぎると、GGSN はその特定の PDP コンテキストの G-CDR を閉じて更新します。有効な値は 5 ~ 429467295(分単位)です。デフォルトは 0 で、タイマーは無効になっています。 |
Router(config)#
gprs charging container volume-threshold
threshold_value
|
GGSN が G-CDR を閉じて更新するまでにユーザの課金コンテナに保持する最大バイト数を指定します。有効な値は 1 ~ 4264967295 の数値です。デフォルトは 1,048,576 バイト(1 MB)です。 |
Router(config)#
gprs charging flow-control private-echo
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課金ゲートウェイに送信されるパケットでフロー制御を維持できるように、エコー要求にプライベートな拡張を実装します。 |
Router(config)#
gprs charging header short
|
GGSN で、GPRS Tunneling Protocol(GTP; GPRS トンネリング プロトコル)の詳細ヘッダーではなく、簡易ヘッダー(6 バイトのヘッダー)を使用できるようにします。 |
Router(config)#
gprs charging map data tos
tos_value
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GPRS 課金パケットの IP Type of Service(ToS; タイプ オブ サービス)マッピングを指定します。デフォルトは 3 です。 |
Router(config)#
gprs charging message transfer-request command-ie
|
GGSN が Packet Transfer Command IE を Data Record Transfer Request メッセージに含めることを指定します。 |
Router(config)#
gprs charging message transfer-request possibly-duplicate
|
Packet Transfer Request IE の値を 2(Send Possibly Duplicate Data Record Packet)に設定して、GGSN が Data Record Transfer Request メッセージを(以前にアクティブな課金ゲートウェイに)再送信することを指定します。 |
Router(config)#
gprs charging message transfer-response number-responded
|
GGSN が Data Record Transfer Response メッセージの Requests Responded IE では Length フィールドではなく Number of Requests Responded フィールドを使用することを指定します。 |
Router(config)#
gprs charging packet-queue-size
queue_size
|
GGSN が確認応答のない課金データ転送要求をキューに保持する最大数を指定します。デフォルトは 128 パケットです。 |
Router(config)#
gprs charging path-protocol
{
udp
|
tcp }
|
GGSN が課金データの送受信に使用するプロトコルを指定します。デフォルトは UDP です。 |
Router(config)#
gprs charging port
port-num
|
課金ゲートウェイの宛先ポートを設定します。デフォルトは 3386 です。 |
Router(config)#
gprs charging send-buffer
bytes
|
GGSN で GTP PDU メッセージおよびシグナリング メッセージを格納するためのバッファのサイズを設定します。デフォルトは 1460 バイトです。 |
Router(config)#
gprs charging server-switch-timer
seconds
|
宛先課金ゲートウェイが見つからないか、または使用できなくなっていると GGSN が判断し、代替課金ゲートウェイの検索に移るまでのタイムアウト値を指定します。デフォルトは 60 秒です。 |
Router(config)#
gprs charging tariff-time
time
|
GPRS/UMTS 課金タリフの変更時刻を指定します。デフォルトのタリフ時間はありません。 特権 EXEC コマンドを使用してシステム ソフトウェア クロックを手動で設定した場合は、タリフ変更の発生時間を再設定する必要があります。 |
Router(config)#
gprs charging message transfer-request command-ie
|
GGSN が Packet Transfer Command 情報要素(IE)を Data Record Transfer Response メッセージに含めることを指定します。 (注) Cisco GGSN が Packet Transfer Command IE をサポートする場合でも、「Send Data Record Packet」値だけが使用されます。ただし、そのためにパケットが重複してしまう可能性もあります。Cisco GGSN は、「Send Possibly Duplicated Data Record Packet」、「Cancel Data Record Packet」、「Release Data Record Packet」のいずれの値もサポートしていません。このため、課金ゲートウェイまたは課金サーバには、CDR が重複しないようにするための機能が必要です。 |
Router(config)#
gprs charging message transfer-response number-responded
|
GGSN が Data Record Transfer Response メッセージの Requests Responded IE では Length フィールドではなく Number of Requests Responded フィールドを使用するように設定します。 |
Router(config)#
gprs charging reconnect
minutes
|
到達不能となっている課金ゲートウェイへの再接続を定期的に試みて、リンクのバックアップ時期を判断するように GGSN を設定します。 (注) 到達不能な課金ゲートウェイへの再接続を自動的に試みるように GGSN を設定する必要があるのは、UDP を課金転送プロトコルとして使用し、課金ゲートウェイがエコー要求をサポートしていないときだけです。 |
Router(config)#
gprs charging transfer interval
seconds
|
GGSN が課金データを課金ゲートウェイに転送するまでに待機する秒数を指定します。デフォルトは 105 秒です。 |
GGSN GTP オプションの設定の詳細については、 「GGSN での GTP サービスの設定」 の「GGSN 設定のカスタマイズ」を参照してください。
課金処理の無効化
注意
gprs charging disable コマンドは、GGSN での課金データ処理を排除します。つまり、カスタマーにネットワーク使用料を課金するために必要なデータが、GGSN によって収集されないか、または課金ゲートウェイに送信されません。このコマンドは、実稼動 GPRS/UMTS ネットワーク環境では使用しないことを推奨します。このコマンドを使用する必要があるときは、細心の注意を払い、実稼動以外のネットワークにかぎって使用してください。
GGSN での課金を無効にできるのは、開いているすべての CDR を処理し、課金ゲートウェイに送信したあとだけです。現在の GGSN CDR をクリアするには、 clear gprs charging cdr 特権 EXEC コマンドを使用します。
GGSN で課金処理を無効にするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
|
|
Router(config)# gprs charging disable |
GGSN での課金トランザクションを無効にします。 |
課金プロファイルの使用
課金プロファイルを作成、カスタマイズ、および指定し、それを特定のタイプのユーザのデフォルト課金方法としてグローバル レベルや APN レベルで使用すると、PDP 単位で異なる課金方法を適用できます。課金プロファイルを使用すると、提供するサービスを加入者プリファレンスにあわせて柔軟にカスタマイズできます。
課金プロファイルを使用する場合は、GGSN を次のように設定する必要があります。
• gprs charging cdr-option chch-selection-mode コマンドを設定して、課金特性選択モード パラメータを CDR に含めます。
• gprs charging release コマンドを設定して、CDR で charging characteristics selection mode IE を受信します。
GGSN 課金プロファイルを使用して PDP 単位で異なる課金方法を適用するには、次の項で説明する作業を実行する必要があります。
• 「課金プロファイルの設定」
• 「課金プロファイルの課金特性およびトリガーの定義」
• 「デフォルト課金プロファイルの APN への適用」
• 「デフォルト課金プロファイルのグローバルな適用」
• 「課金プロファイルが一致しない PDP を GGSN で処理する方法の設定」
課金プロファイルの設定
課金プロファイルには、特定のタイプの加入者(ホーム、ローミング ユーザ、ビジター)に適用する課金方法を定義します。
特定の加入者タイプのデフォルトの課金方法として、APN レベルまたはグローバル レベルで課金プロファイルを適用できます。
GGSN は、最大 256 個の課金プロファイルをサポートします。それぞれに 0 ~ 255 の番号が付与されます。プロファイル 0 は、常に GGSN に存在する設定済みプロファイルです。また、グローバルなデフォルト課金プロファイルでもあります。ユーザがプロファイル 0 を作成することはありませんが、charging-related グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると変更を加えることができます。プロファイル 1 ~ 255 は、Cisco GGSN 課金プロファイル コンフィギュレーション コマンドを使用して、ユーザが定義し、カスタマイズできるプロファイルです。
GGSN は、PDP コンテキストの作成要求を受信すると、次の入力源に基づいて適切な課金プロファイルを選択します。
• Charging Characteristics Selection Mode IE を介した SGSN/HLR
• ローカルなデフォルト
• 課金プロファイル インデックス AAA アトリビュート
(注) AAA から受信した課金プロファイル インデックスが有効になるのは、サービス認識課金が、GGSN でグローバル コンフィギュレーション モードの gprs service-aware コマンドを使用してグローバルにイネーブルになっており、かつ service-aware アクセス ポイント コンフィギュレーション コマンドを使用して APN レベルでもイネーブルになっている場合だけです。
このサービス認識 GGSN の設定については、「拡張サービス認識課金の実装」を参照してください。
GGSN が PDP コンテキストの課金プロファイルを選択する順序は次のとおりです。
1. APN のオーバーライド規則に定められた課金プロファイル インデックス:デフォルト課金プロファイルが APN とグローバルの両方のレベルで設定され、SGSN の指定を上書きするようになっている場合は、APN のデフォルト課金プロファイルが優先されます。
2. ボックスのオーバーライド規則に定められた課金プロファイル インデックス:APN にデフォルト課金プロファイルが設定されていない場合は、グローバルに設定されたデフォルト課金プロファイルが使用されます。
3. AAA からの課金プロファイル インデックス。
4. SGSN/HLR からの課金プロファイル インデックス。
5. APN の非オーバーライド規則からの課金プロファイル インデックス。
6. ボックスの非オーバーライド規則からの課金プロファイル インデックス。
上記のいずれも適用されない場合、 gprs charging characteristics reject グローバル コンフィギュレーション コマンドが設定され、PDP コンテキストの作成要求が GTP v1 であると、PDP コンテキストは拒否されます。 gprs charging characteristics reject コマンドが設定されていない場合は、課金プロファイル 0 を使用して GTPv1 PDP コンテキストが作成されます。
(注) サービス認識 PDP では、グローバルなデフォルト課金プロファイルである課金プロファイル 0 はサポートされません。このような PDP コンテキストの作成要求は、エラー コード 199 で拒否されます。
課金プロファイルを作成または変更するには、課金プロファイル コンフィギュレーション モードを開始し、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs charging profile profile-num |
新しい課金プロファイルを作成するか、または既存の課金プロファイルを変更し、課金プロファイル コンフィギュレーション モードを開始します。有効な値は 1 ~ 255 です。 |
課金プロファイルの課金特性およびトリガーの定義
(注) Cisco GGSN リリース 9.2 以降では、拡張クォータ サーバ インターフェイスを設定すると、Cisco GGSN はサービス認識後払いユーザ向けのクォータ サーバとして機能しません。このため、Cisco IOS リリース 12.2(22)YE2 以降では、content 課金プロファイル コンフィギュレーション コマンドは無視されます。同じく、後払いユーザを対象にトリガー条件を設定して拡張クォータ サーバ インターフェイスの使用を禁止する課金プロファイル コンフィギュレーション コマンドも無視されます。
拡張サービス認識課金の設定の詳細については、『Cisco GGSN リリース 9.2 コンフィギュレーション ガイド』を参照してください。
課金プロファイルの課金特性およびトリガーを設定するには、課金プロファイル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(ch-prof-conf)# category { hot | flat | prepaid | normal } |
課金プロファイルを適用する加入者のカテゴリを識別します。 |
Router(ch-prof-conf)# cdr suppression |
CDR を抑制することを指定します。 |
Router(ch-prof-conf)# cdr suppression prepaid |
前払い加入者の CDR を抑制することを指定します。 |
Router(ch-prof-conf)# content dcca profile profile-name |
DCCA サーバと通信するように DCCA プロファイルを指定します。 設定が含まれていない場合は、課金プロファイルを使用するユーザは後払い(オフライン課金)ユーザとして扱われます。 |
Router(ch-prof-conf)# content postpaid { plmn-change | qos-change | rat-change | sgsn-change | user-loc-info-change } |
後払い加入者の課金プロファイルに条件を設定します。その条件が満たされると、GGSN は PDP コンテキストのクォータ再認可を要求します。 • plmn-change :パブリック ランド モバイル ネットワーク(PLMN)を変更すると、クォータ再認可要求がトリガーされます。 • qos-change :Quality of Service(QoS)を変更すると、クォータ再認可要求がトリガーされます。 • rat-change :無線アクセス テクノロジー(RAT)を変更すると、クォータ再認可要求がトリガーされます。 • sgsn-change :SGSN を変更すると、クォータ再認可要求がトリガーされます。 • user-loc-info-change :ユーザ位置情報を変更すると、クォータ再認可がトリガーされます。 コマンドを使用して、これらのフィールドを CDR の service-record IE に含めるように GGSN を設定する必要があります。 |
Router(ch-prof-conf)# content postpaid time number |
サービス認識課金がイネーブルになっている場合、後払い加入者を対象に、期限を設定します。この期限を過ぎると、GGSN はアップストリームおよびダウンストリームのトラフィック バイト カウントを収集し、特定の PDP コンテキストの G-CDR を閉じて更新します。 |
Router(ch-prof-conf)# content postpaid validity seconds |
サービス認識課金がイネーブルになっている場合、後払い加入者を対象に、ユーザに付与されているクォータが有効になる時間を設定します。 |
Router(ch-prof-conf)# content postpaid volume threshold |
サービス認識課金がイネーブルになっている場合、後払い加入者を対象に、GGSN が特定の PDP コンテキストのコンテナ全体で保持する最大バイト数を設定します。この数を超えると、GGSN は G-CDR を閉じて更新します。 |
Router(ch-prof-conf)# content rulebase id |
PDP コンテキストに適用するデフォルトのルールベース ID を定義します。 |
Router(ch-prof-conf)# description |
課金プロファイルの名前または簡単な説明を指定します。 |
Router(ch-prof-conf)# limit duration number [ reset ] |
GGSN がアップストリームおよびダウンストリームのトラフィック バイト カウントを収集し、特定の PDP コンテキストの G-CDR を閉じて更新するまでの期限(分単位)を設定します。 reset キーワード オプションを設定した場合、時間トリガーは CDR が他のトリガーによって閉じられると再起動されます。 reset キーワードを指定しない場合(デフォルト)、時間トリガーは( limit volume コマンドで設定した)ボリューム トリガーの期限が切れても再起動されませんが、他のトリガーの期限が切れると再起動されます。 |
Router(ch-prof-conf)# limit volume number [ reset ] |
アクティブな PDP コンテキストから各 CDR に報告できる最大バイト数を設定します。この数を超えると、GGSN は CDR を閉じて更新し、GGSN でのセッションが続く間 PDP コンテキストの部分 CDR を開きます。 reset キーワード オプションを設定した場合、ボリューム トリガーは CDR が他のトリガーによって閉じられると起動されます。 reset キーワードを指定しない場合、ボリューム トリガーは( limit duration コマンドで設定した)時間トリガーの期限が切れても再起動されませんが、他のトリガーの期限が切れると再起動されます。 |
Router(ch-prof-conf)# limit sgsn-change |
課金プロファイルが、 gprs charging tariff-time コマンドを使用して設定されたグローバルなタリフ変更を使用することを指定します。 |
Router(ch-prof-conf)# tariff-time |
課金プロファイルが、 gprs charging tariff-time コマンドを使用して設定されたグローバルなタリフ変更時間を使用することを指定します。 |
デフォルト課金プロファイルの APN への適用
APN に特定のタイプのユーザのデフォルト課金プロファイルを設定するには、アクセス ポイント コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config-access-point)# charging profile { home | roaming | visiting | any } [ trusted ] profile_num [ override ] |
SGSN から課金特性を受信していない場合には、APN で特定のタイプのユーザのデフォルト課金プロファイルを使用するように設定します。詳細は次のとおりです。 • home :課金プロファイルがホーム ユーザに適用されることを指定します。 • roaming :課金プロファイルがローミング ユーザ(サービング GPRS サポート ノード(SGSN)パブリック ランド モバイル ネットワーク(PLMN)ID がゲートウェイ GPRS サポート ノード(GGSN)のものとは異なるユーザ)に適用されることを指定します。 • visiting :課金プロファイルが訪問ユーザ(IMSI に外部 PLMN ID が含まれているユーザ)に適用されることを指定します。 • any :課金プロファイルがあらゆるタイプのユーザに適用されることを指定します。 • trusted :(任意)ユーザが訪問ユーザまたはローミング ユーザ( roaming と visiting のどちらを指定するかによって異なる)であり、その PLMN ID が( gprs mcc mnc コマンドで設定された)信頼できるものである場合に、課金プロファイルが適用されることを指定します。 • profile-number :アクセス ポイントに関連付けられる課金プロファイルの番号。有効な値は 0 ~ 15 です。0 を指定した場合、課金動作がグローバルな課金特性(課金プロファイルに定義されていないもの)で定義されます。 • overide :(任意)PDP コンテキストの作成要求で SGSN から受信した課金特性値を無視し、代わりに APN のデフォルトを使用することを指定します。 |
デフォルト課金プロファイルのグローバルな適用
グローバル レベルで適用されるデフォルト課金プロファイルは、APN にデフォルト課金プロファイルが指定されていないときに使用されます。
特定のタイプのユーザのデフォルト課金プロファイルをグローバルに設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs charging profile default { home | roaming | visiting | any } [ trusted ] chp_num [ override ] |
特定のタイプのユーザのデフォルト課金プロファイルをグローバルに適用します。 |
課金プロファイルが一致しない PDP を GGSN で処理する方法の設定
一致するプロファイルがない GTPv1 PDP コンテキストの作成要求を拒否または受け入れるように GGSN を設定できます。このような PDP コンテキスト要求を受け入れるように GGSN を設定した場合、課金プロファイル 0 で定義されている課金方法が適用されます。GGSN は、デフォルトでは PDP コンテキストの作成要求を受け入れ、課金プロファイル 0 で定義されている課金方法を適用します。
サービス認識 PDP に選択されている課金プロファイルには、次の制約が適用されます。
• 同じユーザに属するすべての PDP が、プライマリ PDP と同じ課金プロファイルを使用する必要があります。
• サービス認識 PDP では、グローバルなデフォルト課金プロファイルである課金プロファイル 0 はサポートされません。このような PDP コンテキストの作成要求は、エラー コード 199 で拒否されます。
一致する課金プロファイルがない PDP コンテキストの作成要求を拒否するように GGSN を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs charging characteristics reject |
課金プロファイルを選択できない GTPv1 PDP コンテキストの作成要求を拒否するように GGSN を設定します。 |
iSCSI を使用した G-CDR のバックアップおよび取得の設定
Cisco GGSN リリース 8.0 以降では、Cisco IOS ソフトウェアの Small Computer Systems Interface over IP(iSCSI)サポートを使用して、RFC 3720 の定義に従って、Storage Area Network(SAN; ストレージ エリア ネットワーク)のストレージ ターゲットに対して CDR の保管および取得を実現しています。
ここでは、GGSN での iSCSI サポートに関する次の内容について説明します。
• 「iSCSI の概要」
• 「GGSN での iSCSI バックアップおよびストレージの設定」
• 「iSCSI CDR バックアップおよびストレージのモニタリングおよびメンテナンス」
iSCSI の概要
iSCSI 転送プロトコルは TCP/IP 上で動作するため、モバイル事業者およびサービス プロバイダーは iSCSI インターフェイスに接続した自社の SAN を使用して、閉じた CDR も含め Data Transfer Record(DTR; データ転送レコード)メッセージ全体を保存できます。
SAN テクノロジーは主に次の要素で構成されており、カスタマーはスケーラブルなストレージ ソリューションを構築できます。
• SCSI :同じシステムに複数のデバイスを設置するためのインターフェイス規格であり、ケーブルで各デバイスを鎖状に接続できます。各デバイスには一意の ID(番号)が割り当てられるため、バス上で各デバイスを識別できます。SCSI ID は Logical Unit Number(LUN; 論理ユニット番号)に分割できるため、数多くのデバイスが単一の SCSI ID を共有できます。I/O 要求を発信したデバイスはイニシエータと呼ばれ、応答を発信したデバイスはターゲットと呼ばれます。
• SAN :ストレージからなる独自のネットワークにネットワーク ストレージを移動できるようにするためのテクノロジー。ストレージ ネットワークはスイッチおよびハブを配置してストレージ デバイスを異種サーバに接続したものであり、ディスク、テープ、および光ストレージを接続できます。
SAN システムでは、共有ストレージ アレイに存在するデータに専用のストレージ ネットワークを介してブロック レベルでアクセスできます。
• iSCSI :TCP 上で SCSI 要求および応答をマッピングし、SCSI イニシエータ(次の例では Cisco GGSN)とターゲット(SAN 上のストレージ デバイス)間でブロック レベルでデータを転送できる転送プロトコル。イニシエータは、I/O 要求を送信し、ターゲットは I/O 応答を送信します。
SAN トポロジの特徴として、次の機能があります。
• ストレージは、ネットワーク クライアントに直接には接続されません。
• ストレージは、サーバに直接には接続されません。
• ストレージ デバイスは、相互に接続されています。
• 複数のサーバが複数のストレージ デバイスを共有できます。
GGSN での iSCSI バックアップおよびストレージの設定
SCSI 環境では、GGSN は iSCSI イニシエータとして機能します。
iSCSI デバイスで G-CDR バックアップ ストレージをイネーブルにするには、次の作業を実行します。
1. GGSN で、ターゲットの名前および IP アドレスを含めた iSCSI ターゲット プロファイルと、iSCSI トラフィックを「リッスンする」TCP ポートを設定します。
2. 課金ゲートウェイが使用できない場合には、レコード保管用のインターフェイスを使用するように GGSN を設定します。
Cisco GGSN リリース 9.0 以降では、最大 30 個の iSCSI ターゲット プロファイルを設定し、課金グループ内の一意の課金ゲートウェイに関連付けることができます。
このようにする代わりに、iSCSI ターゲット プロファイルを CDR のプライマリ ストレージとして設定することもできます。そのためには、グローバル レベル(デフォルト課金グループ 0)で課金ゲートウェイではなく iSCSI ターゲット プロファイルだけを設定します。また、APN レベルで設定する場合は、APN に関連付けられた課金グループ(課金グループ 1 ~ 29)に iSCSI ターゲットだけを定義します。
GGSN から送信された I/O 要求は、SCSI 要求に変換され、TCP/IP 経由でリモート ストレージ ターゲットに転送されます。
iSCSI への書き込み時のレコード フォーマットの選択
DTR を iSCSI に書き込むとき、レコードを格納するためのフォーマットはデフォルトでは「GTP」であり、DTR 全体が iSCSI ターゲットに書き込まれます。この代わりに、iSCSI レコード フォーマットを ASN.1 に設定することもできます。そのためには、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs charging iscsi rec-format コマンドを使用し、 asn.1 キーワード オプションを指定します。レコード フォーマットを ASN.1 に設定した場合、GGSN は DTR 情報要素をレコードに埋め込まず、ASN1 に従ってエンコードされた未加工の CDR だけを iSCSI に書き込みます。ASN.1 フォーマットは、FTP を使用して iSCSI からレコードを取得するときに有用です。
レコード フォーマットを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs charging iscsi rec-format コマンドを使用します。
(注) ASN.1 フォーマットのレコードが生成されるのは、gprs auto-retrieve が GGSN で無効になっている(デフォルトの動作)ときだけです。iSCSI ターゲットが課金レコードのプライマリ ストレージとして使用されるとき(課金ゲートウェイが設定されないとき)にだけ、ASN.1 フォーマットを使用してください。
iSCSI がバックアップ ストレージとして使用される場合の DTR の書き込み
• iSCSI バックアップ ストレージ設定が所定の場所に配置されており、課金ゲートウェイに到達できない場合、iSCSI への書き込みが開始されます。DTR メッセージ全体が、ターゲット プロファイルに定義された iSCSI ターゲットに送信されます。
• iSCSI をバックアップとして使用している場合に推奨する iSCSI レコード フォーマットは GTP(デフォルトのフォーマット)です。iSCSI の自動取得( gprs auto-retrieve グローバル コンフィギュレーション コマンド)がイネーブルになっている場合は、レコード フォーマットを GTP に設定する必要があります。
• iSCSI 自動取得がイネーブルになっている場合、GGSN は DTR メッセージ全体を送信するとともに、メッセージの前に 12 バイトのヘッダーを追加してから SAN に格納します。このヘッダーは、DTR を取得して課金ゲートウェイに送信するときに使用されます(また、RSM レイヤはメッセージに 12 バイトのヘッダーおよび 4 バイトのトレーラを追加して格納します)。
(注) FTP など他の手段で SAN から DTR を直接取得する場合は、レコードごとに 10 バイトのヘッダーをスキップして、エンコードされた CDR が含まれている実際の DTR を得る必要があります。
iSCSI がプライマリ ストレージとして使用される場合の DTR の書き込み
• 課金ゲートウェイが設定されておらず、iSCSI ターゲット プロファイルだけがグローバル課金レベル(課金グループ 0)または粒状課金レベル(課金グループ 1 ~ 29)で定義されている場合は、iSCSI が課金レコードを書き込むためのプライマリ ストレージとなります。
• iSCSI レコード フォーマットはどれでも使用できますが、ASN.1 iSCSI レコード フォーマットを使用すると、ヘッダーを追加することなく、ASN1 に従ってエンコードされた未加工の CDR を iSCSI に格納できます。
CDR の読み取り
• iSCSI バックアップ ストレージ設定が所定の場所にあると、課金ゲートウェイが稼動した場合、iSCSI イニシエータ(GGSN)は iSCSI ターゲットから iSCSI レコードを受信するように要求します。
• GGSN がレコードを受信すると、書き込みの処理時に GGSN が追加した 12 バイトのヘッダーが削除され、DTR 全体が課金ゲートウェイに送信されます。
DTR を課金ゲートウェイに送信する前に、重複の可能性ありとのマークを DTR に付与する場合は、次の課金コンフィギュレーション コマンドで GGSN を設定する必要があります。
– gprs charging message transfer-request command-ie
– gprs charging message transfer-request possibly-duplicate
iSCSI の制限
GGSN に iSCSI CDR バックアップおよびストレージを設定する場合は、次の点に注意してください。
• iSCSI ターゲットは動的に検出できません。
• iSCSI セッションあたりの TCP 接続の数は、1 つに制限されます。
• iSCSI ターゲット デバイスは、あらかじめフォーマットしておく必要があります。LUN ごとに、FAT32 パーティションを 1 つだけにする必要があります。
• LUN の最大サイズは、2TB までとする必要があります。これが、FAT32 ファイル システムでサポートされている最大ディスク サイズとなります。
GGSN に iSCSI CDR バックアップおよびストレージを設定する場合は、次の項の作業を実行します。
• 「iSCSI ターゲット プロファイルの設定」
• 「iSCSI ターゲット プロファイルの関連付け」
• 「iSCSI セッションの検証」
iSCSI ターゲット プロファイルの設定
(注) GGSN では、最大 30 個の iSCSI プロファイルを設定できます。ただし、プロファイルごとにターゲットを 1 つだけ定義できます。また、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs iscsi コマンドを使用すると、GGSN にプロファイルを関連付けて iSCSI インターフェイスを使用できますが、一度に 1 つのプロファイルにかぎられます。
GGSN に iSCSI ターゲット プロファイルを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
Router(config)#
ip iscsi target-profile target_profile_name
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GGSN でターゲットの iSCSI ターゲット プロファイルを作成し、iSCSI インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Router(config-iscsi)#
name
target name
|
(必須)iSCSI ターゲットの名前。 |
ステップ 3 |
Router(config-iscsi)#
ip
ip_address
|
(必須)iSCSI ターゲットの IP アドレス。 |
ステップ 4 |
Router(config-iscsi)#
port
tcp port
|
(必須)ターゲット上の TCP「リスリング」ポートの番号。デフォルトは 3260 です。 |
ステップ 5 |
Router(config-iscsi)#
source-interface
loopback_interface_number
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(任意)ループバック インターフェイスの番号(iSCSI トラフィックで別のソース インターフェイスを使用する場合)。 |
ステップ 6 |
Router(config-iscsi)#
vrf
vrf_name
|
(任意)VPN ルーティングおよび転送(VRF)インスタンスの名前(iSCSI トラフィックで Virtual Private Network(VPN; バーチャル プライベート ネットワーク)が必要になる場合)。 |
ステップ 7 |
Router(config-iscsi)#
exit
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iSCSI インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了します。 |
(注) name、ip、port の各 iSCSI インターフェイス サブ設定は必須です。ターゲット プロファイルに設定できる任意の設定をすべて記載したリストについては、iSCSI インターフェイス コンフィギュレーション モードで「?」コマンドを発行するか、または『Cisco GGSN Release 9.0 Command Reference』で ip iscsi target-profile コマンドの説明を参照してください。
iSCSI ターゲット プロファイルの関連付け
使用できる課金ゲートウェイがない場合に CDR ストレージの iSCSI インターフェイスを使用するように GGSN を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)#
gprs iscsi
target_profile_name
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レコード保管用の iSCSI プロファイルを使用するように GGSN を設定します。 (注) 一度に 1 つのプロファイルだけを定義できます。 コマンドを使用して設定したものと同じである必要があります。 |
iSCSI セッションの検証
iSCSI セッションが稼動していることを検証するには、特権 EXEC モードで次のコマンドを使用します。
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Router#
show ip iscsi session
|
iSCSI セッションのステータスを表示します。 |
iSCSI CDR バックアップおよびストレージのモニタリングおよびメンテナンス
GGSN で iSCSI バックアップおよびストレージ機能をモニタリングおよびメンテナンスするには、次のコマンドを使用できます。
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Router# clear gprs iscsi statistics |
GGSN iSCSI 処理統計情報をクリアします。 |
Router# clear ip iscsi statistics |
iSCSI 処理統計情報をクリアします。 |
Router# clear record-storage-module |
レコード保管モジュール統計情報をクリアします。 |
Router# show ip iscsi name |
iSCSI イニシエータの名前を表示します。 |
Router# show ip iscsi session |
iSCSI セッションのステータスを表示します。 |
Router# show ip iscsi stats |
iSCSI および SCSI レイヤ統計情報を表示します。 |
Router# show ip iscsi target |
iSCSI ターゲットの詳細を表示します。 |
Router# show record-storage-module stats |
レコード保管モジュール統計情報を表示します。 |
Router#
show record-storage-module target-info [
all |
target-profile
profile_name ]
|
使用可能なすべてのディスクとそのステータス、またはターゲット プロファイルで定義されているディスクを表示します。 |
粒状課金およびストレージの設定
Cisco GGSN は、デフォルトのグローバル課金設定に加えて、アクセス ポイント レベルの課金設定(粒状課金)もサポートします。
粒状課金では、GGSN ごとに最大 30 個の 課金グループ を設定できます。課金グループごとに、APN、一意のプライマリ、セカンダリ、ターシャリの課金ゲートウェイ、および iSCSI ターゲットを定義し、割り当てることができます。課金グループを使用すると、課金レコードを所属先の APN ごとに異なる宛先に送信できます。
APN に課金グループを割り当てないと、デフォルト課金グループ(グローバル レベルで設定したプライマリ、セカンダリ、ターシャリの課金ゲートウェイ、iSCSI ターゲット、プライオリティ スイッチオーバーなど)が使用されます。
課金グループ 0 が、グローバル レベルで定義されるデフォルト課金グループです。課金グループ 1 ~ 29 を設定し、関連付けることができます。
使用上の注意
粒状課金およびストレージを設定する場合は、次の点に注意してください。
• GGSN ごとに最大 30 個の課金グループを設定し、APN に割り当てることができます。0 値は、グローバル課金ゲートウェイおよびグローバル iSCSI ターゲット(設定している場合)が含まれているデフォルトのグローバル課金グループ用に予約されています。他の課金グループを定義するには、値 1 ~ 29 を使用できます。
• デフォルトでは、APN に課金グループ(課金グループ 1 ~ 29)を割り当てていないかぎり、すべての APN がデフォルトのグローバル課金グループ 0 を使用します。
• 同じ課金グループを複数の APN に割り当てることができますが、APN ごとに 1 つの課金グループだけを割り当てることができます。
• 課金ゲートウェイは 1 つの課金グループだけに割り当てることができます。課金ゲートウェイは、プライマリ、セカンダリ、ターシャリのいずれのゲートウェイとして定義しているかどうかに関係なく、グループで共有できません。
• iSCSI ターゲットは 1 つの課金グループだけに割り当てることができます。iSCSI は、グループで共有できません。
• 1 つの課金グループ内で課金ゲートウェイのスイッチオーバーが発生した場合、グローバル設定(課金グループ 0)と同じ優先順位が保持されます。つまり、プライマリ課金ゲートウェイ、セカンダリ課金ゲートウェイ、ターシャリ課金ゲートウェイ、iSCSI ターゲットの順となります。
• APN に課金グループを割り当てると、課金グループ内でだけ APN のスイッチオーバーが発生します。APN は、グローバルに設定した課金ゲートウェイまたは iSCSI ターゲットにはフォールバックしません。
• APN に空の課金グループ(課金ゲートウェイも iSCSI ターゲットも定義していないグループ)を割り当てた場合、 service-mode maintenance 課金グループ コンフィギュレーション コマンドで課金グループをメンテナンス モードにしないかぎり、その APN の CDR は生成されません。
• 課金グループに iSCSI ターゲットだけを定義した場合、グローバルに設定した iSCSI ターゲットへのフォールバックは発生しません。
• 割り当てた課金グループで APN に iSCSI ターゲットを定義していない場合、その APN はグローバルに設定した iSCSI プロファイルにフォールバックできません。このため、APN の iSCSI バックアップおよびストレージをイネーブルにするには、APN に割り当てた課金グループに iSCSI ターゲットが定義されていることを確認してください。
• iSCSI ターゲットをバックアップ デバイスとしてではなく、APN の課金レコードのプライマリ ストレージ デバイスとして使用するには、その APN に関連付けられた課金グループに iSCSI ターゲットだけを定義します。
• 自動取得( gprs auto-retrieve グローバル コンフィギュレーション コマンド)は、グローバル レベル(デフォルト課金グループ 0)でだけサポートされます。自動取得は、APN 課金グループ レベル(グループ 1 ~ 29)ではサポートされません。
• 設定した iSCSI レコード フォーマットは、すべての課金グループに適用されます。
• 各課金グループを個別にメンテナンス モードまたは運用モードにすることができます。課金グループを変更する場合(課金ゲートウェイまたは iSCSI ターゲットを追加または削除する場合)は、まず service-mode 課金グループ コンフィギュレーション コマンドを使用してそのグループをメンテナンス モードにします。
• 課金グループがメンテナンス モードになると、そのグループで保留中の DTR がグループの課金メンテナンス キューに移動します。課金グループが運用モードに戻ると、グループ メンテナンス キューに保留中のメッセージ、または課金グループを使用して APN 用に開いている CDR が、次の順序に基づいて課金パスまたは iSCSI キューに移動します。
– 課金グループに課金ゲートウェイが定義されている場合、保留中のメッセージおよび開いている CDR は、プライオリティが最も高い課金ゲートウェイのパスに移動します。
– 課金ゲートウェイは定義されていないものの、iSCSI ターゲットは定義されている場合、保留中のメッセージおよび開いている CDR は iSCSI 書き込みキューに移動します。
– 課金ゲートウェイも iSCSI ターゲットも課金グループに定義されていない場合、そのグループの保留中のメッセージまたは開いている CDR があると、グループは運用モードに移行できません。
(注) 課金グループが空で運用モードになっている場合、そのグループの CDR は生成されません。
粒状課金を設定するには、次の項の作業を実行します。
• 「課金グループの設定」
• 「課金グループのアクセス ポイントへの関連付け」
• 「課金グループの変更」
• 「粒状課金のモニタリングおよびメンテナンス」
粒状課金およびストレージを設定するには、次の項の作業を実行します。
• 「課金グループの設定」
• 「課金グループのアクセス ポイントへの関連付け」
• 「課金グループの変更」
課金グループの設定
課金グループを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
Router(config)# gprs charging group group-number |
課金グループを定義または変更します。 group-number は 1 ~ 29 の値です。 (注) 0 値は、グローバル課金ゲートウェイおよびグローバル iSCSI ターゲット(定義している場合)が含まれているデフォルト課金グループ用に予約されています。他の課金グループを定義するには、値 1 ~ 29 を使用できます。 |
ステップ 2 |
Router(config-chrg-group)# description description |
課金ゲートウェイ グループの定義です。 |
ステップ 3 |
Router(config-chrg-group)# primary { ip-address | name } |
グループのプライマリ課金ゲートウェイを指定します。詳細は次のとおりです。 • ip-address :プライマリ課金ゲートウェイの IP アドレスを指定します。 • name :プライマリ課金ゲートウェイのホスト名を指定します。 |
ステップ 4 |
Router(config-chrg-group)# secondary { ip-address | name } |
グループのセカンダリ課金ゲートウェイを指定します。詳細は次のとおりです。 • ip-address :セカンダリ課金ゲートウェイの IP アドレスを指定します。 • name :セカンダリ課金ゲートウェイのホスト名を指定します。 |
ステップ 5 |
Router(config-chrg-group)# tertiary { ip-address | name } |
グループのターシャリ課金ゲートウェイを指定します。詳細は次のとおりです。 • ip-address :ターシャリ課金ゲートウェイの IP アドレスを指定します。 • name :ターシャリ課金ゲートウェイのホスト名を指定します。 |
ステップ 6 |
Router(config-chrg-group)# switchover priority |
プライオリティの高いゲートウェイがアクティブになったときには課金グループ内のそのゲートウェイに切り替わるように、GGSN を設定します。 |
ステップ 7 |
Router(config-chrg-group)# iscsi iscsi-profile-name |
すべての課金ゲートウェイがダウンしている場合には、CDR バックアップの iSCSI ターゲットを指定します。 |
ステップ 8 |
Router(config-chrg-group)# service-mode [ maintenance | operational ] |
課金グループをメンテナンス モードまたは運用モードにします。デフォルトは運用モードです。 |
ステップ 9 |
Router(config-chrg-group)# exit |
課金グループ コンフィギュレーション モードを終了します。 |
課金グループのアクセス ポイントへの関連付け
課金グループの設定を終えたら、そのグループを APN に割り当てます。
課金グループを APN に割り当てるには、アクセス ポイント コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config-access-point)# charging group chrg-group-number |
既存の課金グループを APN に割り当てます。 group-number は 1 ~ 29 のいずれかの数字です。 |
課金グループの変更
課金グループを変更する場合は、まず課金グループをメンテナンス モードにします。
課金グループをメンテナンス モードにするには、課金グループ コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config-chrg-group)# service-mode maintenance |
課金グループをメンテナンス モードにします。 |
変更後、課金グループを運用モードに戻すには、課金グループ コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config-chrg-group)# service-mode operational |
課金グループを運用モードにします。 |
粒状課金のモニタリングおよびメンテナンス
GGSN で粒状課金をモニタリングおよびメンテナンスするために使用できるコマンドを次に示します。
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Router# clear gprs charging cdr charging-group |
CDR をクリアします。 |
Router# clear gprs iscsi statistics |
現在の GPRS 関連の iSCSI 統計情報をクリアします。 |
Router# show gprs access-point |
GGSN のアクセス ポイントに関する情報を表示します。 |
Router# show gprs charging parameters charging-group |
GGSN の累積課金統計情報を表示します。 |
Router# show gprs charging statistics |
GGSN の現在の課金統計情報を表示します。 |
Router# show gprs charging status |
GGSN の現在の課金統計情報を表示します。 |
Router# show gprs charging summary |
GGSN に定義されているすべての課金グループの概要を表示します。 |
(注) 上記に挙げた clear と show のコマンドの多くが、課金グループに固有の情報をクリアおよび表示できるように、charging-group キーワード オプションで拡張されています。
GGSN での課金機能のモニタリングおよびメンテナンス
ここでは、GGSN の課金機能をモニタリングするために使用できる show コマンドの要約を示します。
GGSN での課金をモニタリングおよびメンテナンスするには、次の特権 EXEC コマンドを使用します。
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Router# show gprs charging parameters |
現在の GGSN 課金設定に関する情報を表示します。 |
Router# show gprs service-mode |
GGSN の現在のグローバル サービス モード状態と、状態の最終変更時刻を表示します。 |
Router# show gprs charging statistics |
GGSN と課金ゲートウェイ間での課金パケットの転送に関する累積統計情報を表示します。 |
設定例
GGSN に実装した課金設定の例を次に示します。
グローバル課金設定
GGSN 設定
Router# show running-config
Building configuration...
Current configuration :7390 bytes
! Last configuration change at 16:56:05 UTC Wed Jun 25 2003
! NVRAM config last updated at 23:40:27 UTC Fri Jun 13 2003
interface GigabitEthernet0/0.2
description Ga/Gn Interface
ip address 10.1.1.72 255.255.255.0
ip route 40.1.2.1 255.255.255.255 10.1.1.1
gprs access-point-list gprs
access-point-name auth-accounting
access-mode non-transparent
aaa-group authentication first
aaa-group accounting second
ip-address-pool dhcp-proxy-client
dhcp-gateway-address 10.60.0.1
gprs default charging-gateway 10.9.0.2
gprs charging send-buffer 1000
gprs charging container volume-threshold 500000
gprs charging container change-limit 3
gprs charging cdr-aggregation-limit 10
gprs charging cdr-option apn-selection-mode
gprs charging cdr-option served-msisdn
gprs memory threshold 512
スーパーバイザ エンジン設定
Building configuration...
Current configuration :12672 bytes
interface FastEthernet8/22
switchport access vlan 302
description Vlan to GGSN for GA/GN
ip address 10.1.1.1 255.255.255.0
ip address 40.0.2.1 255.255.255.0
課金プロファイル設定
次の設定例は、GGSN に設定された課金プロファイルを 2 つ示しています(課金プロファイル 1 と課金プロファイル 2)。課金プロファイル 1 は、課金プロファイルが APN に指定されていない場合に、「あらゆる」タイプのユーザに使用されるグローバルなデフォルト課金プロファイルとして設定されています。
Router# show running-config
Building configuration...
Current configuration :7390 bytes
! Last configuration change at 16:56:05 UTC Wed Jun 25 2003
! NVRAM config last updated at 23:40:27 UTC Fri Jun 13 2003
interface GigabitEthernet0/0.2
description Ga/Gn Interface
ip address 10.1.1.72 255.255.255.0
ip route 40.1.2.1 255.255.255.255 10.1.1.1
gprs charging profile default any 1
description "roamer_profile"
limit volume 500000 reset
description "any_unmatched"
limit volume 1000000 reset
粒状課金およびストレージ設定
次の設定例は、GGSN に設定された課金グループを 2 つ示しています(課金グループ 1 と課金グループ 2)。iSCSI ターゲットが課金グループ 1 に定義されています。課金グループ 1 は、アクセス ポイント 4 およびアクセス ポイント 5 に関連付けられています。
Router# show running-config
Building configuration...
Current configuration :7390 bytes
gprs access-point-list gprs
access-point 4
access-point-name test2
charging group 1
!
access-point 5
access-point-name pppregen
charging group 1
ppp-regeneration
!
!
!
gprs charging group 2
primary 66.66.66.1
secondary 66.66.66.2
tertiary 66.66.66.3
!
gprs charging group 1
primary 55.55.55.1
secondary 55.55.55.2
tertiary 55.55.55.3
iscsi ISCSI_TARGET1
switchover priority
!
gprs iscsi TARGET_LINUX