RIP 情報
このセクションは、次のトピックで構成されています。
RIP の概要
RIP はユーザ データグラム プロトコル(UDP)データ パケットを使用して、小規模なインターネットワークでルーティング情報を交換します。RIPv2 は IPv4 をサポートしています。RIPv2 は RIPv2 プロトコルがサポートするオプションの認証機能を使用します(「RIPv2 の認証」の項を参照)。
RIP では次の 2 種類のメッセージを使用します。
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要求:他の RIP 対応ルータからのルート アップデートを要求するためにマルチキャスト アドレス 224.0.0.9 に送信されます。
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応答:デフォルトでは 30 秒間隔で送信されます(「RIP 設定の検証」の項を参照)。ルータも、要求メッセージの受信後に応答メッセージを送信します。応答メッセージには、RIP ルート テーブル全体が含まれます。RIP ルーティング テーブルが 1 つの応答パケットに収まらない場合、RIP は 1 つの要求に対して複数の応答パケットを送信します。
RIP はルーティング メトリックとして、ホップ カウントを使用します。ホップ カウントは、パケットが宛先に到達するまでに、通過できるルータの数です。直接接続されたネットワークのメトリックは 1 です。到達不能なネットワークのメトリックは 16 です。RIP はこのようにメトリックの範囲が小さいので、大規模なネットワークに適したルーティング プロトコルではありません。
RIPv2 認証
RIP メッセージに認証を設定して、ネットワークでの不正な、または無効なルーティング更新を防止できます。Cisco NX-OS は簡易パスワードまたは MD5 認証ダイジェストをサポートしています。
認証キーのキーチェーン管理を使用することによって、インターフェイスごとに RIP 認証を設定できます。キーチェーン管理によって、MD5 認証ダイジェストまたは単純テキスト パスワード認証で使用される認証キーの変更を制御できます。キー チェーンの作成の詳細については、Cisco Nexus 3548 スイッチ NX-OS セキュリティ構成ガイドを参照してください。
MD5 認証ダイジェストを使用するには、ローカル ルータとすべてのリモート RIP ネイバーが共有するパスワードを設定します。Cisco NX-OS は、そのメッセージ自体と暗号化されたパスワードに基づいて MD5 一方向メッセージ ダイジェストを作成し、このダイジェストを RIP メッセージ(要求または応答)とともに送信します。受信側の RIP ネイバーは、同じ暗号パスワードを使用して、ダイジェストを検証します。メッセージが変更されていない場合は、計算が一致し、RIP メッセージは有効と見なされます。
MD5 認証ダイジェストの場合はさらに、ネットワークでメッセージが再送されないように、各 RIP メッセージにシーケンス番号が組み込まれます。
Split Horizon
スプリット ホライズンを使用すると、ルートを学習したインターフェイスから RIP がルートをアドバタイズしないようにできます。
スプリット ホライズンは、RIP アップデートおよびクエリー パケットの送信を制御する方法です。インターフェイスでスプリット ホライズンをイネーブルにすると、Cisco NX-OS は、このインターフェイスから学習された宛先への更新パケットを送信しません。この方法でアップデート パケットを制御すると、ルーティング ループの発生する可能性が小さくなります。
ポイズン リバースを指定してスプリット ホライズンを使用すると、ルートを学習したインターフェイス経由では到達不能であると RIP が学習したルートをアドバタイズするように、インターフェイスを設定できます。下の図に、ポイズン リバースをイネーブルにしてスプリット ホライズンを指定した、RIP ネットワークの例を示します。
ルータ C はルート X について学習し、そのルートをルータ B にアドバタイズします。ルータ B はルート X をルータ A にアドバタイズしますが、ルート X の到達不能アップデートをルータ C に送り返します。
デフォルトでは、スプリット ホライズンはすべてのインターフェイスでイネーブルになっています。
ルートのフィルタリング
RIP 対応インターフェイス上でルート ポリシーを設定すると、RIP アップデートをフィルタリングできます。Cisco NX-OS は、ルート ポリシーで許可されたルートだけを使用して、ルート テーブルをアップデートします。
ルート集約
指定したインターフェイスに複数のサマリー集約アドレスを設定できます。ルート集約を使用すると、固有性の強い一連のアドレスをすべての固有アドレスを代表する 1 つのアドレスに置き換えることによって、ルート テーブルを簡素化できます。たとえば、10.1.1.0/24、10.1.2.0/24、および 10.1.3.0/24 というアドレスを 1 つの集約アドレス 10.1.0.0/16 に置き換えることができます。
RIP はルーティング テーブルに含まれている固有性の強いルートが多いほど、固有性の強いルートの最大メトリックと同じメトリックのインターフェイスからのサマリー アドレスをアドバタイズします。
(注) |
Cisco NX-OS は、自動ルート集約をサポートしていません。 |
ルートの再配布
RIP を使用すると、スタティック ルートや他のプロトコルからのルートを再配布できます。再配布を設定するには、ルート ポリシーを使用して、RIP に渡すルートを制御します。ルート ポリシーを使用すると、宛先、送信元プロトコル、ルート タイプ、ルート タグなどの属性に基づいて、ルートをフィルタリングできます。詳細については、ルート ポリシー マネージャの構成のセクションを参照してください。
RIP ルーティング ドメインにルートを再配布しても、デフォルトでは Cisco NX-OS がそのつど、RIP ルーティング ドメインにデフォルト ルートを再配布することはありません。RIP にデフォルト ルートを生成し、ルート ポリシーでそのルートを制御できます。
RIP にインポートされたすべてのルートに使用する、デフォルトのメトリックも設定できます。
ロード バランシング
ロード バランシングを使用すると、ルータは、宛先アドレスから等距離内にあるすべてのルータのネットワーク ポートにトラフィックを分散できます。ロード バランシングは、ネットワーク セグメントの使用率を向上させ、有効ネットワーク帯域幅を増加させます。
Cisco NX-OS は、等コスト マルチパス(ECMP)機能をサポートします。RIP ルート テーブルおよびユニキャスト RIB の等コスト パスは最大 32 です。これらのパスの一部または全部でトラフィックのロード バランシングが行われるように、RIP を設定できます。
仮想化のサポート
Cisco NX-OSは、同一システム上で動作する複数の RIP プロトコル インスタンスをサポートします。RIP は仮想ルーティングおよび転送(VRF)インスタンスをサポートします。
デフォルトでは、特に別の VRF を設定しない限り、Cisco NX-OS はユーザーをデフォルトの VRF に配置します。