Cisco SRST での SIP/TLS/TCP セキュア コール シグナリングと SRTP メディア暗号化の設定
OL-20685-01-J
この機能を使用すると、セキュアなコール シグナリングに対する Session Initiation Protocol/Transport Layer Security/Transmission Control Protocol(SIP/TLS/TCP)サポートとメディア暗号化に対する Secure Real-time Transport Protocol(SRTP)のサポートが追加され、Cisco Unified Survivable Remote Site Telephony(Cisco SRST)を使用して Cisco Unified IP Phone とフェールオーバー デバイス間でセキュアかつ暗号化された接続を確立できます。
前提条件
• Cisco IOS リリース 15.0(1)XA 以降
• Cisco Unified IP Phone ファームウェア リリース 8.5(3) 以降
Cisco SRST での SIP/TLS/TCP セキュア コール シグナリングと SRTP メディア暗号化の設定に関する情報
Cisco IP Phone ファームウェア アップデート 8.5(3) および Cisco IOS リリース 15.0(1)XA 以降、Cisco SRST は SIP/UDP 接続と SIP/TLS/TCP 接続をサポートするようになりました。また、Cisco SRST は、IP 電話機のセキュリティ設定に基づいて RTP および SRTP メディア接続をサポートするようになりました。
Cisco SRST の SIP-to-SIP および SIP-to-PSTN サポートには、次の機能が含まれます。
• 基本的なコーリング
• 保留/復帰
• 会議
• 転送
• ブラインド転送
• 自動転送
Cisco SRST の SIP-to-Other は、基本的なコーリングだけをサポートします(ただし、他の機能が動作することがあります)。
セキュアなコール シグナリングの設定方法
この項には次のタスクが含まれます。
• 「Cisco Unified Communications Manager の設定」
• 「SRTP の設定」
• 「セキュアなモードの設定」
• 「TLS の設定」
Cisco Unified Communications Manager の設定
Cisco Unified Communications Manager では、セキュアなエンドポイントとセキュアでないエンドポイントがそれぞれ別の SRST 参照設定とデバイス プールを持つ必要があります。
Cisco Unified Communications Manager Administration で [System] > [SRST] と選択し、次のことを確認します。
• セキュアな SRST プロファイルの場合は、[Is SRST Secure?] をオンにする必要があります。SIP ポートは 5061 である必要があります。
• セキュアでない SRST プロファイルの場合は、[Is SRST Secure?] をオンにするかどうかは Skinny Call Control Protocol(SCCP)の設定に応じて異なります。SIP ポートは 5060(デフォルト値)である必要があります。
[Device] > [Phone] と選択して次のことを確認します。
• セキュアな電話機はセキュアな SRST プロファイルを使用するプールに属する必要があります。
• セキュアでない電話機はセキュアでない SRST プロファイルを使用するプールに属する必要があります。
SRTP の設定
この項では、Cisco SRST で SRTP を設定する方法について説明します。
手順の要約
1. enable
2. configure terminal
3. service voip
4. srtp fallback
5. allow-connections sip to h323
6. allow-connections sip to sip
詳細な手順
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードを有効にします。 • パスワードを入力します(要求された場合)。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
voice service voip
Router(config)# voice service voip |
音声サービス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
srtp fallback
Router(config-voi-serv)# srtp fallback |
SRTP を使用してセキュアなコールとコール フォールバックを有効にするよう指定します。 |
ステップ 5 |
allow-connections sip to h323
Router(config-voi-serv)# allow-connections sip to h323 |
SIP エンドポイントから H.323 エンドポイントへの接続を許可します。 |
ステップ 6 |
allow-connections sip to sip
Router(config-voi-serv)# allow-connections sip to sip |
SIP エンドポイントから SIP エンドポイントへの接続を許可します。 |
セキュアなモードの設定
この項では、Cisco SRST でセキュリティなモードを設定する方法について説明します。
手順の要約
1. sip
2. url sip | sips
3. srtp negotiate cisco
4. exit
5. exit
詳細な手順
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ステップ 1 |
sip
Router(config-voi-serv)# sip |
SIP コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
url sip | sips
Router(conf-serv-sip)# url sips |
セキュアなモードを設定するには、 sips キーワードを使用して URL を VoIP コールの SIP Secure(SIPS)形式で生成します。 デバイスデフォルト モードを設定するには、 sip キーワードを使用して URL を VoIP コールの SIP 形式で生成します。 |
ステップ 3 |
srtp negotiate cisco
Router(conf-serv-sip)# srtp negotiate cisco |
SRTP オファーの応答時に Cisco IOS SIP ゲートウェイが RTP プロファイルの送信と受信をネゴシエートできるようにします。 |
ステップ 4 |
exit
Router(conf-serv-sip)# exit |
音声サービス コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
exit
Router(conf-voi-serv)# exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
TLS の設定
この項では、Cisco SRST で TLS を設定する方法について説明します。
手順の要約
1. voice register global
2. security-policy secure
3. exit
詳細な手順
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ステップ 1 |
voice register global
Router(config)# voice register global |
音声登録グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
security-policy secure
Router(config-register-global)# security-policy secure |
SIP/TLS/TCP 接続だけが許可されるよう SIP 登録セキュリティ ポリシーを設定します。 デバイスデフォルト モードの場合は、 no security-policy コマンドを使用します。 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-register-global)# exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
厳密な暗号化の設定
この項では、Cisco SRST で厳密な暗号化を設定する方法について説明します。
手順の要約
1. sip-ua
2. registrar ipv4 : destination-address expires seconds
3. xfer target dial-peer
4. crypto signaling default trustpoint string [ strict-cipher ]
5. end
詳細な手順
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ステップ 1 |
sip-ua
Router(config)# sip-ua |
SIP ユーザエージェント コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
registrar ipv4 : destination-address expires seconds
Router(config-sip-ua)# registrar ipv4:192.0.2.10 expires 3600 |
ゲートウェイがプライマリおよびセカンダリ外部 SIP レジストラに E.164 電話番号を登録できるようにします。 destination-address はプライマリ SIP レジストラ サーバの IP アドレスです。 |
ステップ 3 |
xfer target dial-peer
Router(config-sip-ua)# refer target dial-peer |
SRST が転送先としてメッセージ本文で指定されたものではなくダイヤル ピアを使用するよう指定します。 |
ステップ 4 |
crypto signaling default trustpoint string [strict-cipher]
Router(config-sip-ua)# crypto signaling default trustpoint 3745-SRST strict-cipher |
TLS ハンドシェイク中に使用される trustpoint string キーワードおよび引数を識別します。 trustpoint string キーワードおよび引数は、Cisco IOS Public-Key Infrastructure(PKI; 公開鍵インフラストラクチャ)コマンドを使用して、登録プロセスの一部として生成されたゲートウェイの証明書を参照します。 strict-cipher キーワードは、Advanced Encryption Standard-128(AES-128; 高度暗号化規格 128)Cipher-Block-Chaining(CBC)Secure Hash Algorithm(SHA)(TLS_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA)暗号スイートでの TLS RSA 暗号化のサポートを制限します。 デバイスデフォルト モードを設定するには、 strict-cipher キーワードを省略します。 |
ステップ 5 |
end
Router(config-sip-ua)# end |
現在の設定セッションを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。 |
設定の検証
次の例は、 show sip-ua status registrar コマンドと show voice register global コマンドによって表示された設定例を示しています。
特権 EXEC モードで show sip-ua status registrar コマンドを使用すると、コンタクト アドレスに現在登録されているすべての SIP エンドポイントが表示されます。
Router# show sip-ua status registrar
Line destination expires(sec) contact
============ =============== ============ ===============
3029991 192.0.2.108 388 192.0.2.108
TLS 00120014-4ae40064-f1a3e9fe-8d301072@192.0.2.1
3029993 192.0.2.103 382 192.0.2.103
TCP 001bd433-1c840052-655cd596-4e992eed@192.0.2.1
3029982 192.0.2.106 406 192.0.2.106
UDP 001d452c-dbba0056-0481d321-1f3f848d@192.0.2.1
3029983 192.0.2.106 406 192.0.2.106
UDP 001d452c-dbba0057-1c69b699-d8dc6625@192.0.2.1
3029992 192.0.2.107 414 192.0.2.107
TLS 001e7a25-50c9002c-48ef7663-50c71794@192.0.2.1
特権 EXEC モードで show voice register global コマンドを使用すると、SIP 電話機に関連付けられたすべてのグローバル コンフィギュレーション パラメータが表示されます。
Router# show voice register global
Outbound-proxy is enabled and will use global configured value
Security Policy: DEVICE-DEFAULT
System message is Welcome to ALOA Secure Fallback
network-locale[0] US (This is the default network locale for this box)
user-locale[0] US (This is the default user locale for this box)
追加の参照資料
次の項では、この機能に関連する参照資料を提供します。
標準
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この機能では新しい標準や変更された標準はサポートされず、既存の標準のサポートは変更されていません。 |
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MIB
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この機能では新しい MIB や変更された MIB はサポートされず、既存の MIB のサポートは変更されていません。 |
選択されたプラットフォーム、Cisco IOS リリース、および機能セットの MIB を見つけてダウンロードするには、次の URL に存在する Cisco MIB Locator を使用します。 http://www.cisco.com/go/mibs |
RFC
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この機能では新しい RFC や変更された RFC はサポートされず、既存の RFC のサポートは変更されていません。 |
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シスコのテクニカル サポート
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シスコ サポート Web サイトは、シスコの製品およびテクノロジーで発生した技術的な問題をトラブルシューティングおよび解決するためのドキュメンテーションとツールを含む広範なオンライン リソースを提供します。 以下を含むさまざまな作業にこの Web サイトが役立ちます。 テクニカル サポートを受ける ソフトウェアをダウンロードする セキュリティの脆弱性を報告する、またはシスコ製品のセキュリティ問題に対する支援を受ける ツールおよびリソースへアクセスする Product Alert の受信登録 Field Notice の受信登録 Bug Toolkit を使用した既知の問題の検索 Networking Professionals(NetPro)コミュニティで、技術関連のディスカッションに参加する トレーニング リソースへアクセスする TAC Case Collection ツールを使用して、ハードウェアや設定、パフォーマンスに関する一般的な問題をインタラクティブに特定および解決する Japan テクニカル サポート Web サイトでは、Technical Support Web サイト ( http://www.cisco.com/techsupport )の、利用頻度の高いドキュメントを日本語で提供しています。Japan テクニカル サポート Web サイトには、次のURLからアクセスしてください。http://www.cisco.com/jp/go/tac |
http://www.cisco.com/techsupport |
Cisco SRST での SIP/TLS/TCP セキュア コール シグナリングと SRTP メディア暗号化に関する機能情報
表 1 は、この機能のリリース履歴を示しています。
使用している Cisco IOS ソフトウェア リリースですべてのコマンドを利用できるわけではありません。特定のコマンドのリリース情報については、コマンド リファレンス ドキュメンテーションを参照してください。
Cisco Feature Navigator を使用して、プラットフォーム サポートとソフトウェア イメージ サポートに関する情報を入手してください。Cisco Feature Navigator を使用すると、特定のソフトウェア リリース、機能セット、またはプラットフォームをサポートする Cisco IOS と Catalyst OS ソフトウェア イメージを調べることができます。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、 http://www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
(注) 表 1 は、特定の Cisco IOS ソフトウェア リリース トレインの特定の機能がサポートされた Cisco IOS だけを示しています。特に記述がない限り、Cisco IOS ソフトウェア リリース トレインの後続リリースでも、該当する機能がサポートされます。
表 1 Cisco SRST での SIP/TLS/TCP セキュア コール シグナリングと SRTP メディア暗号化に関する機能情報
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Cisco SRST での SIP/TLS/TCP セキュア コール シグナリングと SRTP メディア暗号化の設定に関する情報 |
15.0(1)XA |
セキュアなコール シグナリングに対する Session Initiation Protocol/Transport Layer Security/Transmission Control Protocol(SIP/TLS/TCP)サポートとメディア暗号化に対する Secure Real-time Transport Protocol(SRTP)のサポートが追加され、Cisco Unified Survivable Remote Site Telephony(Cisco SRST)を使用して Cisco Unified IP Phone とフェールオーバー デバイス間でセキュアな暗号化された接続を確立できます。導入または変更されたコマンド: crypto signaling , security-policy, show sip ua status, show voice register global, srtp negotiate, xfer target dial-peer |
用語集
RTP :Real-Time Transport Protocol。IP パケットスイッチド ネットワークにリアルタイム データを配信します。
SCCP :Skinny Call Control Protocol。特定のクライアントと Cisco Unified Communications Manager 間の通信プロトコルです。
SIP :Session Initiation Protocol。音声コールなどのマルチメディア サービスを設定、保守、および終了するためのインターネット プロトコルです。
SRST :Survivable Remote Site Telephony。Cisco Unified Communications Manager に、ローカル ネットワーク上のシスコ ルータに接続されたCisco Unified IP Phone のフォールバック サポートを提供します。
SRTP :Secure Real-time Transport Protocol。RTP に対して暗号化とメッセージ認証を提供します。
TCP :Transmission Control Protocol。インターネット プロトコルの TCP/IP スイートの一部であるトランスポート レイヤ プロトコルです。
TLS :Transport Layer Security。公開鍵暗号化を使用するセキュリティ プロトコルです。
CCDE, CCENT, CCSI, Cisco Eos, Cisco HealthPresence, Cisco IronPort, the Cisco logo, Cisco Lumin, Cisco Nexus, Cisco Nurse Connect, Cisco StackPower, Cisco StadiumVision, Cisco TelePresence, Cisco Unified Computing System, Cisco WebEx, DCE, Flip Channels, Flip for Good, Flip Mino, Flip Video, Flip Video (Design), Flipshare (Design), Flip Ultra, and Welcome to the Human Network are trademarks; Changing the Way We Work, Live, Play, and Learn, Cisco Store, and Flip Gift Card are service marks; and Access Registrar, Aironet, AsyncOS, Bringing the Meeting To You, Catalyst, CCDA, CCDP, CCIE, CCIP, CCNA, CCNP, CCSP, CCVP, Cisco, the Cisco Certified Internetwork Expert logo, Cisco IOS, Cisco Press, Cisco Systems, Cisco Systems Capital, the Cisco Systems logo, Cisco Unity, Collaboration Without Limitation, EtherFast, EtherSwitch, Event Center, Fast Step, Follow Me Browsing, FormShare, GigaDrive, HomeLink, Internet Quotient, IOS, iPhone, iQuick Study, IronPort, the IronPort logo, LightStream, Linksys, MediaTone, MeetingPlace, MeetingPlace Chime Sound, MGX, Networkers, Networking Academy, Network Registrar, PCNow, PIX, PowerPanels, ProConnect, ScriptShare, SenderBase, SMARTnet, Spectrum Expert, StackWise, The Fastest Way to Increase Your Internet Quotient, TransPath, WebEx, and the WebEx logo are registered trademarks of Cisco Systems, Inc. and/or its affiliates in the United States and certain other countries.
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