Cisco Unified SRST 8.0 の MOH 拡張機能に関する情報
システム パフォーマンスを向上させるための MOH ファイルのキャッシュ
Cisco Unified SRST と Cisco Unified Communications Manager
Cisco Unified SRST 8.0 の新機能の設定方法
Cisco Unified SRST(フォールバック)に対する MOH グループの設定
電話の内線とマルチキャスト アドレスのマッピング(スタンバイ モード)
本書では、Cisco Unified Survivable Remote Site Telephony 8.0(Cisco Unified SRST)で追加された Music On Hold 拡張機能について説明します。
ご使用のソフトウェア リリースで、本モジュールに記載されているすべての機能がサポートされていないことがあります。最新の機能情報と捕捉説明については、ご使用のプラットフォームおよびソフトウェア リリースのリリース ノートを参照してください。本モジュールに記載されている機能についての情報と、各機能がサポートされているリリースの一覧については、「Cisco Unified SRST 8.0 の機能情報」を参照してください。
プラットフォームのサポートと、Cisco IOS、Catalyst OS、および Cisco IOS XE ソフトウェア イメージのサポートについては、Cisco Feature Navigator を使用してください。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、 http://www.cisco.com/go/cfn にアクセスしてください。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
• 「Cisco Unified SRST 8.0 の前提条件」
• 「Cisco Unified SRST 8.0 の MOH 拡張機能に関する情報」
• 「Cisco Unified SRST 8.0 の新機能の設定方法」
• 「その他の資料」
Music On Hold 拡張機能を設定するには、次の概念について理解する必要があります。
• 「システム パフォーマンスを向上させるための MOH ファイルのキャッシュ」
• 「Cisco Unified SRST と Cisco Unified Communications Manager」
Cisco Unified SRST 8.0 以降のバージョンでは、保留中の PSTN と VoIP G.711 の発信者に異なるメディア ストリームを再生することにより、MOH 機能が拡張されています。MOH 拡張機能を使用すると、ルータのフラッシュ メモリに格納されたさまざまなメディア ファイルから最大 5 種類の追加のメディア ストリームを設定でき、複数の MOH メディア ファイルをストリーミングするために個別のルータを準備する必要がありません。
Cisco Unified SRST 8.0 MOH 拡張機能は、Cisco Unified SRST 音声ゲートウェイ用の 5 つの MOH グループを作成し、電話機を内線番号に基づいて異なる MOH グループに関連付け、異なる MOH メディア ストリーム受信させることができます。Cisco Unified SRST がフォールバック モードになっている場合、MOH グループで定義された内線範囲に設定された内線番号への発信者は、保留されると MOH メディア ストリームを聞くことができます。
ブランチ内の異なる部門の ephone に対し、メディア ソース ファイルを使用して、最大 5 つの MOH グループを設定できます。各 MOH メディア ファイルの最大ファイル サイズは 100KB です。設定については、「Cisco Unified SRST(フォールバック)に対する MOH グループの設定」を参照してください。
ephone の発信者が保留されると、次の優先順位規則が適用されます。
– ephone が、音声 MOH グループで定義されている内線範囲に収まっている場合は、その音声 MOH グループで定義されている MOH が優先されます。
– 音声 MOH グループで定義されているどの内線範囲にも収まらない ephone は、デフォルトで call-manager-fallback で定義されている MOH になります。
(注) MOH グループを定義するために、ブランチ内の部門には、重複のない内線番号とマルチキャスト宛先を設定することをお勧めします。
MOH ファイルをキャッシュすると、CPU 使用率が低下し、システムのパフォーマンスが向上します。ただし、キャッシュするには大きい MOH ファイルを格納するためのメモリ バッファが必要になります。将来使用する可能性がある MOH ファイルをキャッシュするためのバッファ ファイル サイズを設定できます。デフォルトの MOH ファイル バッファ サイズは 64KB(8 秒間)です。最大バッファ サイズ(ファイルあたり)は、64KB(8 秒間)~ 10,000KB(約 20 分間)の間で設定できます。将来の MOH ファイルのために MOH ファイル バッファを割り当てるには、moh-file-buffer コマンドを使用します(「MOH ファイルのバッファ サイズの設定」を参照)。ファイルがキャッシュされているかどうかを確認し、キャッシュされた MOH ファイルを更新する方法については、「MOH ファイルのキャッシュの確認」を参照してください。
(注) ファイル サイズが、割り当てられているバッファ サイズよりも大きい場合、キャッシュは無効になります。
Cisco Unified SRST が「スタンバイ」モードの場合、Cisco Unified Communications Manager は動作しており、すべての ephone が Cisco Unified Communications Manager に登録されています。Cisco Unified SRST は、保留要求の処理に関与しません。メディア パケットは、さまざまな MOH ファイルからいくつものマルチキャスト アドレスおよびループバック アドレスにストリームされます。電話機が保留されたときに正しい MOH メディア ストリームが聞こえるためには、Cisco Unified Communications Manager と Cisco Unified SRST ルータの間で、マルチキャスト アドレスと内線番号の正確なマッピングが必要です。詳細については、「電話の内線とマルチキャスト アドレスのマッピング(スタンバイ モード)」を参照してください。
• 「Cisco Unified SRST(フォールバック)に対する MOH グループの設定」
• 「電話の内線とマルチキャスト アドレスのマッピング(スタンバイ モード)」
• Cisco Unified SRST 8.0 以降のバージョン。
• 少なくとも 1 つの ephone および Directory Number(DN; 電話番号)を設定する必要があります。これは、ゲートウェイが Cisco Unified SRST に使用されない場合も同様です。
3. voice moh-group moh-group-tag
6. multicast moh ip-address port port-number route ip-address-list
• MOH グループ 0 に対してライブ フィードがイネーブルになっている場合は、MOH ファイルのキャッシュは禁止されます。
• MOH ファイル バッファ サイズは、キャッシュする必要がある MOH ファイルのサイズよりも大きくなくてはなりません。
ステップ 1 MOH ファイルがキャッシュされているかどうかを確認するには、show ephone moh コマンドを使用します。次の例では、MOH グループ 1 の音楽ファイル minuet.au がキャッシュされていないことを示します。MOH ファイルがキャッシュされていることを確認するには、手順 a ~ d を実行します。
a. 上の例の MOH グループ 1 のように、ファイルがキャッシュされていない場合は、フラッシュ中のファイル サイズを確認してください。
b. telephony-service で、「moh-file-buffer <file size>」を設定します。デフォルトのファイル サイズは 64KB(8 秒間)です。将来使用する可能性がある大きい MOH ファイルをキャッシュするためには、大きいファイル サイズを入力します。
c. 「voice moh-group (group tag)」の下で、「no moh」を設定し、すぐに「moh (filename)」を設定します。これによりシステムは、すぐにフラッシュからファイルを読み込み直します。
マルチキャスト アドレスと内線番号を、Cisco Unified Communications Manager と Cisco Unified SRST ルータの間でマッピングするには、Cisco Unified Communications Manager バージョン 5.0 以降のプラットフォームの CLI で、次のコマンドを使用します。
un sql select D.name, M.mohaudiosourceid, M.multicastaddress, M.multicastport, C.name codec from mohservermulticastinfo as M, device AS D, OUTER typemohcodec as C WHERE M.fkdevice = D.pkid AND M.tkmohcodec = C.enu
(注) Cisco Unified Communications Manager バージョン 5.0 以降のプラットフォームの CLI で上記のコマンドを実行すると、MOH グループが使用しているマルチキャスト アドレスを知ることができます。
表 1 に、ベース IP アドレス 239.1.1.1 とベース ポート番号 16384 を使用した場合の、IP アドレスの増分とポート番号の増分の間の違いを示します。この表は、Cisco Unified Communications Manager のオーディオ ソースおよびコーデックと、IP アドレスおよびポート番号の対応も示しています。
たとえば、 表 1 のように、G.711 mu-law コーデック用の IP アドレス 239.1.1.1 ポート 16384 は、オーディオ ソース グループ 1 に割り当てられており、G.711 mu-law 用の 239.1.1.5 ポート 16384 は、オーディオ ソース グループ 2 に割り当てられています。Cisco Unified SRST マルチキャスト MOH に対して、G.711 オーディオ ソースを使用する Cisco Unified Communications Manager の IP アドレスとポート番号を設定することが重要です。
[MOH Server Configuration] ウィンドウでは、MOH サーバのマルチキャスト オーディオ ソースも設定します。Cisco Unified SRST マルチキャスト MOH の場合、Cisco Unified Communications Manager MOH サーバは 1 つのオーディオ ソースだけを使用できます。オーディオ ソースは、オーディオ ソースの最大ホップ数を入力することによって選択されます。
Max Hops 設定では、オーディオ ソース パケットの伝送の長さを設定します。ホップ数の制限は、オーディオ パケットが WAN に到達しないようにすることで Cisco Unified Communications Manager をスプーフィングし、Cisco Unified SRST が MOH をマルチキャストできるようにするための 1 つの方法です。すべてのブランチが Cisco Unified SRST を実行する場合は、小さいホップ数を使用して、オーディオ ソース パケットが WAN を通過しないようにします。Cisco Unified SRST を実行しないルータがシステム構成に含まれている場合は、大きいホップ数を入力して、ソース パケットが WAN を通過できるようにします。Cisco Unified Communications Manager での MOH の設定の詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager Administration Guide 』を参照してください。
ステップ 1 MOH グループの設定を 1 つまたは全部表示するには、 show voice moh-group コマンドを使用します。次の例は、6 つの(MOH グループ 0 を含む)MOH グループを示します。MOH グループ 0 は、call-manager-fallback コンフィギュレーションで設定され、その他すべての MOH グループは、音声 MOH グループの下で設定されています。
Moh multicast 239.1.1.1 port 16384 route 10.1.4.31 10.1.1.2
multicast moh 239.1.1.5 port 16384 route 10.1.4.31 10.1.1.2
moh RedRedWine8bitmulawg711.wav
multicast moh 239.1.1.9 port 16384 route 10.1.4.31 10.1.1.2
multicast moh 239.1.1.13 port 16384 route 10.1.4.31 10.1.1.2
multicast moh 239.1.1.17 port 16384 route 10.1.4.31 10.1.1.2
moh flash:/moh-f1004-on1s-off1s-g711u.wav
multicast moh 239.1.1.21 port 16384 route 10.1.4.31 10.1.1.2
ステップ 2 ephone に対して設定されているさまざまな MOH グループのステータスを表示するには、show ephone moh を使用します。次の例は、ephone に対して設定されている 5 つの MOH グループを示します。
Skinny Music On Hold Status (moh-group 1)
Active MOH clients 0 (max 830), Media Clients 0
File flash:/minuet.au (not cached) type AU Media_Payload_G711Ulaw64k 160 bytes
Moh multicast 239.10.16.6 port 2000
Skinny Music On Hold Status (moh-group 2)
Active MOH clients 0 (max 830), Media Clients 0
File flash:/audio/hello.au type AU Media_Payload_G711Ulaw64k 160 bytes
Moh multicast on 239.10.16.6 port 2000 via 0.0.0.0
Skinny Music On Hold Status (moh-group 3)
Active MOH clients 0 (max 830), Media Clients 0
File flash:/bells.au type AU Media_Payload_G711Ulaw64k 160 bytes
Moh multicast on 239.10.16.5 port 2000 via 0.0.0.0
Skinny Music On Hold Status (moh-group 4)
Active MOH clients 0 (max 830), Media Clients 0
File flash:/3003.au type AU Media_Payload_G711Ulaw64k 160 bytes
Moh multicast on 239.10.16.7 port 2000 via 0.0.0.0
Skinny Music On Hold Status (moh-group 5)
Active MOH clients 0 (max 830), Media Clients 0
File flash:/4004.au type AU Media_Payload_G711Ulaw64k 160 bytes
Moh multicast on 239.10.16.8 port 2000 via 0.0.0.0
ステップ 3 MOH サブシステム統計情報を表示するには、show voice moh-group statistics コマンドを使用します。次の例で、MOH Group Streaming Interval Timing Statistics は、ストリーミング間隔の間のメディア パケット カウントを示します。
MOH Group Packet Transmission Timing Statistics は、MOH グループがパケットを送出するために要した時間を示します。これは、最大と最小のマイクロ秒です。
MOH Group Loopback Interval Timing Statistics は、SRST の場合と同様に、マルチキャスト MOH ルータとしてループバック インターフェイスが設定されている場合に使用できます。これらのカウントは、特定のストリーミング タイミング間隔内のループバック パケット カウントです。
MOH Group Streaming Interval Timing Statistics:
Grp# ~19 msec 20~39 40~59 60~99 100~199 200+ msec
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MOH Group Packet Transmission Timing Statistics:
MOH Group Loopback Interval Timing Statistics:
loopback event array: svc_index=1542, free_index=1549, max_q_depth=31
Grp# ~19 msec 20~39 40~59 60~99 100~199 200+ msec
==== ========== ========== ========== ========== ========== ==========
0: 8918821 8721527 10023 0 1 1
2: 8864760 8772851 12758 0 1 1
3: 8924447 8715457 10464 0 1 1
4: 8858393 8778957 13017 0 1 1
Statistics collect time: 4 days 2 hours 5 minutes 39 seconds.
ステップ 4 MOH サブシステム統計情報の表示をクリアするには、clear voice moh-group statistics コマンドを使用します。
次の各項では、Cisco Unified SRST に関連するその他の資料について説明します。
このモジュールによって記載されている機能により、次のコマンドが追加または変更されています。これらのコマンドの詳細については、『 Cisco Unified SRST and SIP SRST Command Reference 』を参照してください。このマニュアルは、 http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/cusrst/command/reference/srstcr.html にあります。
すべての Cisco IOS コマンドについては、 http://tools.cisco.com/Support/CLILookup にある Command Lookup Tool を使用するか、『 Cisco IOS Master Command List, All Releases 』を参照してください。このマニュアルは、 http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/mcl/allreleasemcl/all_book.html にあります。
表 2 に、この機能のリリース履歴を示します。
ご使用の Cisco IOS ソフトウェア リリースですべてのコマンドが使用できない場合があります。特定のコマンドのリリース情報については、コマンド解説資料を参照してください。
プラットフォームおよびソフトウェア イメージのサポートに関する情報を参照するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator では、特定のソフトウェア リリース、機能セット、またはプラットフォームをサポートしている Cisco IOS ソフトウェア イメージを確認できます。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、 http://www.cisco.com/go/cfn に移動してください。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
(注) 表 2 には、特定の Cisco IOS ソフトウェア リリース トレインにおける特定の機能のサポートが追加された Cisco IOS ソフトウェア リリースの一覧だけが示されています。特に明記しない限り、その Cisco IOS ソフトウェア リリース トレインの以降のリリースでも、その機能がサポートされています。