概要
このドキュメントでは、新しいスレーブ適応型セキュリティ アプライアンス(ASA)装置を既存の ASA クラスタに追加しようとすると表示されることがあるエラー メッセージの解決方法を説明します。
前提条件
要件
次の項目に関する知識があることが推奨されます。
- クラスタリングの基礎知識
- ASAでのクラスタリングの設定方法に関する基礎知識
- Secure Socket Layer(SSL)ハンドシェイクに関する基礎知識
使用するコンポーネント
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
- ASAソフトウェアバージョン9.0以降
- ASA 5580またはASA5585-Xシリーズアプライアンス
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
表記法
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
背景説明
クラスタリングにより、複数の物理 ASA を組み合わせて 1 つの論理ユニットを作成できます。この論理ユニットにより、スループットと冗長性が向上します。クラスタリングの詳細については、『Cisco ASA シリーズ CLI 構成ガイド, 9.0』を参照してください。
このシナリオでは、マスター ASA でクラスタリングが設定され、有効になっています。スレーブ ASA ではクラスタリングが設定されていますが、有効になっていません。
問題
スレーブ ASA でクラスタリングを有効にすると、クラスタリングが即時に無効にされ、リモート プロシージャ コール(RPC)エラー メッセージが表示されます。次に示すのも、エラー メッセージの例です。
ASA2/ClusterDisabled(config)# cluster group TEST-Group
ASA2/ClusterDisabled(cfg-cluster)# enable as-slave
INFO: This unit will be enabled as a cluster slave without sanity check and confirmation.
ASA2/ClusterDisabled(cfg-cluster)# cluster_ccp_make_rpc_call failed to clnt_call. msg is CCP_MSG_REGISTER,
ret is RPC_SYSTEMERROR
Cluster disable is performing cleanup..done.
All data interfaces have been shutdown due to clustering being disabled. To recover either enable clustering
or remove cluster group configuration.
このエラーの原因の 1 つの可能性は、マスター ASA とスレーブ ASA 間での SSL 暗号スイートの不一致です。クラスタリングでは、マスター ユニットと、クラスタに追加されるスレーブ ユニットの間で 1 つ以上の SSL 暗号スイートが一致している必要があります。この要件については、『Cisco ASA シリーズ CLI 構成ガイド, 9.0』を参照してください。
新しいクラスタメンバーは、マスターユニットと同じSSL暗号化設定(SSL encryptionコマンド)を使用する必要があります。
不一致が発生している場合、syslog メッセージが記録されます。
%ASA-7-725014: SSL lib error. Function: SSL23_GET_SERVER_HELLO Reason: sslv3 alert handshake failure
不一致の例を次に示します。次に示すマスター ASA での暗号化
ASA1/master# sh run all ssl
ssl server-version any
ssl client-version any
ssl encryption rc4-sha1 aes128-sha1 aes256-sha1 3des-sha1
とクラスタに追加されるスレーブ ASA での次の暗号化が一致していません。
ASA2/ClusterDisabled# sh run all ssl
ssl server-version any
ssl client-version any
ssl encryption des-sha1
このような不一致は、強力な暗号化(3DES/AES)ライセンスがスレーブ ASA にインストールされていない場合によく発生します。デフォルトでは、スレーブ ASA の暗号スイートのリストは des-sha1 ですが、スレーブ ASA に 3DES/AES ライセンスが追加されるときに、このリストが更新されません。
この不一致には 2 つの解決策があります。
解決策 1
マスターASAで、有効なSSL暗号スイートとしてdes-sha1を追加します。
ASA1/master# configuration terminal
ASA1/master(config)# ssl encryption des-sha1
注:des-sha1 は弱い暗号であり、脆弱であると見なされているため、シスコではこの暗号を有効にすることを推奨しません。
解決策 2
スレーブ ASA で、次の SSL 暗号スイートの 1 つ以上を追加します:rc4-sha1、aes128-sha1、aes256-sha1、または3des-sha1:
ASA2/ClusterDisabled# configuration terminal
ASA2/ClusterDisabled(config)# ssl encryption rc4-sha1
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