この文書では、Cisco IOS® ソフトウェアを実行するルータの時間別 Quality of Service(QoS)ポリシーの設定について、2つのオプションを説明します。オプションは次の通りです。
時間ベースのアクセス コントロール リスト(ACL)
QoS Policy Manager(QPM)を使用したサービスポリシーの時間制約つき展開
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
Cisco IOS ソフトウェアにより、時間ベースの ACL を使用した機能の実装が可能です。ACL の文の許可または拒否を実行する時間帯を定義します。以前は、ACL 文を一度適用すると、常に実行されました。詳細については、Performing Basic System Management の「Configuring Time Ranges」セクションを参照してください。
現在、時間帯を使用できる機能は、IP および IPX の拡張アクセス リストのみです。時間帯を使用すると、ネットワーク管理者はアクセス リストで permit または deny ステートメントがいつ有効になるかを定義できます。時間帯は、名前付きアクセス リストと番号付きアクセス リストの両方から参照できます。
時間ベースの ACL は、ユーザ アクセスの許可または拒否のコントロールを拡張します。また、ポリシーベース ルーティング(PBR)およびキューイング機能も拡張します。たとえば、プロバイダーのアクセス レートが日時によって変わる場合、自動的かつ費用効果的にトラフィックを再ルーティングできます。サービス プロバイダーは、動的にコミット アクセス レート(CAR)の設定を変更し、一定の日時に交渉される QoS サービスレベル契約(SLA)をサポートします。
時間ベースの QoS サービス ポリシーを設定するには、時間ベースの ACLをトラフィッククラスの合致基準として使用します。シスコは、モジュラ QoS コマンドライン インターフェイス(CLI)(MQC)を使用して、QoS ポリシーをルータのインターフェイスに適用することをお勧めします。
MQC では、class-map コマンドは、トラフィックを分類またはソートするトラフィック クラスを定義するのに使用します。トラフィック クラスには、3 つのメジャー要素があります。
名前。
一連の match コマンド。
複数の match コマンドがトラフィック クラスに存在する場合、それらの match コマンドを評価する方法の指示。
match コマンドは、パケットを分類するための各種基準を指定するのに使用します。これらの基準には、入力インターフェイス、MAC アドレス、およびすべての IP パケットなど特定のプロトコルが含まれています。時間ベースの ACL に突き合わせるには、match access-group {number} コマンドを使用します。以下に、いくつかの例を示します。
時間帯を定義して、設定した時間帯に名前を割り当てます。time-range グローバル設定コマンドで、特定の日時および曜日を指定します。
Router(config)#time-range time-range-name
時間帯を有効にする時間を指定します。以下のコマンドを組み合わせて使用します。複数の periodic ステートメントを使用できますが、absolute ステートメントは 1 つしか使用できません。
Router(config-time-range)#absolute [start time date] [end time date]
または
Router(config-time-range)#periodic days-of-the-week hh:mm to [days-of-the-week] hh:mm
注:時間範囲はシステムのソフトウェアクロックに依存します。時間帯機能を指定どおりに作動させるには、確実なクロック ソースが必要です。シスコ システムズは、ネットワーク タイム プロトコル(NTP)を使用して、システムのソフトウェア クロックを同期させることをお勧めします。
この出力に、時間ベースの名前付き ACL を作成する例を示します。この ACL は、月曜日から金曜日の午前 8:00 から午後 6:00 までの間 HTTP トラフィックを拒否し、土曜日と日曜日の正午から午後 8:00 までの間 UDP トラフィックを許可します。
! time-range no-http periodic weekdays 8:00 to 18:00 ! time-range udp-yes periodic weekend 12:00 to 20:00 ! ip access-list extended strict permit tcp any any eq http time-range no-http permit udp any any time-range udp-yes ! ! Example of using a time-based ACL in QoS Policy: ! class-map Traffic_Class match access-group strict ! policy-map QoS-Policy class Traffic_Class priority 500 class class-default fair-queue
QPM は、QoS ポリシーを定義および適用するためのスケーラブルなプラットフォームを提供します。QPM は、ルータ、レイヤ 3 スイッチ、その他のスイッチ、および Cisco LocalDirector など、シスコのデバイスについて、システム規模で QoS の設定およびメンテナンスを管理します。QPM を使用すると、直接デバイス コマンドを使用するより簡単に展開ポリシーを定義できます。詳細については、QoS Policy Manager 2.1 の使用を参照してください。
QoS Policy Database は、QPM での時間ベースの展開についてスケジュールできます。バージョン 2.1 では、QPM は時間単位の ACL をサポートしていません。代わりに、回避策として、外部のトリガーを使用して、スケジューリングを自動化および管理します。Microsoft Windows のスケジューラは、最も簡単な外部トリガーです。これは、QPM の Distribution Manager 実行可能ファイル distribute_policy.exe と併せて使用します。以下に、時間ベースのポリシー導入に使用できる簡単なバッチ ファイルの構文の例を示します。
at 9:00 "C:\Program Files\Cisco Systems\QoS Policy Manager Pro\bin\distribute_policy.exe" -d <QPM-database-1> -u QPM_User -m <PC-Name> at 18:00 "C:\Program Files\Cisco Systems\QoS Policy Manager Pro\bin\distribute_policy.exe" -d <QPM-database-2> -u QPM_User -m <PC-Name>
Distribution Manager の詳細については、QPM マニュアルに記載されているネットワーク デバイスへのポリシーの配布の外部プログラムからの配布ジョブの導入に関するセクションを参照してください。