このドキュメントでは、Cisco 12000 シリーズ インターネット ルータの Packet Over SONET(POS)インターフェイス上でのフレームリレー カプセル化の設定例を示します。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメントの表記法の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
Cisco POS インターフェイスは 3 種類のレイヤ 2 カプセル化をサポートしています。Point to Point Protocol(PPP; ポイントツーポイント プロトコル)、High-Level Data Link Control(HDLC; ハイレベル データリンク コントロール)、およびフレームリレーの 3 つです。フレームリレーのカプセル化は、Internet Engineering Task Force(IETF)Request for Comments(RFC)1490に準拠しています。Cisco 12000シリーズのPOSラインカードでは、IP over Frame Relayとフレームリレースイッチングの両方がサポートされています。
注:シスコの他のPOSインターフェイスおよびラインカードも、POSインターフェイスでのフレームリレーのカプセル化をサポートしています。OC-12 POS ラインカードおよび 6 ポートの OC-3 POS ラインカードでもフレームリレーのカプセル化がサポートされています。Parallel Express Forwarding(PXF)パスでサポートされます。『Cisco IOS リリース 12.0 ST のリリース ノート』を参照してください。また、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(11b)E では、Cisco 7600 シリーズ インターネット ルータ内の POS Optical Services Module(OSM; オプティカル サービス モジュール)の WAN ポートでフレームリレー カプセル化がサポートされるようになりました。『Catalyst 6000 および Cisco 7600 スーパーバイザ エンジンおよび MSFC 用 Cisco IOS リリース 12.1E のリリース ノート』を参照してください。
Cisco 12000 シリーズの POS ラインカードは、IP over Frame Relay の Permanent Virtual Circuit(PVC; 相手先固定接続)をサポートしています。 また、次の機能もサポートしています。
最大 300 のサブインターフェイス。
フレームリレー User-Network Interface(UNI; ユーザネットワーク インターフェイス)Data Terminal Equipment(DTE; データ端末装置)またはフレームリレー UNI Data Communications Equipment(DCE; データ通信装置)機能、および Network-to-Network Interface(NNI; ネットワーク間インターフェイス)機能(LMI DCE、NNI、および LMI DTE)をサポートしています。
ネットワーク管理のための、フレームリレー Management Information Base(MIB; 管理情報ベース)(RFC 1315)および Cisco Frame Relay MIB。Cisco Frame Relay MIB は、リンクレベルおよび Virtual Circuit(VC; 仮想回線)レベルの情報と統計情報を付加することにより標準のフレームリレー MIB を補完します。これらの情報は、show frame-relay lmi、show frame-relay pvc、および show frame-relay map などの show frame-relay コマンドでサポートされています。
Inverse ARP(RFC1490/2427)または静的フレームリレー アドレス解決。
このセクションでは、このドキュメントで説明する機能を設定するために必要な情報を提供しています。
注:この文書で使用されているコマンドの詳細を調べるには、「Command Lookup ツール」を使用してください(登録ユーザのみ)。
このドキュメントでは、次のネットワーク セットアップを使用します。
このドキュメントでは、次の構成を使用します。
ルータ 12410-2 |
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interface pos 8/0 no ip address encapsulation frame-relay no keepalive !--- This command disables LMI processing. ! interface pos 8/0.1 point-to-point !--- A point-to-point subinterface has been created. ip address 172.16.1.1 255.255.255.0 frame-relay interface-dlci 101 !--- DLCI 101 has been assigned to this interface |
ルータ 12008 |
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interface pos 1/0 no ip address encapsulation frame-relay no keepalive !--- This command disables LMI processing. ! interface pos1/0.1 point-to-point !--- A point-to-point subinterface has been created. ip address 172.16.1.2 255.255.255.0 frame-relay interface-dlci 101 !--- DLCI 101 has been assigned to this interface |
フレームリレーでは 2 種類のインターフェイスがサポートされています。ポイントツーポイントおよびマルチポイント。どちらを選択するかによって、IP アドレスと Data-Link Connection Identifier(DLCI; データリンク接続識別子)のマッピングを行う設定コマンドを実行する必要があるかどうかが決まります。PVC それ自体を設定した後、特定の宛先に到達するためにどの PVC を使用するかをルータに通知する必要があります。これらのオプションについて説明します。
ポイントツーポイント サブインターフェイス - ポイントツーポイント サブインターフェイスでは、ルータの各ペアにそれぞれサブネットがあります。PVC をポイントツーポイント サブインターフェイスに配置した場合、ルータはサブインターフェイス上に 1 つのポイントツーポイント PVC だけが設定されていると見なします。そのため、同じサブネット内の宛先 IP アドレスを持つ IP パケットはすべて、この VC で転送されます。これがマッピングの最も簡単な設定方法であり、推奨される方法です。frame-relay interface-dlci コマンドを使用して、特定のフレームリレー サブインターフェイスに DLCI を割り当てます。
マルチポイント ネットワーク - マルチポイント ネットワークでは、同じサブネット内に 3 つ以上のルータが存在します。PVC をポイントツーマルチポイント サブインターフェイスまたはメイン インターフェイス(これはデフォルトでマルチポイントです)に配置した場合は、スタティック マッピングを設定するか、またはダイナミック マッピング用に Inverse Address Resolution Protocol(Inverse ARP)によるダイナミックマッピングを有効にする必要があります。
ここでは、設定が正しく機能していることを確認するために使用する情報を示します。
一部の show コマンドはアウトプット インタープリタ ツールによってサポートされています(登録ユーザ専用)。このツールを使用することによって、show コマンド出力の分析結果を表示できます。
show frame-relay map:マップエントリと接続に関する情報を表示します。12008 では、次のような出力が得られます。
Router12008#show frame-relay map POS1/0.1 (up): point-to-point dlci, dlci 101(0x65,0x1850), broadcast
show frame-relay pvc:フレームリレーインターフェイスのPVCに関する統計情報を表示します。このドキュメントの上記の設定では、no keepalive が発行された時点で、両方のルータで Local Management Interface(LMI; ローカル管理インターフェイス)プロセスがディセーブルにされます。LMI メッセージが交換されないと、PVC の状態が「static」になりますが、DTE ケーブル側または Data Terminal Ready(DTR; データ ターミナル レディ)でクロッキングが失われ、DCE ケーブル側で Request To Send(RTS; 送信要求)が失われない限り、インターフェイスは up/up のままになります。次の例は、ルータ 12008 で取得した show frame pvc コマンドの出力です。
Router12008#show frame-relay pvc PVC Statistics for interface POS1/0 (Frame Relay DTE) Active Inactive Deleted Static Local 0 0 0 1 Switched 0 0 0 0 Unused 0 0 0 0 DLCI = 101, DLCI USAGE = LOCAL, PVC STATUS = STATIC, INTERFACE = POS1/0.1 input pkts 3 output pkts 6 in bytes 1152 out bytes 2061 dropped pkts 0 in FECN pkts 0 in BECN pkts 0 out FECN pkts 0 out BECN pkts 0 in DE pkts 0 out DE pkts 0 out bcast pkts 6 out bcast bytes 2061 pvc create time 00:05:30, last time pvc status changed 00:03:30
Cisco 12000 シリーズの Packet Over SONET(POS)ラインカードでは、フレームリレーのスイッチングもサポートされています。フレームリレーのスイッチングには、次の付加機能が備わっています。
フレームリレー スイッチングの診断およびトラブルシューティング
FRF2.1 付属文書1
フレームリレー拡張アドレッシング
フレーム・リレー・トラフィック・ポリシング
64 ビットの Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)カウンタ
フレームリレー スイッチングの診断およびトラブルシューティング機能は、スイッチド フレームリレー ネットワークの問題を診断するツールを提供することでフレームリレーのスイッチング機能を強化します。show frame-relay pvc コマンドが強化され、スイッチド PVC でパケットがドロップされた理由を詳細に表示するようになりました。NNI PVC の状態、および PVC 全体の状態も表示されます。ネットワーク問題が確認された場合、debug frame-relay switching コマンドを使用すると、スイッチド PVC 上のパケットの状態を一定の間隔で表示させることが可能です。デバッグ コマンドでは、スイッチされたパケット数、パケットがドロップされた理由、物理リンクおよび PVC の状態変更などの情報が表示されます。
イベント ドリブン型プロシージャのための FRF2.1 Annex 1 機能は、フレームリレー スイッチング ネットワークにおける NNI での PVC モニタリング用に、シグナリング プロトコルを提供するものです。FRF2.1 Annex 1 は、状態を変更するイベントの発生時に通知を生成するもので、イベントが発生した際には即座に通知が生成されます。この機能により、複数のスイッチング ノードが含まれるフレームリレー スイッチング ネットワーク内での PVC の状態(追加、削除、可用性など)が、より早期に通知されるようになります。通知のタイミングが早まることで、より適切なネットワーク管理が可能になり、インターフェイスごとの PVC スケーラビリティを高めることができます。これは、各 NNI ノードでネットワーク内の各 PVC についての LMI プロシージャが不要になるからです。
FRF2.1 Annex 1 により、企業のフレームリレー ネットワークにイベント ドリブン型プロシージャが付加されます。これにより高速なコンバージェンスが可能になり、フレームリレー ネットワーク内の変更に迅速に対応できるようになります。
フレームリレー拡張アドレッシング機能により、NNI では 23 ビットの DLCI が実装されます。23 ビットの DLCI では 16 〜 8388607 の値がサポートされています。
フレームリレー トラフィック ポリシング機能は、「リーキー バケット」の実装により、スイッチド PVC 上でパケットのレート制限を行うメカニズムです。この機能を有効にすると、トラフィック ポリシングにより、指定されたトラフィック パラメータを超過するパケットが廃棄されたり、Discard Eligible(DE; 廃棄適性)ビットが設定されるため、トラフィック輻輳を防止できます。トラフィック ポリシング パラメータは、マップ クラス メカニズムを使用して、DCE インターフェイスまたはスイッチド PVC ごとに指定できます。
フレームリレー トラフィック ポリシングでは、トラフィックを認定または超過のいずれかとして扱うことにより、トラフィック輻輳を防止します。認定トラフィックは、特定の時間間隔内で許可される認定バーストに収まるトラフィックです。超過トラフィックは、特定の時間間隔内で許可される認定バーストに収まらないトラフィックです。
注: 一部の超過トラフィックは許可されるように設定することが可能です。
Cisco IOS(R) ソフトウェア リリース 12.0(17)S では、フレームリレー インターフェイスで 64 ビットの SNMP カウンタがサポートされるようになりました。show frame-relay pvc [interface] [dlci] [64-bit] コマンドを使用すると、それらのカウンタを表示できます。
次の表に、Frame Relay over POS での SNMP カウンタに関する既知の問題を示します。
Cisco Bug ID | 説明 |
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CSCdr43764 | POS インターフェイスで、フレームリレー サブインターフェイスの 64 ビット SNMP カウンタの抽出ができない場合があります。この状況は、関連する IF-MIB カウンタと CISCO-C12000-IF-HC-COUNTERS-MIB の Cisco 固有の 2 x 32 ビット カウンタの両方に該当し、POS インターフェイスにフレームリレー カプセル化インターフェイスが追加されている場合のフレームリレー 64 ビット PVC カウンタだけに関連します。メインの POS カプセル化サブインターフェイスのカウンタは影響を受けず、正しく機能します。回避策:IF-MIB での同等の 32 ビット SNMP カウンタを取得するポーリング サイクルが十分に速く、各ポーリング間でカウンタがラップされることのないことが確実であれば、64 ビットの SNMP カウンタは不要です。また、この修正を含むイメージにアップグレードする方法もあります。 |
CSCds30986 | サブインターフェイスで Packet-over-SONET フレームリレー カプセル化を使用しているとき、2x32 ビットのカウンタと 64 ビットのカウンタが両方とも正しくありません。 |
CSCdt34120 | エンジンの 0 POS ラインカードで show interface コマンドを実行すると、インターフェイスの回線レートよりも高い入力レートが表示されます。64 ビット SNMP カウンタのサポートに伴い発生するようになりました。 |
CSCdt49757 | 4xOC12 POS ラインカードで、最大転送パフォーマンスを確保するためのフレームリレー PVC ごとの入力統計情報が保持されません。 |
CSCdt51551 | エンジン 0 POS ラインカードが Multicast Broader Gateway Protocol(MBGP)および neighbor peer-group コマンドで設定されている場合、回線プロトコルの状態がダウンになることがあります。 |
現在、この設定に関する特定のトラブルシューティング情報はありません。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
01-Jun-2005 |
初版 |