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日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco NX-OS ソフトウェアのネットワークスタックにおける脆弱性により、認証されていないリモートの攻撃者が、特定のセキュリティ境界をバイパスしたり、当該デバイスでサービス拒否(DoS)状態を引き起こす可能性があります。
この脆弱性は、当該デバイスが、ローカルに設定された IP アドレスを宛先とする IP-in-IP パケット内を予期せずにカプセル化解除し、処理することに起因します。攻撃者は、巧妙に細工された IP-in-IP パケットを該当デバイスに送信することによって、この脆弱性を不正利用する可能性があります。不正利用に成功すると、当該デバイスが予期せずに IP-in-IP パケットをカプセル化解除し、内部 IP パケットを転送する可能性があります。これにより、当該デバイス(またはネットワークの他の場所で定義された他のセキュリティ境界)で設定された入力アクセス制御リスト(ACL)をバイパスする IP パケットが発生する可能性があります。
特定の条件下では、不正利用によりネットワーク スタック プロセスがクラッシュして複数回再起動し、当該デバイスのリロードと DoS 状態が発生する可能性があります。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。本脆弱性に対処する回避策がいくつかあります。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-nxos-ipip-dos-kCT9X4
該当製品
脆弱性のある製品
本脆弱性は、Cisco NX-OS ソフトウェアの脆弱性のあるリリースを実行する次のシスコ製品に影響を与えます。
- VMware vSphere 向け Nexus 1000 Virtual Edge(CSCvu10050)
- Microsoft Hyper-V 向け Nexus 1000V スイッチ(CSCvt67738)
- VMware vSphere 向け Nexus 1000V スイッチ(CSCvt67738)
- Nexus 3000 シリーズ スイッチ(CSCun53663)1
- Nexus 5500 プラットフォームスイッチ(CSCvt67739)
- Nexus 5600 プラットフォームスイッチ(CSCvt67739)
- Nexus 6000 シリーズ スイッチ(CSCvt67739)
- Nexus 7000 シリーズ スイッチ(CSCvt66624)
- スタンドアロン NX-OS モードの Nexus 9000 シリーズ スイッチ(CSCun53663)1
- UCS 6200 シリーズ ファブリック インターコネクト(CSCvu03158)
- UCS 6300 シリーズ ファブリック インターコネクト(CSCvt67740)
1この脆弱性の影響を受けるのは、Nexus 3000 シリーズおよび Nexus 9000 シリーズ スイッチの一部のリリースのみです。詳細については、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」を参照し、Cisco Software Checker で確認してください。
当該デバイスにおいて IP-in-IP トンネルインターフェイスが設定されていなくても、この脆弱性の影響を受ける可能性があります。Cisco UCSファブリックインターコネクトは、デバイスでNetFlowモニタリングが有効になっている場合にのみ影響を受けます。 フローエクスポータプロファイルは、エクスポータインターフェイスに設定された送信元IPアドレスを使用して設定されます。Cisco UCS ファブリック インターコネクトの NetFlow 設定の詳細については、 『Cisco UCS Manager System Monitoring Guide』の「NetFlow Monitoring」を参照してください。
脆弱性が存在する Cisco ソフトウェアリリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションを参照してください。
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの脆弱性のある製品セクションに記載されている製品のみが、この脆弱性の影響を受けることが分かっています。
シスコは、この脆弱性が以下の製品には影響を与えないことを確認しました。
- Firepower 1000 シリーズ
- Firepower 2100 シリーズ
- Firepower 4100 シリーズ
- Firepower 9300 セキュリティ アプライアンス
- MDS 9000 シリーズ マルチレイヤ スイッチ
- Nexus 9000 シリーズ ファブリック スイッチ(アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)モード)
- UCS 6400 シリーズ ファブリック インターコネクト
詳細
RFC 2003 では、IPv4 データグラムを別の IPv4 データグラム内にカプセル化する方法が規定されています。IP プロトコル番号 4 は、キャリア IP パケット内のペイロードがパッセンジャ IPv4 パケットであることを示すために使用されます。
Cisco NX-OS ソフトウェアを実行する複数のシスコ製品では、そのデバイスでトンネルモード ipip と適切なトンネル送信元およびトンネル宛先を使用してトンネルインターフェイスが手動設定されている場合に、IP-in-IP パケットのカプセル化とカプセル化解除がサポートされます。デバイスでは、そのようなトンネルインターフェイス宛てではない IP-in-IP トラフィックをカプセル化解除して処理することが予期されていません。
この脆弱性により、当該デバイスは、ローカルに設定された IP アドレスを宛先とする IP-in-IP パケットを予期せずにカプセル化解除し、処理します(トンネル設定が存在しない場合を含む)。該当デバイスの着信インターフェイスに設定されたすべての入力ACLは、カプセル化解除前にキャリアIPパケットのIPフィールドに対して評価されます。パッセンジャーIPパケットでは評価されません。そのため、意図された ACL フィルタリングをパッセンジャ IP パケットがバイパスする可能性があります。また、外部 IP ヘッダーのみを検査して内部 IP パケットを検査しないネットワークフィルタリング技術が存在する場合には、パッセンジャ IP パケットが、当該デバイスへのネットワークパスで定義されている他のセキュリティ境界をバイパスする可能性もあります。
特定の条件下では、巧妙に細工された IP-in-IP パケットの処理により、当該デバイスでネットワーク スタック プロセスがクラッシュする可能性があります。ネットワーク スタック プロセスを複数回再起動させる不正利用が繰り返されると、当該デバイスがリロードされ、結果として DoS 状態が発生する可能性があります。ネットワーク スタック プロセスがクラッシュすると、デバイス上に netstack コアファイルが作成されます。これは、CLI コマンドの show cores(または、 Cisco UCS ファブリック インターコネクトの場合、local-mgmt CLI で dir cores)を使用して表示できます。netstack コア ファイルを見つけた場合は、Cisco Technical Assistance Center(TAC)に連絡し、そのファイルを検証してデバイスでこの脆弱性が不正利用されたかどうかを確かめることをお勧めします。
この脆弱性は、該当デバイスを宛先とする IP-in-IP トラフィックによってのみトリガーされ、該当デバイスを通過するトラフィックを使用して不正利用されることはありません。この脆弱性は、キャリアとパッセンジャの両方のデータグラムが IPv4 である IP-in-IP パケットによってのみトリガーされます。キャリアとパッセンジャのいずれかまたは両方が IPv6 データグラムの場合はトリガーされません。また、Generic Routing Encapsulation(GRE)などの他のトンネリングプロトコルによってもトリガーされません。
回避策
『シスコ NX-OS ソフトウェア デバイス セキュリティ ガイド』で推奨されているように、インフラストラクチャ アクセス制御リスト(iACL)を使用して、当該デバイス宛ての厳密に必要な管理および制御プレーントラフィックのみを許可することにより、Nexus デバイスでのこの問題の不正利用を防ぐことができます。ネットワークにおいて正規の IP-in-IP トラフィックが使用されていない場合は、iACL の一部として、プロトコル番号 4(IP-in-IP パケットに対応)を持つすべての IP パケットを明示的に拒否することも検討できます。カスタマイズされたコントロールプレーンポリシング(CoPP)ポリシーを使用して、該当デバイス宛てのIPトラフィック内のIPをドロップすることもできます。ただし、CoPPカスタマイズのサポートは、Nexusプラットフォームおよびソフトウェアリリースによって異なります。回避策の実現可能性の評価および当該デバイスでの回避策の実装に必要な支援については、各組織のサポート部門に問い合わせることをお勧めします。
Cisco UCS ファブリック インターコネクトでのこの問題の不正利用は、当該デバイスで NetFlow モニタリングが有効になっている場合にのみ可能です。NetFlow モニタリングの使用に関する厳密な要件がない場合は、修正済みリリースへのソフトウェアアップグレードを実行できるようになるまで NetFlow モニタリングの無効化の可能性を評価することもできます。
最初に、デバイスとセキュリティポリシーへの設定変更の影響を評価する必要があります。望ましくない、または予期しない副作用の懸念があるお客様は、設定の変更を実施する前にサポート部門に相談してください。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html に記載のシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、[シスコのセキュリティアドバイザリおよびアラート(Cisco Security Advisories and Alerts)] ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性と完全なアップグレード ソリューションを確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したがシスコのサービス契約をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを購入先から入手できない場合は、Cisco TAC(https://www.cisco.com/c/ja_jp/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html)に連絡してアップグレードを入手してください。
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
Cisco NX-OS ソフトウェア
お客様が Cisco NX-OS ソフトウェアの脆弱性による侵害の可能性を判断できるよう、シスコでは Cisco Software Checker を提供しています。このツールにより、特定の Cisco NX-OS ソフトウェアリリースに該当するシスコ セキュリティ アドバイザリ、および各アドバイザリで説明されている脆弱性が修正された最初のリリース(「First Fixed」)を特定できます。また該当する場合、そのリリースに関するすべてのアドバイザリの脆弱性が修正された最初のリリース(「Combined First Fixed」)を特定できます。
お客様は、Cisco Software Checker を使用して次の方法でアドバイザリを検索できます。
- ソフトウェア、プラットフォーム、および 1 つ以上のリリースを選択する
- 特定のリリースのリストを含む .txt ファイルをアップロードする
- show version コマンドの出力を入力する
検索を開始した後で、すべてのシスコ セキュリティアドバイザリまたは 1 つ以上の特定のアドバイザリが含まれるように検索をカスタマイズできます。
また、Cisco NX-OSソフトウェアおよびプラットフォームを選択してリリースを入力すると、リリースがCisco Security Advisoryの影響を受けるかどうかを確認できます。たとえば、Cisco Nexus 3000シリーズスイッチの場合は7.0(3)I7(5)、ACIモードのCisco NX-OSソフトウェアの場合は14.0(1h)です。
デフォルトでは、Cisco Software Checker の結果には、Security Impact Rating(SIR)が「重大」または「高」の脆弱性だけが含まれます。「中間」の SIR 脆弱性の結果を含めるには、Cisco Software Checker を使用して、検索をカスタマイズするときに [影響の評価(Impact Rating)] ドロップダウンリストの [中間(Medium)] チェックボックスをオンにします。
Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチの SMU
Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチの場合、Cisco NX-OS ソフトウェアリリース 7.3(6)D1(1) のソフトウェア メンテナンス アップグレード(SMU)を利用できます。次の SMU を Cisco.com の Software Center からダウンロードできます。
- n7700-s2-dk9.7.3.6.D1.1.CSCvt66624.bin
- n7000-s2-dk9.7.3.6.D1.1.CSCvt66624.bin
Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチ向け Cisco NX-OS ソフトウェアにおける SMU のダウンロードとインストールの詳細については、『Cisco Nexus 7000 Series NX-OS System Management Configuration Guide』の「Performing Software Maintenance Upgrades」を参照してください。
Cisco UCS ソフトウェア
次の表では、左の列に Cisco ソフトウェアのリリースを示します。右の列には、そのリリースがこのアドバイザリに記載されている脆弱性に該当するかどうかと、この脆弱性に対処するための修正を含むリリースを示します。
UCS 6200 および 6300 シリーズ ファブリック インターコネクト:
Cisco UCS ソフトウェアリリース | この脆弱性に対する最初の修正リリース |
---|---|
3.2 より前 | 3.2(3o) |
3.2 | 3.2(3o) |
4.0 | 4.0(4i)(2020 年 6 月) |
4.1 | 4.1(1d)(2020 年 6 月) |
関連情報
Cisco Nexus スイッチに最適な Cisco NX-OS ソフトウェア リリースの決定に関してサポートが必要な場合は、以下の推奨リリースに関するドキュメントを参照してください。 セキュリティ アドバイザリでより新しいリリースが推奨されている場合は、そのアドバイザリのガイダンスに従うことをお勧めします。
Cisco UCS に最適なリリースを確認するには、デバイスのリリースノートに記載されている推奨リリースに関するドキュメントを参照してください。Cisco MDS シリーズ スイッチ
VMware 向け Cisco Nexus 1000V スイッチ
Cisco Nexus 3000 Series Switches
Cisco Nexus 5500 プラットフォーム スイッチ
Cisco Nexus 5600 プラットフォームスイッチ
Cisco Nexus 6000 Series Switches
Cisco Nexus 7000 Series Switches
Cisco Nexus 9000 Series Switches
ACI モードの Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチ
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表を確認していません。
出典
この脆弱性を報告していただいた Yannay Livneh 氏に感謝いたします。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2020 年 6 月 1 日 |
利用規約
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