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日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco IOS XR 64 ビットソフトウェアの拡張ブート前実行環境(PXE)ブートローダーの脆弱性により、認証されていないリモートの攻撃者が、該当デバイスで PXE ブートプロセス中に未署名コードを実行する可能性があります。PXE ブートローダーは BIOS の一部であり、Cisco IOS XR ソフトウェアのみを実行しているハードウェア プラットフォームの管理インターフェイス上で動作します。
この脆弱性は、PXE ネットワークブートプロセスがソフトウェアイメージをロードするときに発行される内部コマンドが正しく検証されないことに起因します。攻撃者は、PXE ブートサーバを侵害し、有効なソフトウェアイメージを悪意のあるソフトウェアイメージに置き換えることにより、この脆弱性をエクスプロイトする可能性があります。または、攻撃者がPXE ブートサーバになりすまし、悪意のあるファイルを含む PXE ブート応答を送信する可能性もあります。エクスプロイトに成功すると、攻撃者が該当デバイスで任意のコマンドを実行できるようになる場合があります。
注:この脆弱性を修正するには、Cisco IOS XRソフトウェアとBIOSの両方をアップグレードする必要があります。BIOS コードは Cisco IOS XR ソフトウェアに含まれていますが、追加のインストール手順が必要になる場合があります。詳細については、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」のセクションを参照してください。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。この脆弱性に対処する回避策はありません。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-iosxr-pxe-unsign-code-exec-qAa78fD2
該当製品
脆弱性のある製品
この脆弱性は、Cisco IOS XR 64ビットソフトウェアの脆弱性が存在するリリースを実行し、次の条件を満たすシスコデバイスに影響を与えます。
- デバイスの製品 ID(PID)が、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションに記載されている PID のいずれかと一致するデバイス。
- 脆弱な BIOS バージョンを実行しているデバイス。
- ネットワークブートに PXE を使用するデバイス。
脆弱性が存在する Cisco ソフトウェアリリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションを参照してください。
製品 ID の確認
デバイスの PID を確認するには、show inventory raw CLI コマンドを使用します。PID N3K-C3232C のデイバスの場合、コマンドの出力例は次のようになります。
RP/0/RP0/CPU0:router# show inventory raw
. . .NAME: "0/RP0", DESCR: "NCS 5500 Route Processor"
PID: NC55-RP , VID: V01, SN: SAL1926HRW5NAME: "0/1/* - cpu", DESCR: "cpu"
PID: , VID: V00, SN: SAD093000JR
NAME: "0/1/* - cpu - 1.6V_P0", DESCR: "Voltage Sensor"
PID: , VID: N/A, SN:
. . .
PID がこのアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションのいずれかの表に記載されている場合、デバイスが脆弱な BIOS バージョンを実行し、ネットワークブートに PXE を使用していると、デバイスが脆弱になる可能性があります。
BIOS バージョンの確認
デバイスで実行されているBIOSバージョンを確認するには、show fpd package CLIコマンドを使用します。次の例は、PIDがA9K-RSP880-LT-TRで、BIOSバージョン17.16を実行しているデバイスの出力を示しています。
RP/0/RSP0/CPU0:router# show fpd package Wed Nov 4 21:55:45.713 UTC |
||||||
======================= |
================================================ Field Programmable Deviceパッケージ ================================================ |
|||||
Card Type | FPDの説明 | Type | 亜型 | SW バージョン |
最小要求 ソフトウェアのバージョン |
最小要求 ハードウェアのバージョン |
======================= | ========================== | ==== | ======= | =========== | ======== | ========= |
ASR-9910-BPID2 | Can Bus Ctrl(CBC)BP2 Can Bus Ctrl(CBC)BP2 |
bp lc |
cbc cbc |
7.105 7.105 |
0.00 0.00 |
0.1 0.1 |
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- | ||||||
. |
||||||
A9K-RSP880-LT-TR | Can Bus Ctrl(CBC)RSP4 MB CPUCtrl DBCtrl DBCtrl DBCtrl fsbl LinuxFW ROMMONB RSP4L |
lc |
cbc fpga2 fpga3 fpga4 fpga5 fsbl lnxfw rommon |
50.01 0.13 0.05 0.04 0.04 1.103 1.103 17.16 |
0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 |
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 |
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- | ||||||
. . . |
Network Convergence System 5500シリーズルータで実行されているBIOSバージョンを確認するには、show hw-module fpd Bootloader CLIコマンドを使用します。PID が N3K-C3232C で BIOS バージョン 1.20 を実行しているデイバスの場合、コマンドの出力例は次のようになります。
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの脆弱性のある製品セクションに記載されている製品のみが、この脆弱性の影響を受けることが分かっています。
シスコは、この脆弱性が以下のシスコ製品には影響を与えないことを確認しました。
- 8000 シリーズ ルータ
- Carrier Routing System(CRS)
- IOS ソフトウェア
- IOS XE ソフトウェア
- IOS XR 32 ビットソフトウェア
- IOS XR ホワイトボックス(IOSXRWBD)
- IOS XRv 9000 ルータ
- Network Convergence System(NCS)6000 シリーズ ルータ
- NX-OS ソフトウェア
- UCS 6200 シリーズ ファブリック インターコネクト
- UCS 6300 シリーズ ファブリック インターコネクト
- UCS 6400 シリーズ ファブリック インターコネクト
- UCS B シリーズ ブレード サーバ
- UCS C シリーズ M3 ラックサーバ(スタンドアロン)
- UCS C シリーズ M4 ラックサーバ(スタンドアロン)
- UCS C シリーズ M5 ラックサーバ(管理対象)
- UCS C シリーズ M5 ラックサーバ(スタンドアロン)
詳細
PXE は、Cisco IOS XR ソフトウェアを実行しデバイス BIOS の一部であるルータの管理インターフェイスのネットワークカードに含まれています。PXE は、システムの再イメージ化に使用され、ブートに失敗した場合や有効でブート可能なパーティションがない場合にルータをブートします。PXE はブートローダーとして機能し、システムを起動するイメージを PID、シリアル番号、または管理 MAC アドレスに基づいて柔軟に選択できるようにします。PXE は、PXE ブートサーバからの PXE 応答の一環として指定された ISO イメージをダウンロードし、ISO コンテンツをデバイスにインストールして、インストールされたソフトウェアイメージに制御を渡します。
PXE は DHCP サーバ設定ファイルで定義する必要があります。詳細については、「iPXE を使用した起動」および「iPXE を使用したルータの起動」を参照してください。
回避策
この脆弱性に対処する回避策はありません。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は以下のリンクに記載されたシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、シスコ セキュリティ アドバイザリ ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性とアップグレード ソリューション一式を確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したがシスコのサービス契約をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを購入先から入手できない場合は、Cisco TAC(https://www.cisco.com/c/ja_jp/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html)に連絡してアップグレードを入手してください。
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
修正済みリリース
次の表の左列は、この脆弱性の影響を受ける可能性のあるシスコ製品の PID を示しています。中央の列は、この脆弱性を修正した Cisco IOS XR 64 ビットソフトウェアの最初のリリースを示しています。右側の列は、この脆弱性を修正した BIOS の最初のリリースを示しています。
これらの表に記載されていない PID に関して、この脆弱性の影響を受けるのかどうかは不明です。最初の修正済みバージョンより前の BIOS バージョンは、この脆弱性の影響を受けます。
この脆弱性を修正するには、デバイスに修正済みの BIOS イメージをインストールする必要があります。BIOS イメージはスタンドアロンパッケージでは提供されませんが、Cisco IOS XRソフトウェアに組み込まれています。場合によっては、Cisco IOS XRソフトウェアのアップグレード時に BIOS が自動的に更新されないことがあります。BIOSのバージョンを確認するには、「脆弱性が存在する製品」セクションに示されているように、show fpd packageコマンドまたはshow hw-module fpd Bootloaderコマンドを使用します。BIOS が修正済みのバージョンにアップグレードされていない場合は、「Field-Programmable Device のアップグレード」を参照し、upgrade hw-module location コマンドを使用して BIOS をアップグレードします。
ASR 9000 シリーズ ルート スイッチ プロセッサ
Cisco ASR 9000 シリーズ PID 1 | この脆弱性に対する Cisco IOS XR ソフトウェアの最初の修正済みリリース | この脆弱性に対する最初の修正済み BIOS バージョン |
---|---|---|
A9K-RSP880-SE A9K-RSP880-TR |
6.5.2 | 10.65 |
A99-RP2-SE A99-RP2-TR |
6.5.2 | 14.35 |
A99-RSP-SE A99-RSP-TR |
6.5.2 | 16.14 |
A9K-RSP880-LT-SE A9K-RSP880-LT-TR |
6.5.2 | 17.34 |
ASR-9901-RP | 6.5.2 | 22.20 |
A99-RP3-SE A99-RP3-TR |
6.5.2 | 30.23 |
A9K-RSP5-SE A9K-RSP5-TR |
6.5.2 | 31.20 |
Network Convergence System 1000 シリーズ
Cisco NCS 9000 シリーズ PID 1 | この脆弱性に対する Cisco IOS XR ソフトウェアの最初の修正済みリリース | この脆弱性に対する最初の修正済み BIOS バージョン |
---|---|---|
NCS1001 NCS1002 NCS1004 |
7.1.1 | 14.60 |
Network Convergence System 540 ルータ
Cisco NCS 540 PID | この脆弱性に対する Cisco IOS XR ソフトウェアの最初の修正済みリリース | この脆弱性に対する最初の修正済み BIOS バージョン |
---|---|---|
N540-12Z20G-SYS-A/D N540-28Z4C-SYS-A/D N540X-16Z4G8Q2C-A/D N540X-12Z16G-SYS-A/D |
7.2.1 | 1.17 |
N540-24Z8Q2C-M N540-ACC-SYS |
7.2.1 | 1.13 |
Network Convergence System 560 ルータ
Cisco NCS 560 PID | この脆弱性に対する Cisco IOS XR ソフトウェアの最初の修正済みリリース | この脆弱性に対する最初の修正済み BIOS バージョン |
---|---|---|
N560-4-SYS1 N560-7-SYS1 |
6.6.3 および 7.0.2 | 0.14 |
Network Convergence System 5000 シリーズ ルータ
Cisco NCS 5000 シリーズ PID 1 | この脆弱性に対する Cisco IOS XR ソフトウェアの最初の修正済みリリース | この脆弱性に対する最初の修正済み BIOS バージョン |
---|---|---|
NCS5001 NCS5002 |
7.2.1 | 1.13 |
NCS5011 | 7.2.1 | 1.14 |
Network Convergence System(NCS)5500 シリーズルータ
Cisco NCS 5500 シリーズ PID 1 | この脆弱性に対する Cisco IOS XR ソフトウェアの最初の修正済みリリース | この脆弱性に対する最初の修正済み BIOS バージョン |
---|---|---|
NC55-RP | 6.6.3 | 9.30 |
NC55-RP-E NCS-5501 NCS-5501-SE NCS-5502 NCS-5502-SE |
6.6.3 | 1.21 |
NCS-55A2-MOD-S NCS-55A2-MOD-HD-S NCS-55A2-MOD-HX-S NCS-55A2-MOD-SE-S NCS-55A2-MOD-SE-H-S NCS-55A1-36H-SE-S NCS-55A1-36H-S NCS-55A1-24H NCS55-A1-48Q6H NCS-55A1-24Q6H-S |
6.6.3 | 1.12 |
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表を確認していません。
出典
この脆弱性は、シスコ内部でセキュリティテストを実施中、シスコの Martin Ramsdale によって発見されました。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.3 | 「修正済みソフトウェア」セクションのNetwork Convergence System 540ルータテーブルは、最初の修正済みBIOSバージョンを正確に反映するように変更されました。 | 修正済みソフトウェア | Final | 2020 年 12 月 1 日 |
1.2 | 修正済みリリースとして6.6.25を削除。 | 修正済みリリース | Final | 2020年11月17日 |
1.1 | 最初の脆弱なリリースを明記し、BIOS バージョンを確認するための show fpd package コマンドを追加。 | 「脆弱性のある製品」および「修正済みリリース」 | Final | 2020 年 11 月 4 日 |
1.0 | 初回公開リリース | - | Final | 2020 年 11 月 4 日 |
利用規約
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