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日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
2020年7月29日、「There a Hole in the Boot」という研究論文が公開されました。このドキュメントでは、攻撃者がシステムブート時に任意のコードを実行できる可能性がある、GRand Unified Bootloader version 2(GRUB2)ブートローダで発見された脆弱性について説明します。
この脆弱性は、GRUB2コンフィギュレーションファイルから解析された特定の値の境界チェックが正しく行われないことに起因します。攻撃者は、GRUB2用に巧妙に細工された設定ファイルを提供することにより、この脆弱性を不正利用する可能性があります。このファイルが処理されると、不正利用できるバッファオーバーフロー状態が発生する可能性があります。不正利用に成功すると、攻撃者はオペレーティングシステムがターゲットシステムにロードされる前に実行される任意のコードをインジェクトする可能性があります。
Unified Extensible Firmware Interface(UEFI)セキュアブート機能によって保護されているシステムでは、この脆弱性が不正利用されると、攻撃者がセキュアブートプロセスを改ざんする可能性があります。
複数のシスコ製品がこの脆弱性の影響を受けます。
シスコでは、この脆弱性に対処するソフトウェア アップデートをリリースする予定です。特定のシスコ製品またはサービスのすべての回避策は、適切な Cisco Bug として文書化され、それぞれこのアドバイザリの「脆弱性のある製品」セクションで特定されます。
このアドバイザリは追加情報が入手可能になった時点で更新されます。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://tools.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-grub2-code-exec-xLePCAPY
該当製品
次の表に、本アドバイザリに記載された脆弱性の影響を受けるシスコ製品を示します。
「脆弱性のある製品」のセクションで、影響を受ける各製品またはサービスの Cisco Bug ID を示します。Cisco Bug は Cisco Bug Search Tool で検索可能であり、回避策(使用可能な場合)と修正されたソフトウェア リリースなど、プラットフォーム固有の追加情報が記載されます。
本アドバイザリの「調査中の製品」または「脆弱性のある製品」セクションに記載されていない製品またはサービスは、脆弱性が存在しないと判断されています。これは継続的な調査であるため、現在脆弱性が存在しないと考えられている製品やサービスは、その後、追加情報が提供されると脆弱性が存在すると見なされる可能性があります。
脆弱性のある製品
この脆弱性は、GRUB2ブートローダの脆弱性のあるリリースを実装し、GRUB2コンフィギュレーションファイルを検証しないシスコ製品に影響を与えます。
次の表に、本アドバイザリに記載された脆弱性の影響を受けるシスコ製品を示します。将来のソフトウェア リリース日が示されている場合、その日付はこのアドバイザリの上部にある最終更新日時点でシスコが把握しているすべての情報に基づいた日付になります。このソフトウェア リリースの日付は、試験結果や優先される機能や修正の提供等いくつかの理由により変更される場合があります。影響を受けるコンポーネントについてバージョン情報や日付がリストに記載されていない場合(空欄や暫定とされているもの)、シスコは修正の評価を続けており、追加情報が確認された時点でアドバイザリを更新します。アドバイザリが Final とマークされた後、より詳細な情報については関連する Cisco バグを参照して下さい。
Product | Cisco Bug ID | Fixed Release Availability |
---|---|---|
ルーティングおよびスイッチング - エンタープライズおよびサービス プロバイダー | ||
シスコ クラウド サービス ルータ 1000V シリーズ | CSCvv04959 | |
シスコ サービス統合型仮想ルータ(ISRv) | CSCvv04959 | |
ネットワークおよびコンテンツ セキュリティ デバイス | ||
Cisco Identity Services Engine(ISE) | CSCvv04957 | |
Unified Computing | ||
Cisco Enterprise NFV Infrastructure Software(NFVIS) | CSCvv05161 |
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの「脆弱性のある製品」セクションに記載されている製品およびサービスのみが、この脆弱性の影響を受けることが分かっています。
シスコは、この脆弱性が以下の製品およびサービスには影響を与えないことを確認しました。
ネットワークおよびコンテンツ セキュリティ デバイス
- Cisco Firepower Management System
ルーティングおよびスイッチング - エンタープライズおよびサービス プロバイダー
- Cisco 1000 シリーズ Connected Grid ルータ
- Cisco IR800 シリーズサービス統合型ルータ(ISR)
詳細
この脆弱性は、GRUB2 Bootloader の脆弱なリリースを統合するシスコデバイスに影響を及ぼします。ブートローダは、システムの起動プロセス中に実行されるソフトウェアです。システムファームウェアによって初期化され、オペレーティングシステムをロードするために必要な初期化を実行します。GRUB2 はその設定パラメータをテキストファイルから読み取ります。対象となるバージョンの GRUB2 は、コンフィギュレーション ファイルから解析された特定の値の境界チェックを不適切に実行します。
この設定ファイルを変更できる攻撃者は(デバイスへの管理者権限またはターゲットシステムへの物理的なアクセス権を持つ)GRUB2の巧妙に細工された設定ファイルを提供することで、この脆弱性を不正利用する可能性があります。このファイルが処理されると、ヒープベースのバッファオーバーフローが発生します。攻撃者はこの脆弱性を利用して、対象となるシステムのブート前環境で任意のコードを実行する可能性があります。
この脆弱性を不正利用するには、攻撃者は GRUB2 コンフィギュレーション ファイルを変更する必要があります。ほとんどのシスコデバイスでは、ブートプロセス中に GRUB2 コンフィギュレーション ファイルを検証します。この脆弱性を不正利用しようとすると、デジタル署名チェックが失敗します。このチェックが失敗すると、シスコデバイスはそのソフトウェアを起動させないことにより、悪意のあるコードが実行されるのを防ぎます。
シスコデバイスのサブセットでは、GRUB2 コンフィギュレーション ファイルは検証されません。これらの製品は、このアドバイザリで説明されている脆弱性の影響を受け、「脆弱な製品」のセクションに記載されています。
回避策
特定のシスコ製品またはサービスのすべての回避策は、適切な Cisco Bug として文書化され、それぞれこのアドバイザリの「脆弱性のある製品」セクションで特定されます。
修正済みソフトウェア
修正済みソフトウェア リリースの詳細については、本アドバイザリの「脆弱性のある製品」セクションに記載されている Cisco Bug ID を参照してください。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、シスコ セキュリティ アドバイザリ ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性と完全なアップグレード ソリューションを確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成は新規リリースでも継続して適切なサポートが受けられることを確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンス プロバイダーにお問い合わせください。
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、アドバイザリで説明されている脆弱性に対して概念実証段階のエクスプロイト コードが入手可能であることを認識しています。
このアドバイザリで説明されている脆弱性の悪用に関する情報は Cisco PSIRT に寄せられていません。
出典
シスコは、この脆弱性を報告して下さった Eclypsium の Mickey Shkatov 氏と Jesse Michael 氏に感謝いたします。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | Date |
---|---|---|---|---|
1.1 | 概要を更新し、調査中の製品を脆弱な製品のリストに移動しました。 | 概要、該当製品 | Interim | 2020 年 8 月 10 日 |
1.0 | 初回公開リリース | — | Interim | 2020 年 8 月 4 日 |
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