High
High
日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco 適応型セキュリティアプライアンス(ASA)ソフトウェアおよび Cisco Firepower Threat Defense ソフトウェアのセキュリティソケットレイヤ(SSL)/Transport Layer Security(TLS)で脆弱性が確認されました。認証されていないリモートの攻撃者が該当システムでメモリリソースを枯渇させ、サービス妨害(DoS)状態につながる可能性があります。
この脆弱性は、インバウンド SSL/TLS 接続のリソース管理が不適切であることに起因します。特定の条件下で該当デバイスに対して複数の SSL/TLS 接続が確立されると、この脆弱性がエクスプロイトされる可能性があります。エクスプロイトに成功すると、該当デバイスでメモリを枯渇させることが可能になり、デバイスで新規 SSL/TLS 接続が確立されなくなります。その結果、SSL/TLS トラフィックを処理するデバイス上のサービスが DoS 状態に陥る恐れがあります。影響を受けたデバイスの復旧には人的介入が必要です。
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処するソフトウェア アップデートを提供しています。この脆弱性に対処する回避策はありません。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-asa-ssl-vpn-dos-qY7BHpjN
このアドバイザリは、2020 年 5 月 に公開された Cisco ASA、FMC、FTD ソフトウェアのセキュリティ アドバイザリ バンドルの一部です。このアドバイザリバンドルには、12 件の脆弱性に関する 12 件のシスコ セキュリティ アドバイザリが記載されています。アドバイザリの完全なリストとそのリンクについては、『Cisco Event Response: May 2020 Cisco ASA, FMC, and FTD Software Security Advisory Bundled Publication』を参照してください。
該当製品
脆弱性のある製品
この脆弱性の影響を受けるのは、シスコ製品で脆弱性のある Cisco ASA ソフトウェアや FTD ソフトウェア リリースを実行しており、かつ SSL/TLS メッセージ処理を伴う機能がデバイスで有効になっている場合です。これらの機能には次のようなものがあります。
- AnyConnect SSL VPN
- クライアントレス SSL VPN
- 管理インターフェイスに使用される HTTP サーバ
脆弱性が存在する Cisco ソフトウェアリリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションを参照してください。
デバイスで SSL または TLS メッセージ処理の可能性があるかどうかの確認
Cisco ASA ソフトウェアまたは FTD ソフトウェアを実行中のデバイスで、SSL または TLS パケットが処理されるかどうかを確認するには、show asp table socket コマンドを使用します。 | include SSL|DTLSコマンドを使用して、出力が返されることを確認します。このコマンドで何らかの出力が返される場合、そのデバイスには脆弱性があります。このコマンドを実行して空の結果が返される場合、そのデバイスはこのアドバイザリに記載されている脆弱性の影響を受けません。以下は、show asp table socket コマンドの出力例です。 | include SSL|DTLSコマンドを実行するデバイスにアクセスできない場合の出力例を示します。
ftd# show asp table socket | include SSL|DTLS
SSL 0005aa68 LISTEN x.x.x.x:443 0.0.0.0:*
SSL 002d9e38 LISTEN x.x.x.x:8443 0.0.0.0:*
DTLS 0018f7a8 LISTEN 10.0.0.250:443 0.0.0.0:*
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの脆弱性のある製品セクションに記載されている製品のみが、この脆弱性の影響を受けることが分かっています。
シスコは、この脆弱性が Cisco Firepower Management Center(FMC)ソフトウェアに影響を及ぼさないことを確認しました。
詳細
影響を受けたデバイスでは、新規 SSL/TLS 接続を確立できなくなる可能性があります。デバイスの復旧には人的介入が必要になる場合があります。復旧を行うには、管理者がデバイスの CLI にログインし、次のコマンドを実行して接続を解除します。
clear conn all
特定の IP アドレスから複数の接続が検出された場合、管理者は次のコマンドを使用できます。
clear conn all address ip-address
注意:clear conn allコマンドは、デバイスがSSL/TLS接続であるか、システムメモリを不適切に使用しているかに関係なく、デバイスに対するすべての接続またはデバイスを通過するすべての接続をクリアします。管理者はこのコマンドを慎重に使用することを推奨します。
回避策
この脆弱性に対処する回避策はありません。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html に記載のシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、[シスコのセキュリティアドバイザリおよびアラート(Cisco Security Advisories and Alerts)] ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性と完全なアップグレード ソリューションを確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したがシスコのサービス契約をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを購入先から入手できない場合は、Cisco TAC(https://www.cisco.com/c/ja_jp/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html)に連絡してアップグレードを入手してください。
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
修正済みリリース
次の表では、左の列にシスコソフトウェアのリリースを記載しています。中央の列は、リリースがこのアドバイザリに記載されている脆弱性に該当するかどうか、および、この脆弱性に対する修正を含む最初のリリースを示しています。右の列は、リリースがこのバンドルに記載された何らかの脆弱性に該当するかどうか、およびそれらすべての脆弱性に対する修正を含む最初のリリースを示しています。
Cisco ASA ソフトウェア
Cisco ASA ソフトウェア リリース | この脆弱性に対する最初の修正リリース | アドバイザリのバンドルに記載されているすべての脆弱性に対する最初の修正済みリリース |
---|---|---|
9.61 より前 | 修正済みリリースに移行。 | 修正済みリリースに移行。 |
9.6 | 9.6.4.40 | 修正済みリリースに移行。 |
9.71 | 修正済みリリースに移行。 | 修正済みリリースに移行。 |
9.8 | 9.8.4.20 | 9.8.4.20 |
9.9 | 9.9.2.66 | 9.9.2.67 |
9.10 | 9.10.1.37 | 9.10.1.40 |
9.12 | 9.12.3.2 | 9.12.3.9 |
9.13 | 9.13.1.7 | 9.13.1.10 |
9.14 | 脆弱性なし | 脆弱性なし |
1. Cisco ASA ソフトウェアリリース 9.5 以前および 9.7 については、ソフトウェアのメンテナンスが終了しています。この脆弱性の修正を含むサポート対象リリースに移行することをお勧めします。
Cisco FTD ソフトウェア
Cisco FTD ソフトウェア リリース | この脆弱性に対する最初の修正リリース | アドバイザリのバンドルに記載されているすべての脆弱性に対する最初の修正済みリリース |
---|---|---|
6.1.01 より前 | 修正済みリリースに移行。 | 修正済みリリースに移行。 |
6.1.0 | 修正済みリリースに移行。 | 修正済みリリースに移行。 |
6.2.0 | 修正済みリリースに移行。 | 修正済みリリースに移行。 |
6.2.1 | 修正済みリリースに移行。 | 修正済みリリースに移行。 |
6.2.2 |
修正済みリリースに移行。 |
修正済みリリースに移行。 |
6.2.3 | 6.2.3.16(2020 年 6 月) Cisco_FTD_Hotfix_DT-6.2.3.16-3.sh.REL.tar Cisco_FTD_SSP_FP2K_Hotfix_DT-6.2.3.16-3.sh.REL.tar Cisco_FTD_SSP_Hotfix_DT-6.2.3.16-3.sh.REL.tar |
6.2.3.16(2020 年 6 月) Cisco_FTD_Hotfix_DT-6.2.3.16-3.sh.REL.tar Cisco_FTD_SSP_FP2K_Hotfix_DT-6.2.3.16-3.sh.REL.tar Cisco_FTD_SSP_Hotfix_DT-6.2.3.16-3.sh.REL.tar |
6.3.0 | 6.3.0.6(リリース予定) Cisco_FTD_Hotfix_AO-6.3.0.6-2.sh.REL.tar Cisco_FTD_SSP_FP2K_Hotfix_ AO-6.3.0.6-2.sh.REL.tar Cisco_FTD_SSP_Hotfix_ AO-6.3.0.6-2.sh.REL.tar |
6.3.0.6(リリース予定) Cisco_FTD_Hotfix_AO-6.3.0.6-2.sh.REL.tar Cisco_FTD_SSP_FP2K_Hotfix_ AO-6.3.0.6-2.sh.REL.tar Cisco_FTD_SSP_Hotfix_ AO-6.3.0.6-2.sh.REL.tar |
6.4.0 | 6.4.0.9 | 6.4.0.9 |
6.5.0 | 6.5.0.5(リリース予定) Cisco_FTD_Hotfix_H-6.5.0.5-2.sh.REL.tar 以降 Cisco_FTD_SSP_FP1K_Hotfix_H-6.5.0.5-2.sh.REL.tar 以降 Cisco_FTD_SSP_FP2K_Hotfix_H-6.5.0.5-2.sh.REL.tar 以降 Cisco_FTD_SSP_Hotfix_H-6.5.0.5-2.sh.REL.tar 以降 |
6.5.0.5(リリース予定) Cisco_FTD_Hotfix_H-6.5.0.5-2.sh.REL.tar 以降 Cisco_FTD_SSP_FP1K_Hotfix_H-6.5.0.5-2.sh.REL.tar 以降 Cisco_FTD_SSP_FP2K_Hotfix_H-6.5.0.5-2.sh.REL.tar 以降 Cisco_FTD_SSP_Hotfix_H-6.5.0.5-2.sh.REL.tar 以降 |
6.6.0 | 脆弱性なし | 6.6.0 |
1. Cisco FMC および FTD ソフトウェア リリース 6.0.1 以前については、メンテナンスが終了しています。この脆弱性の修正を含むサポート対象リリースに移行することをお勧めします。
Cisco FTD ソフトウェアの修正済みリリースにアップグレードするには、次のいずれかの操作を行います。
- Cisco Firepower Management Center(FMC)を使用して管理しているデバイスについては、FMC インターフェイスを使用してアップグレードをインストールします。インストールが完了したら、アクセス コントロール ポリシーを再適用します。
- Cisco Firepower Device Manager(FDM)を使用して管理しているデバイスについては、FDM インターフェイスを使用してアップグレードをインストールします。インストールが完了したら、アクセス コントロール ポリシーを再適用します。
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表を確認していません。
出典
この脆弱性は Cisco TAC サポートケースの解決中に発見されました。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.2 | FTD リリース 6.4.0 および 6.5.0 の Hot Fix を更新。 | 修正済みリリース | Final | 2020 年 5 月 15 日 |
1.1 | 正しい修正済みリリースを 9.10.1.39 ではなく 9.10.1.40 とするために、ASA 修正リリーステーブルを更新。 | 修正済みリリース | Final | 2020 年 5 月 6 日 |
1.3 | 修正済み FTD リリース 6.4.0 ソフトウェアのリリースに関する情報を更新。 | 修正済みリリース | Final | 2020 年 5 月 6 日 |
1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2020 年 5 月 6 日 |
利用規約
本アドバイザリは無保証のものとしてご提供しており、いかなる種類の保証も示唆するものではありません。 本アドバイザリの情報およびリンクの使用に関する責任の一切はそれらの使用者にあるものとします。 また、シスコは本ドキュメントの内容を予告なしに変更したり、更新したりする権利を有します。
本アドバイザリの記述内容に関して情報配信の URL を省略し、単独の転載や意訳を施した場合、当社が管理した情報とは見なされません。そうした情報は、事実誤認を引き起こしたり、重要な情報が欠落していたりする可能性があります。 このドキュメントの情報は、シスコ製品のエンドユーザを対象としています。