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日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco Nexus 3000 および 9000 シリーズ スイッチの特定の CLI コマンドと、関連付けられている Simple Network Management Protocol(SNMP)MIB の実装における脆弱性により、認証されたリモート攻撃者が該当デバイスのシステム メモリを枯渇させ、その結果、サービス妨害(DoS)状態が発生する可能性があります。
本脆弱性は、CLI コマンドが正しく実装されていないために、完了時に割り当てられているすべてのメモリが解放されないことに起因しています。攻撃者は、該当デバイスで認証し、特定の CLI コマンドの発行、または、特定のオブジェクト識別子(OID)に対する特定の SNMP ポーリング要求の送信を繰り返すことによって、本脆弱性をエクスプロイトできる可能性があります。エクスプロイトが成功すると、IP ルーティング プロセスの再起動やデバイスのリセットが引き起こされ、DoS 状態になる可能性があります。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。この脆弱性に対処する回避策はありません。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-20180620-n3k-n9k-clisnmp
このアドバイザリは、2018 年 6 月に公開された Cisco FXOS および NX-OS ソフトウェアのセキュリティ アドバイザリ コレクションの一部です。この中には、24 件の脆弱性に関する 24 件のシスコ セキュリティ アドバイザリが含まれています。アドバイザリとリンクの一覧については、『Cisco Event Response: June 2018 Cisco FXOS and NX-OS Software Security Advisory Collection』を参照してください。
該当製品
脆弱性のある製品
本脆弱性は、Cisco NX-OS ソフトウェアの脆弱性のあるリリースを実行する、スタンドアロン NX-OS モードの Cisco Nexus 3000 シリーズ スイッチおよび Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチに影響を与えます。
脆弱性が存在する Cisco NX-OS ソフトウェア リリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」の項を参照してください。
SNMP のステータスの確認
管理者は、デバイスの CLI で show running-config snmp コマンドを使用することによって、SNMP がデバイスで実行されているかどうかをチェックできます。コマンドによって出力が返された場合は、SNMP が設定されています。
nxos-switch# show running-config snmp
!Command: show running-config snmp
.
.
.
snmp-server user admin network-admin auth md5 ***** priv ***** localizedkey
snmp-server community group network-admin
Cisco NX-OS ソフトウェアリリースの判別
管理者は、デバイスの CLI で show version コマンドを使用することによって、デバイスで実行されている Cisco NX-OS ソフトウェアのリリースをチェックできます。デバイスが Cisco NX-OS ソフトウェア リリース 7.0(3)I5(1) を実行している場合、コマンドの出力例は次のようになります。
nxos-switch# show version Cisco Nexus Operating System (NX-OS) Software TAC support: http://www.cisco.com/tac Copyright (C) 2002-2016, Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. The copyrights to certain works contained in this software are owned by other third parties and used and distributed under their own licenses, such as open source. This software is provided "as is," and unless otherwise stated, there is no warranty, express or implied, including but not limited to warranties of merchantability and fitness for a particular purpose. Certain components of this software are licensed under the GNU General Public License (GPL) version 2.0 or GNU General Public License (GPL) version 3.0 or the GNU Lesser General Public License (LGPL) Version 2.1 or Lesser General Public License (LGPL) Version 2.0. A copy of each such license is available at http://www.opensource.org/licenses/gpl-2.0.php and http://opensource.org/licenses/gpl-3.0.html and http://www.opensource.org/licenses/lgpl-2.1.php and http://www.gnu.org/licenses/old-licenses/library.txt.
Software BIOS: version 07.57 NXOS: version 7.0(3)I5(1) [build 7.0(3)I5(0.9)] BIOS compile time: 06/29/2016 NXOS image file is: bootflash:///nxos.7.0.3.I5.0.9.bin NXOS compile time: 8/1/2016 23:00:00 [08/02/2016 00:30:32] . . .
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの脆弱性のある製品セクションに記載されている製品のみが、この脆弱性の影響を受けることが分かっています。
シスコは、この脆弱性が以下のシスコ製品には影響を与えないことを確認しました。
- Firepower 2100 シリーズ
- Firepower 4100 シリーズ次世代ファイアウォール
- Firepower 9300 セキュリティ アプライアンス
- MDS 9000 シリーズ マルチレイヤ スイッチ
- Nexus 1000V シリーズ スイッチ
- Nexus 1100 シリーズ クラウド サービス プラットフォーム
- Nexus 2000 シリーズ スイッチ
- Nexus 3500 プラットフォーム スイッチ
- Nexus 3600 プラットフォーム スイッチ
- Nexus 5500 プラットフォーム スイッチ
- Nexus 5600 プラットフォーム スイッチ
- Nexus 6000 シリーズ スイッチ
- Nexus 7000 シリーズ スイッチ
- Nexus 7700 シリーズ スイッチ
- Nexus 9000 シリーズ ファブリック スイッチ(アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)モード)
- Nexus 9500 R シリーズ ラインカードおよびファブリック モジュール
- UCS 6100 シリーズ ファブリック インターコネクト
- UCS 6200 シリーズ ファブリック インターコネクト
- UCS 6300 シリーズ ファブリック インターコネクト
Cisco では、本脆弱性が Cisco Nexus 4000 シリーズ スイッチ、Cisco Nexus 5010 スイッチ、Cisco Nexus 5020 スイッチに影響するかどうかを調査していません。これらの製品がサポート終了ステータスに達しているためです。詳細については、「IBM BladeCenter 用の Cisco Nexus 4000 シリーズ スイッチ モジュールの販売終了およびサポート終了通知」および「Cisco Nexus 5010 および Nexus 5020 スイッチの販売終了およびサポート終了通知」を参照してください。
詳細
Simple Network Management Protocol(SNMP)はアプリケーション層プロトコルであり、ネットワーク内のデバイスをモニタリングおよび管理するための標準化フレームワークおよび共通言語として機能し、SNMP マネージャとエージェント間の通信に必要なメッセージ フォーマットを定義します。
SNMP エージェントは、デバイス パラメータおよびネットワーク データに関する情報のリポジトリである SNMP MIB からデータを収集します。また、SNMP マネージャからの要求に応答して、データの取得または設定も行います。SNMP エージェントには MIB 変数が含まれ、その値は、get 操作または set 操作を使用することによって、SNMP マネージャによって要求または変更できます。
この脆弱性は、デバイスでサポートされているすべてのバージョンのSNMP(バージョン1、2c、および3)に影響します。該当デバイスに IPv4 または IPv6 経由で特定の SNMP パケットが送信されると、本脆弱性がエクスプロイトされる危険性があります。本脆弱性を不正利用する目的で使用できるのは、該当システム宛てのトラフィックに限られます。
SNMP バージョン 2c 以前で本脆弱性をエクスプロイトするには、攻撃者が該当システムの SNMP 読み取り専用コミュニティ ストリングを把握している必要があります。コミュニティ ストリングとは、デバイスの SNMP データへの読み取り専用アクセスおよび読み取り/書き込みアクセスの両方を制限するパスワードです。コミュニティ ストリングには一般的なキーワードを使用せず、他のパスワードと同様に慎重に選択してください。また、定期的にネットワーク セキュリティのポリシーに合わせて変更する必要もあります。たとえば、ネットワーク管理者がロールを変更する場合や退職する際はコミュニティ ストリングを変更する必要があります。
SNMP バージョン 3 でこれらの脆弱性をエクスプロイトするには、該当システムのユーザ クレデンシャルを攻撃者が入手している必要があります。
本脆弱性をエクスプロイトするには、攻撃者は、一定の時間を費やして、該当デバイスに対して特定の CLI コマンドを繰り返し送信するか、特定の OID に対する特定の SNMP ポーリング要求を送信する必要があります。したがって、攻撃者はシステムメモリをすぐに使い果たすことはできません。代わりに、時間の経過とともにシステムリソースが消費されます。
セキュリティ侵害の痕跡
また、この脆弱性が不正利用されると、該当デバイスがリロードされ、IPFIB コア ファイルが生成される可能性があります。管理者は、NX-OS の CLI で show core コマンドを使用して、IPFIB コア ファイルを表示できます。Cisco TAC に連絡し、コア ファイルの確認と、この脆弱性の不正利用によってデバイスが侵害されているかどうかの判断を行ってください。# show process memory | include ipfib | PID PID MemAlloc MemLimit MemUsed StackBase/Ptr Process 25179 71282688 1181531648 487817216 ffaf2ca0/ffaf1d9c ipfib 26561 352071680 0 905453568 ff9a87a0/ff9a78a0 ipfib # show processes memory | include ipfib | PID PID MemAlloc MemLimit MemUsed StackBase/Ptr Process 25179 71282688 1181531648 487817216 ffaf2ca0/ffaf1d9c ipfib 26561 358326272 0 911708160 ff9a87a0/ff9a78a0 ipf
回避策
この脆弱性に対処する回避策はありません。
このアドバイザリに記載された脆弱性を緩和するために、管理者は、受信する SNMP 要求をフィルタ処理して、確実に、信頼できる SNMP クライアントによってのみ SNMP ポーリングが実行されるように、SNMP コミュニティのアクセス コントロール リスト(ACL)を設定できます。次の例では、デバイスは 1 つの信頼できるホストである 192.168.1.2 からのみ、受信する SNMP 要求を受け入れます。
switch# show access-list acl_for_snmp
IPV4 ACL acl_for_snmp
10 permit udp 192.168.1.2/32 192.168.1.3/32 eq snmp
前の ACL は、管理者が snmp-server community コンフィギュレーション コマンドに追加することで、実装することができます。
switch# show running-config snmp !Command: show running-config snmp snmp-server community mycompany use-acl acl_for_snmp
受信する SNMP 要求をフィルタ処理するための ACL の設定の詳細については、『NX-OS 構成ガイド』の「SNMP 要求のフィルタ処理」を参照してください。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html に記載のシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、[シスコのセキュリティアドバイザリおよびアラート(Cisco Security Advisories and Alerts)] ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性と完全なアップグレード ソリューションを確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したがシスコのサービス契約をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを購入先から入手できない場合は、Cisco TAC(https://www.cisco.com/c/en/us/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html)に連絡してアップグレードを入手してください。
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
修正済みリリース
この項の該当する表に示すように、適切なリリースにアップグレードすることをお勧めします。このアドバイザリはコレクションの一部です。これらも考慮した上、完全なアップグレード ソリューションを確認してください。アドバイザリとリンクの一覧については、『Cisco Event Response: June 2018 Cisco FXOS and NX-OS Software Security Advisory Collection』を参照してください。
次の表では、左の列に Cisco FXOS または NX-OS ソフトウェアのリリースを示しています。中央の列は、リリースがこのアドバイザリに記載されている脆弱性に該当するかどうか、および、この脆弱性に対する修正を含む最初のリリースを示しています。右の列は、リリースがこのアドバイザリ集に記載された何らかの脆弱性に該当するかどうか、および、それらすべての脆弱性に対する修正を含む最初のリリースを示しています。
スタンドアロンNX-OSモードのNexus 3000シリーズスイッチおよびNexus 9000シリーズスイッチ:CSCvf23136
Cisco NX-OS ソフトウェアリリース | この脆弱性に対する最初の修正リリース | First Fixed Release for All Vulnerabilities Described in the Collection of Advisories |
---|---|---|
7.0(3)I4 よりも前 | 脆弱性なし | 7.0(3)I7(4) |
7.0(3)I4 | 7.0(3)I4(8) | 7.0(3)I7(4) |
7.0(3)I5 | 7.0(3)I6(2) | 7.0(3)I7(4) |
7.0(3)I6 | 7.0(3)I6(2) | 7.0(3)I7(4) |
7.0(3)I7 | 7.0(3)I7(1) | 7.0(3)I7(4) |
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表を確認していません。
出典
この脆弱性は Cisco TAC サポートケースの解決中に発見されました。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.4 | 空のテーブルを削除。 | 該当製品 | Final | 2018 年 7 月 10 日 |
1.3 | 「侵入の兆候」セクションを更新。システム メモリのチェック方法を追加。 | セキュリティ侵害の痕跡 | Final | 2018 年 7 月 5 日 |
1.2 | Metadata update. | — | Final | 2018 年 6 月 26 日 |
1.1 | Metadata update. | — | Final | 2018 年 6 月 26 日 |
1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2018 年 6 月 20 日 |
利用規約
本アドバイザリは無保証のものとしてご提供しており、いかなる種類の保証も示唆するものではありません。 本アドバイザリの情報およびリンクの使用に関する責任の一切はそれらの使用者にあるものとします。 また、シスコは本ドキュメントの内容を予告なしに変更したり、更新したりする権利を有します。
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