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日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco IOS XEソフトウェアのEthernet Virtual Private Network(EVPN)上のBorder Gateway Protocol(BGP)における脆弱性により、認証されていないリモートの攻撃者がデバイスのリロードを引き起こし、その結果、サービス妨害(DoS)状態が発生したり、BGPルーティングテーブルが破損してネットワークが不安定になる可能性があります。
この脆弱性は、IOS XEソフトウェアリリース間でBGP MPLSベースのイーサネットVPN RFC(RFC 7432)ドラフトの実装が変更されたことに起因します。BGP Inclusive Multicast Ethernet Tag RouteまたはBGP EVPN MAC/IP Advertisement Route(VRF)アップデートパケットを受信すると、IPアドレス長フィールドの計算に誤りがある可能性があります。攻撃者は、BGPセッションが確立された後、巧妙に細工されたBGPパケットを該当デバイスに送信することで、この脆弱性を不正利用する可能性があります。この不正利用により、攻撃者は該当デバイスのBGPルーティングテーブルのリロードまたは破損を引き起こす可能性があります。いずれの結果もDoSを引き起こす可能性があります。
BGP プロトコルのシスコの実装は、明示的に定義されているピアから受信する BGP トラフィックのみを受け入れます。この脆弱性をエクスプロイトするには、攻撃者は、信頼できるBGPピアから送信されたように見えるTCP接続を介して悪意のあるパケットを送信するか、または不正な形式のメッセージを被害者のBGPネットワークに挿入できる必要があります。このためには、該当システムの信頼ネットワーク内の BGP ピアに関する情報を取得することが必要です。
この脆弱性は、ルータが既存のBGPセッション上のピアから巧妙に細工されたBGPメッセージを受信すると引き起こされる可能性があります。ルータに脆弱性が生じるためには、少なくとも 1 つの BGP ネイバー セッションが確立されている必要があります。
この脆弱性に対処する回避策はありません。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-20171103-bgp
該当製品
脆弱性のある製品
この脆弱性は、BGP EVPN設定をサポートするソフトウェアリリース16.3より前のすべてのCisco IOS XEソフトウェアリリースに影響を与えます。デバイスでEVPNが設定されていない場合は、脆弱性はありません。
Cisco IOS XE ソフトウェア リリースの判別
デバイス上で実行されている Cisco IOS XE ソフトウェア リリースは、管理者がデバイスにログインして、CLI で show version コマンドを実行し、表示されるシステム バナーを参照することにより確認できます。デバイスが Cisco IOS XE ソフトウェアを実行している場合、システム バナーに「Cisco IOS Software」、「Cisco IOS XE Software」などのテキストが表示されます。
デバイスがCisco IOS XEソフトウェアリリース16.2.1を実行し、インストールされているイメージ名がCAT3K_CAA-UNIVERSALK9-Mである場合、コマンドの出力例は次のようになります。
ios-xe-device# show version
Cisco IOS Software, Catalyst L3 Switch Software (CAT3K_CAA-UNIVERSALK9-M), Version Denali 16.2.1, RELEASE SOFTWARE (fc1)
Technical Support: http://www.cisco.com/techsupport
Copyright (c) 1986-2016 by Cisco Systems, Inc.
Compiled Sun 27-Mar-16 21:47 by mcpre
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Cisco IOS XE ソフトウェアリリースの命名と番号付けの規則に関する詳細は、『White Paper: Cisco IOS and NX-OS Software Reference Guide』を参照してください。EVPN設定の詳細については、『キャリアイーサネットコンフィギュレーションガイド』を参照してください。
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
他のシスコ製品において、このアドバイザリの影響を受けるものは現在確認されていません。
シスコは、この脆弱性がCisco IOS XRソフトウェアおよびCisco NX-OSソフトウェアには影響を与えないことを確認しました。
回避策
この脆弱性に対処する回避策はありません。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。シスコは、今後も該当するリリースに対する修正を提供する予定です。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、[シスコのセキュリティアドバイザリおよびアラート(Cisco Security Advisories and Alerts)] ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性と完全なアップグレード ソリューションを確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
Cisco IOS XE ソフトウェア
この脆弱性は、IOS XEソフトウェアリリース16.3以降で修正されています。
お客様がCisco IOS XEソフトウェアの脆弱性による侵害を受けたかどうかを判断できるように、シスコではCisco IOS Software Checkerツールを提供しています。このツールにより、特定のソフトウェアリリースに影響を与えるシスコセキュリティアドバイザリと、各アドバイザリで説明されている脆弱性を修正する最初のリリース(「最初の修正」)を特定できます。また該当する場合、そのリリースに関するすべてのアドバイザリの脆弱性が修正された最初のリリース(「Combined First Fixed」)を特定できます。
このツールを使用して次のタスクを実行できます。
- ドロップダウン メニューからリリース(複数可)を選択するか、分析対象となるローカル システムからファイルをアップロードして、検索を開始する
- show version コマンドの出力をツールで解析する
- カスタマイズした検索(過去に公開されたすべてのシスコ セキュリティ アドバイザリを検索対象に入れたり、特定のアドバイザリのみ、または最新のバンドル資料のすべてのアドバイザリを含めるなど)を作成する
リリースが、公開されたシスコセキュリティアドバイザリのいずれかに該当するかどうかを確認するには、Cisco.comのCisco IOS Software Checkerを使用するか、次のフィールドにCisco IOS XEソフトウェアリリース(たとえば、15.1(4)M2)を入力します。
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、2022 年 3 月に、この脆弱性のさらなるエクスプロイトが試みられたことを認識しました。これらの脆弱性が修正済みのソフトウェアリリースにアップグレードすることを、引き続き強くお勧めします。
出典
この脆弱性は、Cisco TACケースを通じてお客様からシスコに報告されたものです。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.2 | エクスプロイトに関する情報を更新。 | 不正利用事例と公式発表 | Final | 2022-DEC-16 |
1.1 | 2つ目のCisco Bug ID CSCui67191を追加。 | 製品属性セット | Final | 2017年11月7日 |
1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2017年11月3日 |
利用規約
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