この文書は、ATM ネットワークで使用されるアドレス解決およびパケット カプセル化方法の概要を示しています。また、新しい Permanent Virtual Circuit(PVC; 相手先固定接続)を有効にしたときに ATM クラウドを経由する ping が通らなくなった場合のトラブルシューティング ステップを示します。
ルーテッドRFC 1483を使用する場合 、ATMは、物理回線を介してIPおよびその他のレイヤ3パケットを送信するために使用されるレイヤ2プロトコルと考えることができます。事実、ATM はイーサネット テクノロジーとよく似ています。イーサネット ネットワークで正常に通信するには、次の 2 つの規則が必要です。
アドレス解決:宛先 IP アドレスを宛先 MAC アドレスに解決する必要があります。IP では Address Resolution Protocol(ARP)を使用してこのマッピングを動的に検出します。ルータまたはホスト上にスタティックな ARP エントリを設定することも可能です。
パケット カプセル化:次に上位層のプロトコルまたはヘッダーを受信装置に伝えるために、ヘッダーを付加する必要があります。イーサネットでは通常、Logical Link Control(LLC; 論理リンク制御副層)ヘッダーを使用します。たとえば、LLC ヘッダーの中の Destination Service Access Point(DSAP; 宛先アクセスポイント)または Source Service Access Point(SSAP; 送信元サービス アクセスポイント)に値「AA」が設定されていれば、SNAP ヘッダーが後に続くことを示します。SNAP ヘッダーには、組織固有識別子(OUI)、つまり OUI フィールドと、プロトコル ID フィールドが含まれます。プロトコル ID「0800」は、イーサネット フレームのデータ部分に IP パケットが含まれることを示します。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
フレームリレーと同様、ATM も 2 種類のインターフェイスをサポートします。ポイントツーポイントおよびマルチポイント。どちらのインターフェイスを選択するかにより、IP から ATM へのマッピングする設定コマンドを使用する必要があるかどうかが決まります。PVC それ自体を設定した後、特定の宛先に到達するためにどの PVC を使用するかをルータに通知する必要があります。次にこれら 2 つのインターフェイスについて説明します。
ポイントツーポイント サブインターフェイス:ポイントツーポイント サブインターフェイスでは、ルータの各ペアにそれぞれサブネットがあります。PVC をポイントツーポイント サブインターフェイスに配置した場合、ルータはサブインターフェイス上に 1 つのポイントツーポイント PVC だけが設定されていると見なします。したがって、宛先 IP アドレスが同じサブネットに属する IP パケットは、すべてこの VC に転送されます。 これがマッピングの最も簡単な設定方法であり、推奨される方法です。
マルチポイントネットワーク:マルチポイントネットワークには、同じサブネット内に3つ以上のルータがあります。PVC をポイントツーマルチポイント サブインターフェイスまたはメイン インターフェイス(これはデフォルトでマルチポイントです)に配置した場合は、スタティック マッピングを設定するか、またはダイナミック マッピング用に Inverse Address Resolution Protocol(Inverse ARP)によるダイナミックマッピングを有効にする必要があります。
イーサネット ネットワークでは、IP ベースのネットワーク デバイスは、宛先のレイヤ 3 アドレスに対応する宛先の MAC アドレスを検出する必要がある場合に ARP を使用します。レイヤ 2 ネットワーク デバイスは、宛先の MAC アドレスに対応する宛先のレイヤ 3 アドレスを検出する必要がある場合に Inverse ARP を使用します。
ATMネットワークでは、RFC 1577、Classical IP and ARP over ATM 、アドレス解決のメカニズムを指定し、Inverse ATM Address Resolution Protocol(InATMARP)を定義します。
InATMARP により、ATM インターフェイスはレイヤ 2 アドレスを検知します。これは PVC の Virtual Path Identifier(VPI; 仮想パス識別子)または Virtual Channel Identifier(VCI; 仮想チャネル識別子)です。 ただし、どの IP アドレスが接続の反対側で到達可能であるかを PVC が検出する必要があります。VC のリモートエンドの IP アドレスを検出するために、ルータは VC に InATMARP 要求を送出します。
注:InATMARPはEthernet InARPと同じプロトコルです。これはRFC 1293で定義され 、ATMネットワークでARPをサポートする拡張機能が追加されています。
ポイントツーポイント サブインターフェイスでは、トラフィックが送受信される VC およびパスが 1 つなので、スタティック マッピングも Inverse ARP も必要ありません。ルータは、ルーティング テーブルを参照してフォワーディングに関する決定を下すだけです。
Cisco IOS(R) リリース 12.2(4) および 12.1(11) では、ポイントツーポイント サブインターフェイスは InATMARP 要求に応答するだけで、InATMARP 要求を生成しません(CSCdu53060)。 以前は、Cisco IOS のバージョンによってはポイントツーポイント サブインターフェイスが ARP 要求を開始しており、また一部のバージョンでは ARP 要求への応答に失敗していました(CSCdt47188)。ポイントツーポイント サブインターフェイスでは、マルチポイント ハブとポイントツーポイント スタブを使用したハブアンドスポーク トポロジをサポートするため、デフォルトでは Inverse ARP が有効なままです。ハブにスタティック マップが設定されていない場合は、ハブの Inverse ARP 要求にスタブが応答する必要があります。この場合、show atm map コマンド(ポイントツーポイント インターフェイスポイントの InARP によるダイナミックまたはスタティック マッピングを表示するためのコマンド)では、ポイントツーポイント リンクのスタティック エントリは表示されなくなります。その出力例を以下に示します。
Luke# show run int a2/0.3 Building configuration... ! interface ATM2/0.3 point-to-point ip address 192.168.3.1 255.255.255.252 no ip route-cache no ip mroute-cache pvc 0/300 ! Luke# show atm map Luke#
Inverse ARP は、マルチポイント リンクではデフォルトで有効です。次の例では、マルチポイント サブインターフェイスを作成しています。debug atm arp コマンドを使用することにより、レイヤ 3 IP アドレスとレイヤ 2 VPI/VCI の間のダイナミック マッピングが InATMARP によって作成されることがわかります。
7500-1# show running-config !--- Output suppressed. interface ATM1/1/0.200 multipoint ip address 2.2.2.1 255.255.255.0 no ip directed-broadcast pvc 2/200 !--- Output suppressed. 5d10h: ATMARP:Sending first PVC INARP 5d10h: ATMARP(ATM1/1/0.200)O: INARP_REQ to VCD#20 2/200 for link 7(IP) 5d10h: ATMARP(ATM1/1/0.200)I: INARP Reply VCD#20 2/200 from 2.2.2.2 7500-1# show atm map Map list ATM1/1/0.100_ATM_INARP : DYNAMIC ip 1.1.1.2 maps to VC 19, VPI 2, VCI 100, ATM1/1/0.100 Map list ATM1/1/0.200_ATM_INARP : DYNAMIC ip 2.2.2.2 maps to VC 20, VPI 2, VCI 200, ATM1/1/0.200
マッピングの再確認のために新しい InATMARP パケットが送信される頻度を変更するには、inarp コマンドを使用します。
7500-1(config-subif)# pvc 2/200 7500-1(config-if-atm-vc)# inarp ? <1-60> InARP Frequency in minutes <cr> 7500-1(config-if-atm-vc)# inarp 5 7500-1(config-if-atm-vc)# end 7500-1# show atm vc 5d10h: ATMARP:Sending first PVC INARP 5d10h: ATMARP(ATM1/1/0.200)O: INARP_REQ to VCD#20 2/200 for link 7(IP) 5d10h: ATMARP(ATM1/1/0.200)I: INARP Reply VCD#20 2/200 from 2.2.2.2 ATM1/1/0.200: VCD: 20, VPI: 2, VCI: 200 UBR, PeakRate: 44209 AAL5-LLC/SNAP, etype:0x0, Flags: 0xC20, VCmode: 0x0 OAM frequency: 0 second(s) InARP frequency: 5 minutes(s) Transmit priority 4 InPkts: 10, OutPkts: 11, InBytes: 680, OutBytes: 708 InPRoc: 10, OutPRoc: 5, Broadcasts: 0 InFast: 0, OutFast: 0, InAS: 0, OutAS: 6 InPktDrops: 0, OutPktDrops: 0 CrcErrors: 0, SarTimeOuts: 0, OverSizedSDUs: 0 OAM cells received: 0 OAM cells sent: 0 Status: UP
show atm map コマンドを使用すると ATM での Inverse ARP によるダイナミック マッピングが表示されますが、これは show arp および show atm arp コマンドでは表示されません。次の出力を見ると、これがわかります。
7500-1# show arp Protocol Address Age (min) Hardware Addr Type Interface Internet 172.16.81.82 2 0010.7be8.674b ARPA FastEthernet1/0/0 Internet 172.16.81.15 - 0030.71d3.1020 ARPA FastEthernet1/0/0 Internet 172.16.81.10 2 0000.0c45.419a ARPA FastEthernet1/0/0 7500-1# show atm arp 7500-1#
RFC 1483, Multiprotocol Encapsulation over ATM Adaptation Layer 5は 、さまざまなタイプのプロトコルデータユニット(PDU)をATM上で転送するためにカプセル化する方法を定義します。RFC 1483 では、このカプセル化を実行するために 2 通りの方法を規定しています。
最も一般的な方法は、同じ仮想接続で複数のプロトコルを伝送できる LLC または SNAP カプセル化です。標準の LLC または SNAP ヘッダーは、カプセル化されたパケットのタイプを識別します。LLC カプセル化では、ルーテッド プロトコルとブリッジ プロトコルの両方をサポートします。パケットの SNAP ヘッダーは、プロトコルのタイプを識別します。
LLC ヘッダーは、次の 3 つの 1 オクテット フィールドから成ります。
DSAP | SSAP | Ctrl |
LLC ヘッダーの値 0xAA-AA-03 は、SNAP ヘッダーを示します。このヘッダーのフォーマットは次のとおりです。
OUI | PID | PDU |
3 オクテットの OUI は、2 オクテットの Protocol Identifier(PID)の意味を管理する組織を識別します。これらを組み合せることで、個々のルーテッド プロトコルまたはブリッジ プロトコルが厳密に識別されます。次に、ルーティングされる PDU の AAL5 Common Part Convergence Sublayer(CPCS)PDU ペイロード フィールドのフォーマットを示します。
LLC 0xAA-AA-03 |
OUI 0x00-00-00 |
EtherType(2 オクテット) |
PDU(最大216 - 9オクテット) |
次の出力例は、debug atm packet コマンドを使用して、生成したものです。
注意:debugコマンドを発行する前に、『debugコマンドの重要な情報』を参照してください。
router# debug atm packet !--- These timestamped lines of output appear on one line. Dec 7 10:21:16 CST: ATM2/IMA0.294(O): VCD:0x5 VPI:0x7 VCI:0xC0 DM:0x100 SAP:AAAA CTL:03 OUI:000000 TYPE:0800 Length:0x70 Dec 7 10:21:16 CST: 4500 0064 0032 0000 FF01 7643 0A90 9801 0A90 9802 0800 BAA2 0031 0EB1 0000 Dec 7 10:21:16 CST: 0000 5A75 5A50 ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD Dec 7 10:21:16 CST: ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD Dec 7 10:21:16 CST: ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD Dec 7 10:21:16 CST: ..
この出力の意味を次に示します。
ATM2/IMA0.294(O):パケットは出力パケットです。
VCD:0x5 VPI:0x7 VCI:0xC0:パケットはVPI 7およびVCI 192(0xC0)で送信されます。 これらの値は 16 進数形式で与えられます。ルータが 5 バイトの ATM ヘッダーで正しい PVC 値を使用しているかどうかを確認するためには、これらの値を 10 進数に変換します。この例では、VCI の 16 進数値 0xC0 を 10 進数値に変換すると 192 になります。
DM:0100:パケットはAAL5カプセル化を使用しています。この値は、特定の ATM ハードウェアのドライバが特別なケースのパケットを扱えるように、上位のソフトウェア層で設定されます。たとえば、この値は、PA-A3のVCD 0やPA-A2のVCD 4096など、特別なOAM Virtual Circuit Descriptor(VCD;仮想回線ディスクリプタ)にOperation, Administration, and Maintenance(OAM)パケットを置くようにドライバにに指示します。
AAL5 パケット:0x4000
AAL1 セル:0x2000
AAL1 パケット:0x8000
アプリケーションに独自の CRC がある場合:0x0400
AAL3/4 パケット:0x0000
OAM パケット:0x03000x0300
SAP:AAAA:SNAPヘッダーが続きます。
OUI:000000:次のPIDはEtherTypeです。
TYPE:0800:これは IP 用の「周知の」Ethertype 値です。
ABCD ABCD ABCD:これは ping パケットのデフォルトのペイロード パターンです。
スタティック マップ リストは、ATMARP および InATMARP メカニズムに対する代替手段を提供する、Cisco IOS ソフトウェアの機能です。スタティック マップを使用すると、プロトコル アドレスに SVC の ATM アドレス、または PVC の VPI/VCI を関連付けることができます。
注:静的マップリストは、RFC 1483またはRFC 1577とは関 係しません 。
スタティック マッピングはノードが少数の場合は簡単ですが、設定する必要があるデバイスの数が増すにつれ、設定が複雑になり、エラーの可能性が増大します。
Cisco IOS ソフトウェア リリース 11.3T からは、ATM VC コマンド モード が導入されました。このモードではいくつかの新しい ATM コマンドが導入され、ATM パラメータの設定がさらに容易になりました。新しい VC 設定モードでは、protocol ip およびその他の文(ip を ipx、decnet などで置き換えます)を使用してスタティック マッピングを設定します。この protocol コマンドは、11.3T 以前の IOS バージョンで使用されていた map-list コマンドおよび map-group コマンドに代わるものです。
次の例は、ATMインターフェイス1/1/0.200でPVC 2/200を作成する方法を示しています。AAL5でグローバルなデフォルトLLCまたはSNAPカプセル化を使用します。インターフェイスはIPアドレス2.2.2.1にあり、接続の他端には2.2.2.2があります。
interface ATM1/1/0.200 multipoint ip address 2.2.2.1 255.255.255.0 no ip directed-broadcast pvc 2/200 inarp 5 protocol ip 2.2.2.2 broadcast
マッピングをチェックするには、show atm map コマンドを使用します。次の出力からわかるように、レイヤ 3 アドレスからレイヤ 2 アドレスへのマッピングは、Inverse ARP を使用した場合のようなダイナミックなものではなく固定的です。
7500-1# show atm map Map list ATM1/1/0.100_ATM_INARP : DYNAMIC ip 1.1.1.2 maps to VC 19, VPI 2, VCI 100, ATM1/1/0.100 Map list ATM1/1/0.200pvc20 : PERMANENT ip 2.2.2.2 maps to VC 20, VPI 2, VCI 200, ATM1/1/0.200, broadcast
注:ポイントツーポイントサブインターフェイスではスタティックマップを使用しないでください。以前は、2 つの protocol ip コマンドを設定した後に一方の文を削除すると、まれにルータがリロードすることがありました(CSCdk58757、CSCdr43838)。
IOS リリース 11.3(T トレインを除く)以前のリリースを使用している場合は、ATM VC コンフィグレーションコマンド モードを使用できないため、代わりに古いコマンド構文を使用する必要があります。下の例からわかるように、全 PVC 設定を 1 行で設定するため、可能な設定は非常に限定されます。使用可能な ATM PVC コマンドの詳細については、ここをクリックしてください。
interface ATM3/0.1 multipoint no ip directed-broadcast map-group MyMap atm pvc 4 0 36 aal5snap 2000 1000 32 ! map-list MyMap ip 10.2.1.1 atm-vc 4 broadcast ip 10.2.1.2 atm-vc 4 broadcast Medina# show atm map Map list ATM3/0.1pvc4 : PERMANENT ip 10.2.1.1 maps to VC 4, VPI 0, VCI 36, ATM3/0.1, broadcast ip 10.2.1.2 maps to VC 4, VPI 0, VCI 36, ATM3/0.1, broadcast
スタティック マップは Switched Virtual Circuit(SVC; 相手先選択接続)にも適用されます。宛先プロトコル アドレスへの接続をセットアップする際は、ATM インターフェイスがマップ リストのプロトコル アドレスに対応する ATM NSAP アドレスを特定し、次にその ATM アドレスへの SVC をセットアップします。
interface atm 4/0 ip address 131.108.168.1 255.255.255.0 atm nsap-address AB.CDEF.01.234567.890A.BCDE.F012.3456.7890.1234.12 atm maxvc 1024 pvc 0/5 qsaal ! svc svc-1 nsap BC.CDEF.01.234567.890A.BCDE.F012.3456.7890.1334.13 protocol ip 131.108.168.2
IP over ATM 接続に問題が生じた場合は、次のトラブルシューティング ステップを実行します。
リモートの宛先に到達するために使用する VC をルータが検知していることを確認します。インターフェイスで debug atm errors コマンドを使用します。この debug コマンドはハードウェアの動作に影響を与えません。多数の ATM エラーが存在する場合に出力を生成するだけです。
注:InATMARPを使用している場合は、代わりにdebug atm arpコマンドを発行してください。
注意:debugコマンドを発行する前に、『debugコマンドの重要な情報』を参照してください。
出力の中に次のような行があるかどうかを確認します。
Jul 12 05:01:26.161: ATM(ATM6/0): Encapsulation error1, link=7, host=B010117
このような行がある場合は、ATM マッピングの設定が誤っている可能性があります。この問題のトラブルシューティング方法については、「debug atm errors コマンドによるカプセル化障害のトラブルシューティング」を参照してください。
debug atm errors コマンドを使用しても出力が生成されない場合は、debug atm packet interface atm コマンドを使用します。
注意:debug atm packetコマンドは、VCを通過するパケットごとに1つのログメッセージを出力します。デバッグ出力の量を適正にするため、このデバッグを有効にする前に、ping またはキープアライブだけが VC を通過できるように、一般のトラフィックを除外します。
次の例では、10.144.152.2にpingを実行しています。ポイントツーポイントサブインターフェイスは1つのPVCで使用されるため、ルータはこのPVCから同じIPサブネット宛てのすべてのpingを自動的に送信します。
show running-config コマンドを使用して、設定と ping を試みている IP アドレスを確認します。
interface ATM2/IMA0.294 point-to-point ip address 10.144.152.1 255.255.255.252 no ip directed-broadcast pvc test 7/192 vbr-nrt 500 500 10
debug atm packet interface atm コマンドを使用します。
ルータへの影響を最小限に抑えるため、デバッグ コマンドはできるだけ詳細に指定します。
cisco# debug atm packet interface atm2/im0.294 vc ? <0-255> VPI/VCI value(slash required) <0-65535> VCI WORD Connection Name cisco# debug atm packet interface atm2/im0.294 vc 7/192 ATM packets debugging is on Displaying packets on interface ATM2/IMA0.294 VPI 7, VCI 192 only
terminal monitor コマンドを使用して、ルータに Telnet した場合にデバッグ出力が表示されることを確認します。
現在のターミナルおよびセッションに関する debug コマンド出力およびシステム エラー メッセージを表示するには、terminal monitor EXEC コマンドを使用します。また、すべてのデバッグ出力をコンソールではなくバッファに直接記録することも検討します。これを行うためには、グローバルコンフィグレーションモードで logging buffered および no logging console コマンドを実行します。show logging コマンドを使用して変更を確認します。
端末パラメータ設定コマンドはすべてローカルに設定され、セッション終了後は無効になる点に注意してください。
cisco# terminal monitor % Console already monitors
PVC の発信パケット(OutPkts)および着信パケット(InPkts)に関する現在の値を記録します。
cisco# show atm pvc test ATM2/IMA0.294: VCD: 5, VPI: 7, VCI: 192, Connection Name: test VBR-NRT, PeakRate: 500, Average Rate: 500, Burst Cells: 100 AAL5-LLC/SNAP, etype:0x0, Flags: 0x20, VCmode: 0x0 OAM frequency: 0 second(s), OAM retry frequency: 10 second(s), OAM retry frequency: 10 second(s) OAM up retry count: 2, OAM down retry count: 2 OAM Loopback status: OAM Disabled OAM VC state: Not Managed ILMI VC state: Not Managed InARP frequency: 15 minutes(s) Transmit priority 2 InPkts: 0, OutPkts: 2920, InBytes: 0, OutBytes: 163784 InPRoc: 0, OutPRoc: 6 InFast: 0, OutFast: 4, InAS: 0, OutAS: 0 InPktDrops: 0, OutPktDrops: 0 CrcErrors: 0, SarTimeOuts: 0, OverSizedSDUs: 0 OAM cells received: 0 F5 InEndloop: 0, F5 InSegloop: 0, F5 InAIS: 0, F5 InRDI: 0 F4 InEndloop: 0, F4 InSegloop: 0, F4 InAIS: 0, F4 InRDI: 0 OAM cells sent: 2901 F5 OutEndloop: 2901, F5 OutSegloop: 0, F5 OutRDI: 0 F4 OutEndloop: 0, F4 OutSegloop: 0, F4 OutRDI: 0 OAM cell drops: 0 Status: UP
リモート エンドに対して ping を発行し、InPkts と OutPkts がどちらも 5 パケット増加することを確認します。
ABCD のペイロード パターンを探して、パケットが ping であり、他のパケットの Operation, Administration, and Maintenance(OAM)セルではないことを確認します。参照:
show atm pvc vcd_numberコマンドを再び発行して、OutPktsカウンタが少なくとも5パケット増加することを確認します。
注:Cisco IOSソフトウェアリリース11.3(2)T以降を実行している必要があります。それよりも前のリリースを使用している場合は、代わりに show atm vc コマンドを使用します。
OutPkts の値を、ping を実行する前に記録した値と比較します。下記の出力例では 5 回の ping を 2 セット送信したため、OutPkts カウンタが 10 増加しています。このインターフェイスではまだ InPkts が記録されていない点に注意してください。この出力は、ルータはパケットを送信していますが、リモート デバイスがパケットを受信していないことを示唆しています。InPkts の値が 0 であることは、ATM スイッチ クラウド内のエンドツーエンド パスが適切にプロビジョニングされていないことを示唆しています。
cisco# show atm pvc test ATM2/IMA0.294: VCD: 5, VPI: 7, VCI: 192, Connection Name: test VBR-NRT, PeakRate: 500, Average Rate: 500, Burst Cells: 100 AAL5-LLC/SNAP, etype:0x0, Flags: 0x20, VCmode: 0x0 OAM frequency: 0 second(s), OAM retry frequency: 10 second(s), OAM retry frequency: 10 second(s) OAM up retry count: 2, OAM down retry count: 2 OAM Loopback status: OAM Disabled OAM VC state: Not Managed ILMI VC state: Not Managed InARP frequency: 15 minutes(s) Transmit priority 2 InPkts: 0, OutPkts: 2930, InBytes: 0, OutBytes: 164904 InPRoc: 0, OutPRoc: 16 InFast: 0, OutFast: 4, InAS: 0, OutAS: 0 InPktDrops: 0, OutPktDrops: 0 CrcErrors: 0, SarTimeOuts: 0, OverSizedSDUs: 0 OAM cells received: 0 F5 InEndloop: 0, F5 InSegloop: 0, F5 InAIS: 0, F5 InRDI: 0 F4 InEndloop: 0, F4 InSegloop: 0, F4 InAIS: 0, F4 InRDI: 0 OAM cells sent: 2901 F5 OutEndloop: 2901, F5 OutSegloop: 0, F5 OutRDI: 0 F4 OutEndloop: 0, F4 OutSegloop: 0, F4 OutRDI: 0 OAM cell drops: 0 Status: UP
注:出力は、使用しているカードによって異なります。
ping を送信したときに、リモート エンドが ping を受信するかどうかを確認します。これを確認するには、リモート エンドで debug ip icmp コマンドを使用します。
両側がパケットを送信していることが確認されたら、エンドツーエンドで接続できない理由を特定する必要があります。これを行うには、次のチェックを実行します。
show interface コマンドの出力で、Cyclic Redundancy Check(CRC; 巡回冗長チェック)エラーや入力キューのドロップなど、0 以外の入力または出力エラー カウンタをチェックします。
ping を発行したときにこれらのカウンタが増加するかどうかを確認します。詳細については、「ATM インターフェイスに関する CRC トラブルシューティング ガイド」を参照してください。
両端でループバックを使用します。
詳細については、「Cisco ルータのループバック モードの理解」を参照してください。
プロバイダーのクラウド内でループバック テストを実行します。プロバイダーがリンクのエンドツーエンド パス経由でパケットを送信できるかどうかを確認します。
両方の終端でペイロード スクランブリングが有効または無効のどちらであるかを調べます。
1 つのインターフェイスで CRC エラーの値が大きい場合は、スクランブリングが一方で有効、もう一方で無効になっている可能性があります。
Maximum Transmission Unit(MTU; 最大伝送ユニット)を上限とするさまざまなサイズの ping テストを実行します。特定のサイズでだけ ping が失敗するかどうかを確認します。
ポリシングの問題が発生していないかどうかをチェックします。詳細については、ここをクリックしてください。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
15-Nov-2007 |
初版 |