一貫したセキュアでシンプルなマルチクラウドアクセスを実現するまでの道のりは長く、その目的地となるのは SASE です。
ビジネスニーズの変化や予期せぬ中断によって IT 部門に対するプレッシャーがかつてないほど高まっており、IT リーダーはあらゆる事態に備えなければなりません。日常業務のサポートとビジネスにおけるイノベーションと俊敏性の実現の微妙なバランスを取ることが重要です。
ほとんどの組織では、マルチクラウド環境への移行やハイブリッドワークの採用といった、ビジネスの俊敏性を向上させるための戦略によって運用が許容できないレベルにまで複雑化し、セキュリティリスクが増大していることが課題となっています。このような状況から、IT リーダーは新しい IT アーキテクチャと運用のアプローチを採用するようになりつつあります。
シスコの『2023 年グローバル ネットワーキング レポート』では、組織が接続とセキュリティの課題にどのように対処しているのかを考察します。具体的には、ユーザー、モノ、アプリケーションが高度に分散されたときに、組織がどのようにインフラストラクチャを進化させて接続を拡張しているのかという部分に焦点を当てます。この調査では、北米、中南米、アジア太平洋、西ヨーロッパ 13 ヵ国の 2,500 人を超えるリーダーから情報を収集しました。
「3 分の 2 の組織は、すでにワークロードの 40% 超をマルチクラウドで処理しています。また、92% の組織が 2 つ以上のクラウドプロバイダーを利用しています」
シスコ 2023 年グローバル ネットワーキング トレンド レポート
このレポートでは、企業の IT 組織内の重要なトレンドに焦点を当て、ビジネスの俊敏性、一貫したセキュリティ、 IT の簡素化を実現するインフラストラクチャへの組織の移行に責任を負う IT リーダーに重要な指針を示します。このレポートのハイライトは、次のとおりです。
組織内のサイロ化されたチームの作業プロセスと従来の接続提供モデルでは、人材の負荷が増大し、高度に分散されたアプリケーション、人、場所、モノの動的なネットワークのパフォーマンスとセキュリティのニーズに対応できなくなります。
ネットワーク、セキュリティ、クラウドの運用モデル、ツール、プロセスを整合させてポリシーを標準化し、テレメトリを共有してワークフローを合理化します。
統合されたクラウド中心のネットワーキングおよびセキュリティソリューションは、ビジネスに必要な俊敏性とセキュリティ、ユーザーが作業を行うのに必要なパフォーマンス、IT 部門が場所や時間を問わず必要に応じてセキュアな接続を自動化したり拡張したりできるシンプルな運用を実現します。
一貫した堅牢なサイバーセキュリティ防御を実現するのに必要なネットワーキングとセキュリティのすべての構成要素を統合すると同時に、オフィス、工場の作業現場、自宅などのあらゆる場所から信頼できるクラウド接続を確立する、SASE アーキテクチャを活用します。
ほぼ半数(47%)の回答者が、2 年以内に SD-WAN の展開を完全な SASE アーキテクチャにまで拡張する予定にしています。
「セキュア アクセス サービスエッジ(SASE)は、SD-WAN、SWG、CASB、NGFW、ゼロトラスト ネットワーク アクセス(ZTNA)などのネットワークとセキュリティを統合し、1 つのサービス機能として提供します。SASE は、分散拠点、リモートワーカー、オンプレミスのセキュアアクセスのユースケースをサポートします。」
Gartner IT 用語一覧、セキュア アクセス サービスエッジ(SASE)、2023 年 5 月 2 日現在
ネットワークとセキュリティのテクノロジーと運用の統合により、新しいセキュアな接続モデルであるセキュア アクセス サービス エッジが実現します。
まったく異なるクラウドモデルによるさまざまなクラウドへの接続は、複雑で時間がかかることがあるうえ、リスクを増大させます。
クラウド、SaaS、およびミドルマイルプロバイダーとの SD-WAN の統合により、クラウドアプリケーションへの接続を簡素化して高速化します。ネットワークの可視性、制御、ポリシー、ゼロトラストアクセスをすべてのクラウドに一貫した方法で拡張することにより、クラウドに依存しない接続を自動化し、アプリケーション体験を最適化して保護します。
53% の回答者が、あらゆる場所からのクラウドベース アプリケーションへの接続性を向上させるために、今後 2 年間にわたってクラウド サービス プロバイダーとの統合を優先すると述べています。
従来のセキュリティモデルは、もはや現状に即していません。実際、回答者の 5 人中 3 人が、今後 2 年間のマルチクラウド アクセス ネットワーキングの最優先事項として、クラウドのセキュリティの一元化を挙げています。
まったく異なる複数のセキュリティ機能をクラウド セキュリティ プラットフォームに統合することにより、可視化、ポリシー管理、制御を容易にし、その範囲を広めて効果を高めます。
現在では、大部分のトランザクションが企業の境界を越えて行われていますが、IT 部門は今もなおユーザー体験に責任を負っています。
クライアントからインターネット全体、クラウドまでのネットワークをエンドツーエンドに可視化するツールを活用することにより、NetOps チームがネットワークの問題をすばやく検出して修正できるようにします。
51% の回答者が、問題のプロアクティブな検出と修正を実現するために、エンドツーエンドのネットワークテレメトリと可視性の活用を優先しています。
拡張ネットワークは組織の事業運営に不可欠であり、サービスの低下やダウンタイムは耐え難いものになりつつあります。
IT 運用(AIOps)向けの人工知能の一部として予測分析を使用することにより、ネットワークに影響が及ぶ前に組織が問題を正確に予測して修正し、組織全体でよりシンプル、迅速、かつ効果的な IT 運用を実現できるようにします。
この重要な指針をさらに詳しく考察し、組織が SASE アーキテクチャによるネットワーキングとセキュリティのさらなる統合でどのようにメリットを得られるのかをご確認ください。